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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記2 第ニ章 翠の勇者龍獅鳳と九闘竜の魔人達-1 関西弁のドクズ


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第ニ章 翠の勇者龍獅鳳と九闘竜の魔人達


ここは、町外れにある小さな道場の一室。

朝の静けさの中、二人の少年少女が向かい合っていた。


年の頃は十代前半ほどか。

少女は道着を着込み、少年は剣道着に身を包む。

その前に置かれていたのは、一振りの刃渡り90センチほどの木剣。


少女が口を開く。


「……じゃあ、始めようか。まずは素振り百回からね!」


ヒュン、と鋭く風を裂く音。

鞘から抜いた剣が一閃し、空気が震える。

その動きを見て、少年も慌てて木剣を構え、振り下ろす。


そんな稽古風景を、道場の外から覗き込んだ男が声をかけた。


「おいおい、雷華ちゃんに阿乱くん。二人とも、もう始めてるのか?」


声をかけたのは、無精髭にボサボサ髪――野生味の漂う中年男・永遠田与徳。

その隣には、スレンダーな長身美女、道場主である妻・狗鬼ユノが並んでいた。


「おはよう、二人とも。相変わらず早いわね」


「おはようございます!」


「おはようございます、与徳先生、ユノ先生!」


礼儀正しく頭を下げる二人に、与徳が首をかしげる。


「それにしても、今日も朝から元気だな。何かあったのか?」


雷華と阿乱は顔を見合わせ、小さく頷いた。


「今日、学校の先生に教えてもらった剣術の成果を見せたくて……!」


「あら、スパルタクスさんね。あの人、子供には本当に親身だから」


ユノが微笑む。

与徳がニヤリと笑った。


「なるほどな……よし、じゃあ俺も手合わせしてやるか!」


「えっ!? 本当ですか!?」


与徳は二人の頭を軽く撫でる。


「ああ、もちろんだとも」


そうして四人は稽古の準備を整え、道場へと向かった――が、その瞬間。


バタバタバタッ、と駆け足の足音。

道場の玄関から、一人の少女が勢いよく飛び込んできた。


「お父さん!! お母さん!!」


駆けてきたのは、青の魔法少女・狗鬼絵里洲だった。


「あらら、また甘えん坊さんね」


「おいおい絵里洲、学校はどうした? まさかサボりじゃないだろうな?」


絵里洲は必死に首を横に振り、顔を強張らせて叫んだ。


「違うの! 誘拐よ、誘拐!! ユッキーと獅鳳くん、それに雷音くんも――クラスの友達がごっそりさらわれちゃったの!!」


「なにっ!?」


与徳が目を見開く。


「誰にやられたんだ!?」


「それが……分からないの。突然、扉みたいなのが現れて、手みたいな何かが出てきて……捕まれた子はみんな消えちゃったの!」


ユノが静かに呟く。


「……転移系の魔法ね。でも、誰が何のために……?」


「伯父貴に連絡だ」


即座に判断し、三人は秘密結社ドアダのトップ・永遠田左丹に事態の報告を行った――。



***


同時刻。


獅鳳たちは、異様な空間に囚われていた。


「おい、なんだよこれぇっ!?」


雷音の怒声が響くが、皆の不安は消せない。


そこは教室ほどの広さの部屋。

壁も床も漆黒の金属のように冷たく、無機質な静寂が支配する。


天井は高く、窓もない。

中央には円卓、壁際には「1〜6」の数字が貼られた扉が並んでいた。


試しに取っ手を回すも、どれも開かない。


確認できる仲間は――


雷音、獅鳳、キース、アキンド、イポス。

神羅、アクア、レイミ。計八名。


部屋の隅で見つけた奇妙な装置。

液晶画面とダイヤルがついたそれは、未来的なコンピューターのようにも見えた。


「これ……操作できれば、何か分かるかも……」


しかし、ボタンを押しても反応はない。


落胆しかけたそのとき――


ガチャン。


鍵の開く音が響く。


「助け……?」


そう思い扉を開けると、現れたのは――ボサボサ髪の小太り男だった。



挿絵(By みてみん)


