乂阿戦記2 第三章 イブ・バーストエラーは復讐の女神の胡蝶の夢-4 ライバル登場!蒼きHEROアーレスタロスvs紅きHEROロート・ジークフリード!
\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/
宿命の黒い鎖に導かれ、今、蒼のHEROと紅のHEROが運命の激闘を繰り広げる!!!
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不意に与徳の携帯が鳴る。
発信者は狗鬼漢児だった。
「はいもしもし?」
『よう親父、ちと大変だ!今イタクァが封印されている氷竜の間にいるんだが、ここが敵襲を受けてるぜ!……』
「敵襲だと!?そんな馬鹿な!!なぜそんなところに!?いや、それより何故お前が狂気山脈の氷竜の間に来ている?」
「話せば長くなるんだが、ノーデンスの大叔父貴からもらった報告書読んだんだ。ナイン族だかクトゥルー教団だか知らんが、どうも連中の目的は"改獣"生成にあるらしい……」
「……改獣?」
「簡単に言うと封獣の真逆の宝具だ。封獣は旧神の総大将”破壊神”が作った対エクリプス封印用の神具だが、改獣は創造神アザトースがエクリプスを産み出す為に作った神具らしい……封獣がクトゥグァやハスターといった強大な邪神を材料に使ってるように、この事件の黒幕はイタクァやクトゥルフを使って改獣を産み出そうと企んでるらしい……それで俺は急いで駆けつけたってわけさ!」
「わかった、すぐそちらに向かう!いいか未成年!くれぐれも前線に出ようとか考えるなよ!荒事事件は俺たち、大人に任せるんだ!」
そう言って、電話を切ると同時に与徳は駆け出す。
が、
「……悪いなオヤジ、今荒事の真っ只中だ……」
狗鬼漢児はため息をついて、目の前の赤い騎士を見やる。
その赤い騎士はイタクァを封じている邪神石を守る氷竜を、目の前に現れるやいなや一撃の下に斬り伏せた剣の達人だった。
「……連絡は終わったか?」
「電話が終わるまで待っててくれたのかい?気を使わせるなぁ……俺の名は狗鬼漢児、別にドアダの構成員てわけでもないが、アンタらクトゥルー教団のヤリ口にムカっ腹が立っている……邪魔をさせてもらうぜ……」
「……レッドキクロプス、そちらが名乗ったのでこちらも名乗ろう、俺の名は九闘竜No.5レッドキクロプスだ。どうやら貴様もあの忌々しいドアダの使い走りのようだからな……ここで死んでもらうぞ……!」
そして二人は同時に動いた。
先に仕掛けたのはレッドキクロプスの方であった。
彼は炎を纏った剣で袈裟懸けに斬るように振るうもそれを紙一重で躱す狗鬼漢児。
しかし、それはフェイントで本命は足元を狙った蹴り技。
咄嗟にジャンプして回避したはいいが、そこから空中で体勢を崩したところに追撃の剣撃。
かろうじて体を捻って致命傷を避けたが、左腕を深く斬られてしまう。
だが怯まず反撃に移る。
落下しながら右手でパンチを放つもそれもあっさり避けられ、カウンターで斬撃が飛んでくる。
慌てて転がりながら避けるも、左肩から出血。
着地した瞬間、再び跳躍。
今度はキックで攻撃するも、またも軽くいなされる。
「なかなかいい動きだな、だが、まだまだ俺には及ばん!」
「くっそ、なんだこいつ、強ぇえ!!」
狗鬼漢児は内心焦っていた。
自分は強い、少なくとも同年代の少年よりは圧倒的に強い。
実際、地球での戦いでも負け知らずだった。
だが、こいつは違う。
次元が違う。
このままでは勝てる気がしない。
(やべぇよ、こりゃあマジ死ぬかもしんねぇわ)
そんな思いが頭をよぎった瞬間、レッドキクロプスの放った突き攻撃が彼の胸を直撃し吹っ飛ばされてしまう。
そのまま地面を転がる狗鬼漢児、口から血を流しながらも立ち上がる彼に更なる追い討ちがかかる。
上から炎の雨が降り注いできたのだ。
「おいおい、嘘だろ!?」
なんとか横に転がってギリギリで避けたものの、完全に逃げ場を失った。
