ゆいこのトライアングルレッスン スピンオフ 〜続・ゆいこが転生したら〇〇だった件〜 卑弥呼編
なろラジ大人気企画『ゆいこのトライアングルレッスン』のスピンオフ第2弾!
我は、卑弥呼ならぬ、ゆいこである!
この世界で最も美しく、気高く、最高位の者。
「ゆいこ様! 今年の農作物のできは、どうなりますでしょうか?」
「ひろしまる、吉だ」
「はっ! ありがたきお言葉!」
「ゆいこ様! 今年の良き方位は、どちらになりますでしょうか?」
「たくみのすけ、東北東が良い」
「はっ! ありがたきお言葉!」
亀の甲羅や獣の骨を焼き、その割れ目を見れば未来が見える。
この国の行く末を占い、皆が我に従うのだ。
好き…嫌い…好き…嫌い…好き!
でも、わたしは、隠れて恋占いをしている!
キャハッ!
人の心を読むのは容易い。
しかし、どうしたものか、霞がかかったように心の中が読めない人物がいた。
「もーっ! なんで、ひろしまると、たくみのすけの心だけが読めないのよぉ! 余計に気になってくるぅー」
「ゆいこ様、失礼とは存じますが、近頃何か悩んでおられますか?」
「へっ!? まさか…ひろしまるは、我の心が読めるのか!?」
「滅相もない! ただ、わたくしは誰よりもお近くで、ゆいこ様をずっと見ておりますから」
ひろしまるの真っ直ぐな眼差しが、わたしの心をギュッと締めつける。
もっと見つめられたいと、願ってしまった…。
「この頃思うのです。ゆいこ様はきっと、たくみのすけのことをお慕いしているのだな…と」
「えぇっ!?」
「そして、わたくしもまた、それを妬ましく思い、どうしようもないのでございます」
「な、何を言うひろしまる! そ、そんなわけなかろう! 我はゆいこ様だぞ!」
わたしは、ひろしまるを強く突き返してしまった。
「我がたくみのすけのことを…? 待て待て、そんなことあろうはずがない!」
「おや? 美しい声がすると思えば、ゆいこ様ではないですか」
「噂をすれば、たくみのすけ!」
「噂? わたくしのことを考えてくれていたのですか? 嬉しいです」
「そんなんではない! 我はゆいこ様だぞ!」
焦るわたしに、たくみのすけは、フッと笑った。
「そういう一面を、わたくしにだけ見せてくださり、とても嬉しいのです」
「見せてなどおらん! なんなのだ、何を考えてるか、まるで分からぬ!」
「では、教えてあげましょうか?」
たくみのすけはそういうと、突然わたしを抱きしめ、耳元で囁いた。
「これが、わたくしのまことの心でございます」
「な、何を…。たくみのすけ、我から離れるのだ!」
「離しません。あなたがわたくしの心の中を読むまでは…」
たくみのすけの、鼓動と体温が、その想いが伝わってくる…
知ってる、知ってる気がする!?
ずっと昔から、そばにいてくれた気がする…
「たくみ…ひろし…!」
「ひろしまるの名を出すなんて、あなたも悪いお方だ…」
「えっと…それは…アハハハハ」
我は2人と手を取り、この国をもっと豊かにしようぞ。