「おうおうおう! お前らやな? 魔法学校のヒーローモドキ共は!」


セトアザスと名乗る男は、自称・クトゥルー教団九闘竜No.9の大幹部。


「突然ですがお前らは誘拐されました! ドアダのイブを捕まえるエサにしたるから命が惜しかったら大人しゅうしとれよ?おら!返事は?」


「「「は?」」」


「“は?”ちゃうわ! “はい!”って言えやボケェ!! 腹から声出せや!!」


怒鳴りつけた瞬間、次の瞬間――


「うるせえ!」


「うざい!」


「退場!!」


怒涛の勢いで、獅鳳たちはセトアザスをボコボコにした。


「ぎゃあああああッ!!」


やがて彼は正座させられ、全員に囲まれて震えていた。

特に獅鳳は、“大切な乳母が狙われている”と聞かされ、怒りを隠しきれていなかった。


「……なんなん? 君ら子供やのにメッチャ強いやん……ワテ、こんなん聞いてへんで……」


セトアザスは両手を上げてガタガタ震えている。

今にも失禁しそうな顔だ。


獅鳳が詰め寄った。


「俺たちを攫った目的は何だ!? ここはどこだ!?」


問い詰められたセトアザスは、突如号泣し始めた。


「うわあああん! 怖いよぉお! 助けてええ!! ママぁぁ!!」


レイミは床で転げ回る彼を見て、少しだけ哀れになり、飴を取り出した。


「ほら、飴ちゃんあげるから泣かないで?」


差し出されたキャンディーをしゃくりあげながら受け取り、セトアザスはようやく口を開いた。


「……ぐすっ……ワイ、クトゥルフ様の下僕なんやけど……最近ヒマでな。上司から“面白い作戦がある”って聞いて来てみたら、面白そうな奴らがようけおったんや。それで、つい……な……」


――やはり敵か。

だが、それ以上に気がかりなのは、今いるこの空間の正体だった。


 


天井は高く、壁も床も漆黒で光を反射しない。

まるで金属の胎内。静寂がすべてを支配している。


雷音たちは必死に動いていた。


獅鳳、神羅、キース、アクア、レイミ、アキンド、イポス――そして雷音。


六つの扉の数字、壁の異常、装置の挙動。

どれか一つでも突破口になればと、皆で動き続けていた。


だが。


その希望は、唐突に――“それ”によって叩き潰された。


 


――ゴゴゴゴゴゴ……


 


低く、地を這うような振動音。


「……地震、じゃねぇよな……!?」


バァン!!


壁の一部が吹き飛ぶ。


そこから現れたのは――異形の触手。

タコの足のようなそれは、表面に無数の眼球を湛え、赤黒い液体を滴らせていた。

吸盤の代わりには、人間の口のような器官が並び、カタカタと笑っている。


「うっ……!」


「来るぞ!!」


雷音が叫び、剣を抜いた。

魔剣クトゥグァが火を噴き、目前の触手を焼き払う。


キースは拳で迎え撃ち、アクアは水の盾を展開。

イポスが滑り草で足場を操作し、レイミが防御結界を張る。


だが――数が違う。


一本の触手が、雷音の足に巻きつく。


「しまっ……!」


剣を振る間もなく、雷音の身体は宙へと引き上げられる。


「雷音!!」


神羅が叫び、駆け寄った――


バギィィィン!!


その瞬間、床が崩れた。


雷音の身体が、闇の中へと落下していく。


下に広がるのは――奈落。

触手の海。無数の口腔。食らうために開かれた顎。


「やめろおおおおおッ!!」


雷音の絶叫が響くが、その姿は呑まれていった。


 


――ズズズ……バシュゥ!!


 


仲間たちも次々に、崩落に巻き込まれていく。


神羅、キース、アキンド、アクア、イポス、レイミ――

誰一人として逃れることはできなかった。


触手に囚われ、吊り上げられ、生贄のように掲げられ――


 


ゆっくりと、闇の奥へと呑まれていった。


 


絶叫と共に、光は潰えた。


 


……そして。


部屋には、ただ静寂だけが残った。


喧騒も、希望も、声さえも消え失せた空間に――


もはや、誰一人として、残されてはいなかった。

https://www.facebook.com/reel/2967587640090494/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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