さらにそこへ容赦なく襲いかかる赤い剣による閃光の嵐。
もはや防ぐことすらままならない。
このままではジリ貧だと悟った狗鬼漢児は覚悟を決める。
「無茶無理無謀の意地を通すが漢道!!無茶でも壁があったら殴って壊す!無謀でも道がなければこの手で切り開く!無理をとおして道理を蹴っ飛ばす!殴って壊せと拳が唸る!変!神!アーレスタロス!!!」
蒼い閃光に包まれ漢児がアーレスタロスに変身する。
「っ!? 封獣による変身だと!貴様!この俺を相手に手加減で闘っていたか!!」
屈辱の怒りで唇を噛むレッドキクロプス。
そんな様子などお構いなしに拳を繰り出すアーレスタロスだったが、簡単に受け止められる。
逆に強烈な一撃をもらい吹っ飛ぶアーレスタロス。
だがすぐに立ち上がり構えを取る。
その様子を見てニヤリと笑うレッドキクロプス。
彼もまた戦闘態勢をとると凄まじい速度で攻撃を仕掛けてきた。
スピードはほぼ互角といったところか、互いに一歩も譲らない攻防が続く。
だが徐々にではあるが、少しずつだが確実に押していくアーレスタロス。
「フン、やるな蒼の勇者!ならば俺も出し惜しみはなしだ!改獣の力を見せてやろう!顕現せよ!ヤマンソス・ドゥヴェルクの力!皆曰く、その性は雄風高節にして磊落不羈、他に並ぶものなくして、古今独歩の大豪傑なり。その名は人々の口からも生々世々絶えることなかるべし。変!神!ロート・ジークフリード!!!」
赤い閃光に包まれレッドキクロプスが変身した。
その姿はアーレスタロスとおなじ特撮ヒーローを彷彿させる姿で赤黒い装飾だった。
赤黒の咆哮、爆裂。
炎に包まれた騎士の鎧が現れ、狗鬼漢児とは対になる存在として降臨した。
その瞬間、空気が凍りつく。
火花のように視線が交差する。
蒼と紅――正義の貌をした、宿命の双星。
「……来い、アーレスタロス」
「……望むところだよ、ジークフリード!」
両者、同時に疾走。
拳がぶつかる度、蒼と紅の閃光が火花を裂く。
キックと斬撃が交差し、空間そのものが軋むように震えた。
一撃ごとに世界が割れる――そんな錯覚すら生まれる戦いだった。
これが“英雄”の戦い――!
拳と拳を交差させ合いながら、両者は睨み合い、互いの出方を伺っている。
アーレスタロスが目にも止まらぬスピードで殴りかかるが、難なく受け止めるロート・ジークフリード。
今度はお返しとばかりに、強力な蹴りを叩き込む。
まともにくらってしまったが、体勢を崩すことなく踏ん張る。
すると、ロート・ジークフリード次はこちらの番だと言わんばかりに攻撃を繰り出してきた。
一発一発が重く、避けるだけで精一杯である。
しかも、隙あらば、必殺の一撃を狙ってくるので油断できない。
しかし、このまま一方的にやられてばかりではいられない。
反撃しようと試みるが、やはり上手くいかない。
それどころか、相手の動きに翻弄され、ダメージを負っていくばかりだ。
だが、それでもアーレスタロスは諦めず果敢に立ち向かっていく。
そしてついに、決定的なチャンスが訪れた。
なんと、相手が攻撃を外し、大きなスキを見せたのだ。
これを見逃すわけにはいかない。
「必殺!!漢の鉄拳ドリルパンチ!」
巨大なパンチが現れドリルのように回転してジークフリードを襲う!
敵はぶっ飛び岩壁にめり込んだ!
一気に畳み掛けようとするが、相手はそれを許さなかった。
ジークフリードは頑強な十字受けの防御でドリルパンチを耐えたのだ。
さらには追い討ちをかけようとしたアーレスタロスの攻撃をかわし、カウンターを喰らわせようとしてくる。
『ファフニール・シュトラール!!』そう言って拳から赤い光線を放った。
間一髪光線を躱すが肩の装甲が易々と貫かれていた。
「うおあ!あ、あっぶね!!」
あと一瞬判断が遅れていれば危うくやられるところだった。
その後も、激しい攻防戦が続いたが、結局決着はつかなかった。
(自力の白兵戦技術は向こうが上か!)
仮面の中で狗鬼漢児が顔をしかめる。
(ヒーロースーツ使用の熟練度は向こうが上か!)
