1.プロローグ
初めて書いた長編です。
SF作品になります。
多少の残酷表現がありますのでご注意を。
いつかこんな未来も来るかもしれないですね。
荒廃した現代。人は新たな世界を求め、あるものは地下を開拓し、あるものは海底を開拓し、またあるものは宇宙を開拓しにいった。人はあらゆる場所へ進出し、生きながらえようと努力した。もちろん愛する地球を諦めないものも一定数存在し、人類が存続しうる地球としては死にゆく星に鞭打ち、あの手この手で努力している。
なかにはタイニーユニバース(これは保守派が作った揶揄した造語だが)と呼ばれる世界を作り、反物質を利用してエネルギー問題は解決。あとは食料問題だけだと豪語していた研究者たちは、ある日タイニーユニバースと共に消失した。元々安定していなかった世界なので、少し均衡が崩れるだけでゲートが消失することは、専門的なことはわからないが当初から指摘されていた問題点だ。反物質には意思があるとも言われていたので、自分たちだけで暮らしたくて世界を閉じたんじゃないかなんて説も囁かれた。もし、反物質でお腹が満たされるのなら、彼らはタイニーユニバースでまだ生きてるだろう。しかし、消える前にあとは食料問題だけだとあれだけ言っていたということは、そんなことはなく恐らくは異次元でのたれ死んでいるに違いない。
僕はこれらを歴史として学んだ。僕らの支配者は教訓としてあらゆることを学べるようにしている。そんな僕らは一体どこにいるのか?答えはどこにも進出しなかった。保守派の人間にはなんの解決にも至っていない、文字通り現実逃避だと揶揄された世界にいる。
さて、タイニーユニバースでもないなら僕たちがいる場所、それはどこか。多分よく聞いたことはあるけどこれを思いつく人はなかなかいないと思う。みんな寝る時に見ているものだ。そう、夢の世界。厳密にいうと寝る時に見る夢でもなければ、将来の夢といった類でもない。一番しっくりくるのは妄想の世界だ。妄想の中なら僕らは今でも綺麗な地球にいて、エネルギー問題に食料問題全て気にしなくていい。保守派の人間の言う通り、本当に現実から逃げたのだ。難しいことはよくわからないが、宇宙や地底、海底に行くよりもはるかに手軽で、大人数の収容が可能な選択肢だった。
あたかも簡単なことのようにはなしたが、これを作ったとても賢い人のために弁明すると、実際の肉体から精神(実際のところは細胞同士の電気通信らしい)と呼ばれるものを抜き出し、それを別次元に留めることで精神が結合して世界を作り出すと言うものらしい。このやり方について宗教的な問題や人道的な問題で批判が巻き起こったのは言うまでもない。しかし、そんなこと言ってられないくらい切羽詰まっていて、宗教に疎くなった人間たちと、逆に信仰心の熱い人間たちは飛びついてこの世界に志願した。科学者は難しい言葉が好きなので「思考拡張に伴う精神と肉体の分離と拡張現実による精神結合」のような名前をつけていた。しかし、若者はもっと短くてキャッチーな言葉が好きだ。僕らはこう呼ぶ“ドリームランド”と。