乂阿戦記2 第三章 イブ・バーストエラーは復讐の女神の胡蝶の夢-5 ロキの策謀
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アジトに戻ったときレッドキクロプスは驚愕した。
彼の師パピリオが深手を負い治療を受けていたからだ。
師曰く相手は恐ろしく強くとても敵わない相手だったという。
「し、信じられませぬ師匠!師匠ほどの達人にそこまで言わしめるとは相手は一体何者なのですか!?蛇王ナイトホテップですか!?それとも盲目の剣闘王スパルタクスですか!?」
「いいえ、違うわ……」
そう言うと彼は一呼吸おいてこう言った。
「……武の頂」
それを聞いた途端レッドキクロプスの表情が一変した。
「……ウワサに聞く、灰燼の覇王――乂阿烈!!」
レッドキクロプスの瞳が、驚愕と闘志で燃え上がる。
「なるほど、得心がいきました……師匠。貴方ほどの武仙が敵わぬ相手ならば、尚のこと……私が討たねばならない!!」
「……駄目よレッド、今の貴方ではあの御仁には勝てないわ。それに私は貴方の身を案じて言っているのよ?」
そう言って宥めようとするパピリオだったが弟子は聞き入れなかった。
「何を仰います師匠!!相手がどれほど強大であろうとも退く訳にはいきません!!ここで退いては武人としての名折れです!!どうかご安心ください!!今より更なる修行を積み、奴を討ち取ってみせましょう!!!」
「……やれやれ、困った子ね。じゃあ言い方を変えるわ。貴方No.2ファウストと一対一で闘って生き延びられる?それが出来ると言い切れるなら止めないわ……」
「っ!?、ば、バカな!?師匠、それでは乂阿烈がまるで亜父ファウストと
同格の実力者のように聞こえます…。いや、まさかそんな事があるはずが……」
「残念だけど事実よ。でも、そうね……確かに、貴方がそう思うのも無理はないわね……。けどコレだけは言っておくわ。貴方がファウスト殿と五分に闘えると自信が持てるまで、私は師として仇討ちを認める事はないわ。」
「な、なんですとッ!?」
驚くレッドキクロプスにパピリオは続けて言った。
「いいつけを破ったら破門よ。そして二度と私に顔を見せないで頂戴」
「そ、それはあんまりではありませんか師匠!?」
「……これは貴方に限った話ではないのだけれど、私は武は己の人生を豊かにするものだと捉えてる。真面目一直線は貴方の美点だけど、貴方のその磨き上げた武の技は、誰かの為にだとかじゃなく自分の為に使ったらって思う時があるわ。だから貴方が世界最強の称号が欲しくて乂阿烈に挑むならまだしも、アタシの仇討ちだとかで挑むのはごめんこうむるわ……それでアンタに死なれちゃ目覚め悪いし、何より復讐は何も産まないしね。」
「ですが……!」
なおも食い下がる弟子に対し、パピリオは諭すようにピシャリと言った。
「とにかくアタシから免許皆伝の証をもらうまで阿烈に挑むことはまかりならないからね!!」
そう言って彼は弟子を部屋から追い出した。
(まったくもう……!我が弟子ながら頑固で困る!)
その頃、とある場所にて。
ロキ・ローゲはとある人物と連絡を取っていた。
『そうか、では例の少年は?』
「はい、どうやら我々の動きに気づいたようでして……。」
『まあよい、所詮ただのガキだ。それに、アレも完成したしな……』
「はっ!」
『ところで、例の計画はどうなっているのだ』
「問題ありません。既に手筈は整っております」
『うむ、頼んだぞ?我らの目的を果たすためにもな……』
「お任せください」
通信を切った後、彼はポツリと呟いた。
「やれやれ、カルマストラの爺さんも人使いが荒い……」
イスに座りため息をつくロキに裸体の女が後から抱きついてくる。
「あれ〜?カルマストラってあのカルマストラ二世?あの爺さん何処らか通信してきたの?」
ロキに抱きつく裸体の女はナイアだった。
「聞いてビックリ、なんと龍麗国さ!地球の黒宇宙、スラルの灰色宇宙とも違う赤青黄水桜の五色宇宙の世界からの通信だよ!!」
「ふ~ん」ナイアはそのまま彼の膝の上に座ると彼の頬にキスをした。
すると彼の身体に異変が起きた。
彼の肌が紫色になり始めたのである。
それだけじゃない、彼の背中から触手が生えてきたではないか。
「わお!僕に触手をプレゼントしてくれたの?なんともアブノーマルなプレイをお望みのようだ!」
「ふふっ、やっぱり君は最高だよ♡」ナイアは彼の耳元で囁くように言った。