仮面の中でレッドキクロプスが顔をしかめる。
二人は同時に距離を取り呼吸を整えた。
(どうする?このままでは勝てない)
(このままじゃ負ける)
(こうなったら奥の手を)
(アレを使うしかない)
両者は交互に同じようなことを考えていた。
「行くぞ!」
「来い!」
凄まじい気迫と共に突進していく両者。
「超鉄拳アーレスブレイクーッ!!」
「ロートドラッヘファウスト!!」
両者の超鉄拳と赤竜拳が激しくぶつかり合う。
衝撃で地面が大きく抉れた。
だが、両者とも一歩も引く気配はない。
むしろ、さらに力を強めていった。
拮抗していた戦況だったが、次第にアーレスタロスが押され始めた。
なんとか持ちこたえてはいるが、このままだとジリ貧だろう。
(くそっ、どうすれば……)
その時、不意に頭の中に閃くものがあった。
それは一つのアイデアだった。
成功するかどうかはわからないが、他に手は思いつかないしやってみるしかない。
アーレスタロスは大きく息を吸い込むと声を張り上げて叫び技を放った。
『化勁転身鉄山靠!!』
最小限の動きで拳の軌道をずらすと、すれ違いざまに必殺の一撃を背中から放った。
その技はかつて、アーレスタロスが最強の敵ナイトホテップから受けた強烈無比のカウンター技だった。
まともにくらえばタダでは済まないことは容易に想像できた。
だがダメージを受けながらも、レッドキクロプス、いやロート・ジークフリードは、気力を振り絞り立ち上がった。
「ぐううっ!小癪な真似をっ……!!だがその技、今はまだ未完成と見た!!」
そう、確かにカウンター攻撃は成功した。
だがアーレスタロスの背中には大きな傷跡ができており、血が噴き出していた。
相手はダメージは与えたが、まだ倒れる様子はない。
(これでもダメなのか!?)
思わず絶望的な気分になった時だった。
「オイオイ、レッドキクロプスの旦那〜、何いつまでもチンタラ遊んでるんだい〜?」
青白い笑い仮面を被った人影が割り込んできた。
マントを羽織り、両手にナイフのように伸びた長い鉤爪をはめている。
「……九闘竜No.6アルカーム」
ロート・ジークフリードが忌々しそうにその名を呟く。
「イタクァの邪神石はこの通り回収が済んだぜ〜、さっさとアジトにかえろうや。」
そういうと器用に鉤爪先に持っていた黒く輝く宝石のようなものを掲げた。
見覚えがある。
あれは間違いなくドアダ首領ガープがイタクァを封じた邪神石だ。
どうやら向こうは今回の任務はこれで終了のようだ。
ならば早く退散するかと思ったが、どうも様子がおかしい。
何故なら目の前の敵が逃げようとしないからだ。
いや、それどころか戦う気満々といった雰囲気を感じる。
するとその男は不気味な笑いを浮かべながら答えた。
「キーヒヒヒヒ!アーレスタロスとか言ったかぁ?噂の蒼の勇者を切り刻めるなんざ今日はついてるぜぇ〜!」
そう言うと右手の爪を伸ばし構えをとった。
そしてそのまま一直線に突っ込んできた。
その動きは速く、目で追うことすら難しいほどだ。
だがそれでも何とか反応することができた。
間一髪でかわすことに成功すると、すかさず反撃に移った。
だがそれも虚しく空を切るに終わった。
さらに連続で攻撃してくるので防ぐだけで精一杯だった。
しかも驚くべきことに攻撃が速すぎて防御するのがやっとなのだ。
このままではまずいと思い、距離を取ろうとするが相手の動きの方が速いためすぐに詰められてしまう。
そこで今度はこちらから仕掛けることにした。
素早く間合いを詰めると拳を繰り出した。
しかし激突するアーレスタロスとアルカームの間にロート・ジークフリードが割って入り戦いを遮った。
「帰還するぞアルカーム…さっき奴は仲間に連絡を取っていた。もうじきドアダの援軍が到着するかもしれん…邪神石が手に入ったのなら、ここはもう用済みだ」
「ヒヒ、そいつぁ残念!まぁ、今回は挨拶代わりってことで勘弁してやるよぉ」
それだけ言うと二人は踵を返し、パピリオ達と同じ転移装置を起動させる。
去り行く前、ロート・ジークフリードはアーレスタロスにこう告げた。
「アーレスタロス…と言ったか?このロート・ジークフリード、次に会う時は容赦せん……お前は俺が倒す!!」
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍るような感覚と心臓が燃え上がるような闘志が同時に湧き上がってきた。
双方は鋭い視線を飛ばし合う。
まるでお互いが死神の鎌を突きつけ合っているかのような、そんな気分だった。
紅い騎士が去った後、その場に残ったのは静寂だけだった。
狗鬼漢児はしばらく呆然としていたが我に帰ると急いで此方に向かって来ている父、与徳の元へ駆け寄った。
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