乂阿戦記2 第三章 イブ・バーストエラーは復讐の女神の胡蝶の夢-2 ネロ・バーストエラーの怒り
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セトアザスはナイン族上層部の命令を受け、メッセージを携えドアダ南極基地に来ていた。
多くの兵がセトアザスに従っている。
メッセージの内容は
「拝啓 秘密結社ドアダ御中
初めまして、ロキと申します。クトゥルー教団の広報……いえ、代弁者を務めております。
先日は、貴団の獅鳳くんとユキルちゃんが、我々の神殿に“突撃訪問”されまして――
おかげさまで柱は3本折れ、神官2名が入院、召喚陣が一部機能不全になるなど、愉快な騒ぎとなりました。いやぁ、本当に心温まる交流でしたね♪
ですがご安心を。我らが新たなナンバーワン、イサカ様は極めて寛大なお方です。
彼女はこうおっしゃいました。
「幼い子供が少しはしゃいだだけ。怒る必要はないわ」と。
さすがですね。私なら全員ミンチにしています。
さて、本題に入ります。
今後、我々クトゥルー教団は“新体制”に移行し、イサカ様の御意志のもと、神話再構築の最終段階に入ります。
そのため、外部からの干渉は一切お断りさせていただきます。無論、こちらからも干渉はいたしません。
ですので、我々はそちらの件を一切咎めませんし、そちらも我々に何もしてこないということで……よろしくお願いしますね♪
これからも素敵な“お付き合い”ができることを願っております。
それではまた、次の新月にでもお会いしましょう。
ごきげんよう。
クトゥルー教団広報・ロキより」
……完全にあおってるとしか思えないふざけた文章だった。
気性の激しいナイトホテップがこの文を読めばドアダとクトゥルー教団の全面戦争は待ったなしだろう。
愚かなセトアザスはメッセージの内容を一瞥もせず、ただ停戦協定の文だと聞かされ秘密結社ドアダの門を叩く。
「おー寒々ッ! なんやねんこの極寒! ドアダやらドアホやら知らんけど、ようこんなとこに秘密基地作ったな!」
雪を蹴散らしながら、セトアザスは吠えた。
「ええか手下どもォ!相手は悪の秘密結社とかジョッカーみたいな連中や!ビビったら負けやぞ!入ったら一発、ガツンとメンチ切ったれや!」
気合を入れるセトアザスに、部下たちは冷や汗を流しながら続いた。
(か、神よ仏よ魔王さま……なにとぞ我らをお守りください……!)
門が音を立てて開いた――。
だがそこに現れたのは、屈強な守衛でも、銃を構えた兵士でもなかった。
――出てきたのは、たった一人の少女だった。
軍帽を被り、漆黒のフリルドレスに身を包んだ、美しき少女。
陶磁器のような肌に、無機質な蒼い瞳。まるで機械仕掛けの天使。
彼女は静かに、にっこりと微笑んだ。
「こんにちは。私はネロ・バーストエラー――
貴様らが攫ったイブの妹機。そして……ドアダ処刑部隊、筆頭」
「な、なんやお嬢ちゃん!?ここは戦場やぞ!?コスプレしてアニメの主人公ごっこかいな!?」
「――黙れ、下郎共」
その言葉が合図だった。
ネロの瞳が、氷のように光る。
「ドアダに牙を剥いた雑魚どもが、生きて帰れるとでも?」
少女の右手が、ふわりと上がる。
「構え――撃て」
パンッ。
引き金が弾かれた瞬間、地獄が始まった。
「な、なにぃいいい!?」
驚くセトアザスらを他所に無慈悲な弾丸は彼らの足を撃ち抜いていく。
凍てついた空気を裂き、銃弾がセトアザス一行に降り注ぐ。脚を撃たれ、叫び声をあげ、崩れ落ちる部下たち。
「ぎゃあああああッ!」「ひぃいいいっ!!」
血と雪が交じり合い、南極の白が真紅に染まる。
「いやああああああああッ!!!」
その中でネロの笑い声が響く。
――それは、人のものではなかった。
天使の顔をした、悪魔の笑みだった。
◇
その様子を基地内のモニターで見つめていたのは、元7将軍・永遠田与徳と、ドアダの幹部達。
「うわぁ……彼女、めっちゃ強いね☆」
「ふむ、実に容赦がないのであるな」
「いや、ボマー将軍!! あれ外交使節ですよ!? 交渉前に撃ちまくるって、マジで星間戦争案件ですよコレ!!」
震えながら叫ぶイポス上等兵を、与徳は軽く肩をすくめて笑い飛ばす。
「ま、なんとかなるっしょ! いざとなったら全員口封じして“遭難しました~てへぺろ☆”で押し通せばいいじゃん!」
◇
そしてネロは、最後の一手を打った。
「あ、そうだ」
ネロはふと思い出したように、スイッチをカチッ。
――爆炎。火柱。絶叫。
ドオオオオン――!!
