乂阿戦記2 第三章 イブ・バーストエラーは復讐の女神の胡蝶の夢-7 カルマストラ二世の来訪
\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/
今話は、狂戦士“乂阿烈”vs邪神ナイアルラトホテップの超次元バトル! 雷音の覚醒、羅漢の変身、兄弟喧嘩の行方は――!?
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ところ変わって神楽坂レイミの自宅。
今この家に1人の男が訪問に来ていた。
それも今回の事件の中心人物が来ている。
男は家の主である神楽坂是峠こと、セドゲンス・カルマストラに親しげに声をかける。
「久しぶりだなセドゲンス!息災はないか?」
「あいや〜、こりゃたまげただぁ〜!兄ぃ〜、地球に来てただかぁ〜!」
セドゲンスはうれしそうに兄の訪問を歓迎する。
彼の兄、梟雄カルマストラ二世の訪問を……。
セドゲンスは年齢50代の人の良さそうな顔をした男で、カルマストラ二世は托鉢僧の身なりをした体格のいい5〜60代の男だった。
「実はお前に頼みがあって来たんだよ」
「おぉん?兄ぃからの頼みごとだばぁ?なしたなもし?」
セドゲンスの疑問に兄は答える。
「実はな……お前の力を借りたいのだ……」
セドゲンスは首を傾げる。何故自分なのかと……。
「……何でオラだべか?」
その問いに対して兄はニヤリと笑いながら答えた。
「お前の人脈が必要だからさ……お前の義息は先代赤の勇者ギルトンで、義兄弟の盃を交わせしは天下の剣豪黒天ジャムガ、さらには銀河連邦HERO長官にして聖地戦争の英雄リチャード・ライオンハートとも懇意と来ている! カルマストラ3世事件の英雄セドゲンス。今スラルではそうもてはやされていることをお前は自覚しているか?」
その言葉にセドゲンスは驚きを隠せなかった。
「……はぁ……?」
兄が語る言葉の半分も理解できなかったからだ。
「つまりだ!お前は今や時の人だ!だからこそお前がこの話を断ればそれだけでこの話は無かったことになる!これはそういう話だ!さあどうする?乗るのか乗らないのか!?」
兄のその言葉を聞いたセドゲンスの決断は一瞬だった。
「とりあえず用件が何か言ってくれねーと答えようがないだべよ……」
「……ああそうだな!ワシは今タイラント族の族長の座にいるのだが勇猛な人材が欲しくてな、お前の養子ギルトンを説得してワシの軍に入ってもらたい。前大戦で最凶の魔女エクリプスを倒した5人の勇者と5人の魔法少女、その中でも最強と言われた赤の勇者ギルトンを是非我が軍に加えたい!」
「……その話断るだ!!」
「ハッハッハッ!お前は絶対そう言うと思ったよ!」
カルマストラ二世は弟の拒絶を怒ることなく豪快に笑い飛ばした。
(まあ当然の反応だな……こやつにとって家族以上に大事なものなどないだろうしな……しかし……ならばこそ今回の事態をこやつに知らせ、かの者に動いてもらわねばなるまい……)
カルマストラ二世は自分の考えをまとめるようにゆっくりと話し始めた。
「弟よ……おぬしがワシの息子のせいでどれだけ苦労してきたか知っておる……それについて申し訳なくも思う。だが言うぞ……今のお主のが動かねばこの地球は滅びる……」
「なっ!?」
「イブを覚えているか?」
「知ってるも何もギルトンの冒険仲間でねぇだかー、ほれ、水色の魔法少女プリズナさんとコンビ組んでいた先代水色の勇者だべさ!それがどうしたってんだぁ?」
「うむ……今イブは悪き者達により心を操られイサカと名乗っておる。イサカとなったイブは邪神クトゥルフを復活させようと暗躍している。クトゥルフが目覚めルルイエが浮上せし時、地球の全ては海に沈む事になるぞ!!」
「何だって!?そんな酷いことする奴は許せねーだ!イブさんは息子の大切な仲間だ!絶対助けるだ!」
「まあ、落ち着けセドゲンス、実はワシはイサカをイブに戻す方法を掴んだのだ。それをギルトンに教えてやって欲しいのだ」
「え?そんな方法があるだか?」
「キジーツと言うのを知ってるか?」
「キジーツ?」
「アフリカで呪術師達が使う呪いの道具だ。いまイブ殿はイサカの脳で作られたキジーツで心を操られている。それを解く方法は……」
――その一語一句を、廊下の影からレイミとアクアが息を潜めて聞いていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい!叔父さん!そんなの本当にあるんですか!?」
そう言って飛び出してきたのは神楽坂レイミとその学友にして居候の鮫島アクアだった。
彼女達はセドゲンスとカルマストラ二世の会話を盗み聞きしていたのだ。
「こ、こりゃレイミ!盗み聞きとは行儀が悪いだ!お父ちゃん達は今大事な話をしてるだ!大人しく部屋に戻って勉強さしとくだ!!」
「まあまあ、良いではないかセドゲンスよ……それに聞かれて困る話でもないしな……そうだ、せっかくだからお前達にも聞かせてやろう……さあ、こちらへおいで?」
そうしてカルマストラ二世は二人に手招きをして自分の近くに呼び寄せると二人にも聞こえるように話し始めたのだ。
彼は懐から一枚の写真を出して2人に見せた。
写真には1人の女が写っている。
確か学校で何度か見た事がある。
「……この女は九闘竜No.8ナイアと言う。我らタイラント族が掴んだ情報によればこの女がイサカのキジーツを所持している。なんでも先代勇者や魔法少女らと因縁ある相手らしく、時には敵、時には味方、そういう複雑な関係だったそうだ」
「へぇ〜そうなんだ〜」
2人は興味深そうに話を聞いていた。
「それで?なんでアンタはそれを知ってるんだ?」
アクアが訝しげに尋ねる。
彼女達は誘拐された時、レッドキクロプスからこのカルマストラ二世こそがクトゥルフ復活を目論む黒幕だと言うことを聞かされているのだ。
訝しげむのは当然である。
「ふふふ、たしか君達は銀河連邦から派遣されているヒーロー候補生だったね……、悪いが答えられない。秘密だ。ここから先は君達で調べなさい。」
そう言ってカルマストラ二世は帰り支度をはじめる。
「ちょ!」
アクアが引き留めようとする前にカルマストラ二世は一言言い残した。
「ああ、このナイアと言う女なのだが、蔭洲升町と言う港町で毎週日曜日の夜、何やら怪しげな儀式を行なってるようだ。その時ナイアに同行している呪術師が人間の脳みたいな呪具を持って来ていると耳にする…。それがイサカのキジーツかどうかは知らんがな…」
「それだけ言うと、カルマストラ二世は不気味な含み笑いを浮かべながら、静かにその場を後にした……」
「……何だったんだ?」
アクアが言う。
確かにいきなり現れて急に帰っていったけど、一体何しに来たのか?
いや、それよりイブを助ける手がかりを得た!
多分イブは蔭洲升町に居る!
それも手がかりのナイアと言う女も毎週決まった日に必ず現れる!
アクア達はイブを救出するため、蔭洲升町という港町を突き止めることにしたのだった……。