そう、この露木という青年は人間ではなかった。
それどころか地球上の生物ですらない。
彼の正体は邪神ロキと言う神々の黄昏ラグナロクを生き延びだ北欧系邪神の一柱だった。
かつて、ナイアルラトホテップと共に旧神と敵対した邪神軍の一柱であり、全ての旧神を裏切った反逆の神でもある。
彼がなぜ神でありながら邪神の味方をしているかというと、それは彼自身にも分からないことだった。
そもそもこの邪神は気まぐれなもので、善良なる神と違って気分一つで人間に肩入れしたりも陥れたりもする。
彼はある意味人類にとって最大の脅威とも言える。
なにせ彼は根底でいうのなら、人間の心を知り、人をこの上なく愛してやまない人間大好きの神様だからだ……。
ちなみに彼に人生を狂わされた人間は数知れず。
その中には当然科学者もいるわけで……。
例えば、ロキが神々の禁忌の知識を提供したとある科学者がいた。
彼は天才的な頭脳の持ち主だったが、それ故に歪んだ思想を持っており、やがて科学の力で人間を進化させるのではなく、逆に原初生物のように退化させ進化を違う方向に導いてやるべきだと考えるようになった。
そこで考えついたのが、別進化人類の創造だったのだ。
しかし、彼が作り出したものはどれも失敗作ばかり
自身も研究に没頭し過ぎて病に蝕まれ余命もわずかになった。
ついに彼は追い詰められてしまい自殺してしまった。
だが彼の執念は凄まじく、死ぬ直前に自らの研究成果に自分の体を提供し、その研究成果は彼の意志と知識を得た。
結局彼の野望は潰えてしまったのだが、野望を引き継ぐ後継者は生まれたのだった。
そんな彼の研究データにはこう書かれていた。
“究極の戦闘生命とは?” それを実現させるために作られた実験体こそもうひとりの彼
現在のDr.ファウストなのである。
ファウストは彼が作り上げた人工生命体の中でも最高の傑作として生み出された存在だった。
生まれながらにして高い知能指数を有しており、その知性はもはや人間どころかコンピュータよりも優れていると言っても過言ではなかった。
さらに驚くべきことに人間だけではなく、あらゆる種族に対して特性を奪い自らの進化の糧にできる稀有な存在でもあったのだ。
これはもはや生物を超えた存在であると言っても過言ではないだろう。
「ねえねえナイア、この底知れない戦闘生物が阿烈と闘ったら一体どうなるかワクワクしてこない?最強はどっちかなって観戦したいとおもわない?」
彼は子供のように無邪気にナイアに尋ねる。
「確かに興味深いですが、今はそれより優先すべきことがありますぅ〜」
ナイアは少し残念そうに言う。
ナイアは自分の裸体より、ロキが自分の計画の事で頭がいっぱいなのが不満らしい。
「それにしても面白いことになったね。まさか僕がこの世界に来るなんて思わなかったよ。100年前のラグナロクで滅んで消えたはずの地球にね!」
ロキは嬉しそうに言った。
「ええ、そうね。私も貴方がこの星に来るとは思ってなかったわぁ……」
ナイアも珍しく感情を表に出しながら答える。
ドアダに裏切られ逃げ延びた先のナイン族を、影から牛耳っていたのが邪神ロキだったということは、彼女にとっても嬉しい誤算だったのだろう。
いや、ナイン族の影の支配者が彼だからこそ、彼女の真の主は彼女をナイン族に逃したのだろう。
「……それでどうする?予定通り計画を進めるかい?このままクトゥルフを復活させてしまう?」
ロキが尋ねると、彼女は首を横に振る。
「いいえ〜、せっかくですからもう少し楽しみましょう」
そう言うと一枚の写真をロキの前に置いた。
その写真には雷音達のクラスメイトにして風紀委員長である鮫島アクアが写っていた。
「ねえねえ、この子の経歴しらべたらさあ、なんとビックリ!遠い先祖に"深きもの"がいるんだぁ♡しかもこの子は人魚系の血を引いてるんだよねぇ……きっといいオモチャになるよぉ♡」
それを聞いたロキは思わず吹き出してしまった。
「ぷっ、あははははっ!!!そう来たか!なるほど、“人魚の末裔”と来れば、そりゃもう楽しまない手はないよね!うん、これは最高の“遊戯素材”だよ♪」
そう言って彼は楽しげに笑うのだった。
(ふふっ、どうやらワタシと一緒で、あの坊や達と遊ぶのは楽しいみたいね♪)
それを見たナイアは満足そうに微笑むのだった。
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