セトアザス一行の飛行艇が、爆発四散する。
「うぎゃあああッ!!」「た、助けてええッ!!」
見上げた空に、火の花が咲いた。
――地獄だった。
残されたのは、震えながらションベンを漏らすセトアザスだけ。
「ヒエエエエ!か、勘弁!勘弁して下さい〜〜!ワテタダのメッセンジャーボーイなんです!ワテの部下皆殺しにしてもええから、どうかワテだけは助けて下さい〜〜!何でもします!情報も吐きます!足の裏も舐めます!犬の物真似だってします!ワテ以外はどないなってもええからワテの命だけはどうか助けて〜〜っ!!お願いしまーーす!!」
必死に土下座し、頭を地面に何度も叩きつける。雪が赤く染まり、声が裏返っていく。
……惨めだった。哀れだった。いや、もはや「芸」だった。
見苦しく命乞いするその姿に、ネロは顔をしかめ――
バン。
弾丸はセトアザスの股下をかすめて地面を抉った。
白目を剥いて気絶するセトアザス。もはや哀れを通り越していた。
「……撃ち殺す価値もない」
そう吐き捨てたネロの隣に、黒衣の悪魔が立つ。
ドアダの“実質的支配者”――ナイトホテップである。
「……想像だにしないクズだな。ドクズ過ぎてこの俺が空いた口が塞がらなかったぞ?この超ドクズは本当に九闘竜の1人なのか?」
ネロはナイトホテップに跪き話す。
「閣下!ご安心ください。間違いなくコイツは九闘竜です」
「そうか……まあいい、それより例のモノを出せ」
「はっ、こちらになります」
そう言うとネロはスーツケースを開ける。
中には小さな小瓶が入っていた。
ナイトホテップはそれを受け取るとニヤリと笑い呟いた。
「これが……悪魔再生薬か」
「はい。短時間だけ、死なない体になります。壊しても、壊しても……死にません。どれだけ痛めても、死にません」
「……良い玩具だ」
「よし、では早速飲ませてやろう」
「お待ち下さい、私がこいつの上司なら、こいつだけには絶対に大事な情報は持たせませんよ。この男、揺動か何かの使い捨ての駒じゃないでしょうか?イポスの報告にあった他の九闘竜の動向が気になります……こいつは始末しておきましょうか?」
「いや、クズでも一応九闘竜だ。何かしら程度の情報くらい持ってるかもしれん。まあ、取り敢えず尋問するか」
そして、ナイトホテップは懐から注射器を取り出す。
中の液体はドアダ特製の自白剤
悪魔再生薬は貴重だから、安価な自白剤で情報を聞く事にした。
それを男の腕に注入する。
すると男は目を覚ました。
「……ん……ここは……?」
「おはよう、よく眠れたか?」
「……ひっ!?お、お前は……!」
「ほう、俺の事を知っているのか。まあ、当然だろうな。俺はお前達が喧嘩を売った組織のボスだからな!」
「……うわーーん!か、か、か、勘弁して下さい〜〜!命だけは助けて下さ〜い!!」
泣きながら土下座する男を見てナイトホテップは呆れてしまった。
全く情けない奴だな……
さて、これからどうしてやろうかな……? ナイトホテップは考えるフリをしながらニヤついていた。
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