乂阿戦記2 第一章 桜の魔法少女神羅は女神ユキルの生まれ変わり-2 タイマン張ったらダチ!
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レイミさんとの平和な日々が続く中――あの夜、私は“地球の魔法学園”という言葉が、まさか“バトルロワイヤルの別名”だったことを知る。
ある夜、私が自室で勉強していると、玄関の方から控えめなノック音が響いた。
ドアを開けてみると――
「こんばんは、神羅さん……」
そこに立っていたのは、義弟の獅鳳くん。
どこか気まずそうにしている。
「どうしたの?」と尋ねると、返ってきた答えは思いもよらないものだった。
「クラスメイトから、決闘を申し込まれてしまって……」
……は?
ちょっと待って、何その異世界バトルテンプレみたいな展開。
相手の名は蛮童熹助――自称キース。
身長180センチ、体重80キロ、筋肉ゴリゴリのマッチョ男子。
神楽坂レイミさんから聞いたことがある。
たしか、銀河連邦から派遣されたHERO候補生のひとり――のはず。
なぜそんな人が、地球の魔法学園に?
謎だけど……とりあえず話を聞いてみることにした。
「体育の授業でペアを組んだとき、突然“お前、強いな!最強を決めようぜ!”って言われて……断れなかったんだ」
「なんで断らなかったの!?」
「俺も、武人の端くれだからな。あんなに堂々と挑まれたら……引けないだろ」
そう言って笑う獅鳳。
でも、その瞳はまるで笑っていなかった。
……あああ!思い出した!!
この子、普段はまともだけど、スイッチが入ると急に中二病モード突入で、しかもやたらと強くなるんだった……!
しかも相手はあのキースくん。
銀河連邦所属、ゴリマッチョパワー型。
……もう、仕方ないかぁ。
私は半ば諦めて、心の中で小さくつぶやいた。
そして――結果は、当然のごとく獅鳳の勝利に終わった。
だが、問題はそこからだった。
なんと翌日、キースくんは再び決闘を申し込んできたのだ。
しかもピンピンして元気いっぱい。獅鳳は手加減なんかしてなかったのに……なにこの超回復。
さすがにしつこいでしょ、と思った私をよそに、獅鳳はまるで気にする素振りも見せず――
むしろ、闘志に火がついているようにすら見えた。
……ああもう、こうなったら付き合うしかないよね。
……って、私この台詞、何回目だろう。
こうして始まった獅鳳vsキースの果てしない決闘ロード。
最初こそ獅鳳が圧倒していたけど――
キースは、戦うたびに、どんどん強くなっていったのだ。
倒れても、立ち上がる。
やられても、笑う。
また挑む。そしてまた倒され、また立ち上がる。
その繰り返しの果てに、気づけば彼は――
“倒れるたびにパワーアップする筋肉ゾンビ”……いや、“毎日が新フォーム解禁日”みたいな奴になっていた。
そして、運命の一日がやってくる――
その日も、いつものように学校裏で戦っていた二人だったが――
なにかが違った。
「はぁ、はぁ……これで最後だ!」
「いいぜ……かかってこい!!」
二人は同時に駆け出し――拳と拳が交差した、その瞬間。
轟音とともに、周囲が吹き飛ぶ。
「ぐわああああああ!!」
「うわああああああ!!」
空中で激突し、そのまま地面に叩きつけられるふたり。
「ぐっ……!」
「くうう……!」
ボロボロになった身体で、なんとか立ち上がろうとする。
でももう、限界だった。
それでもなお、拳を握り、睨み合う。
「くっ……くそぉ……!」
「ふぅー、ふぅー……ぐぅぅぅ……!」
私は二人に駆け寄り、叫んだ。
「もういいでしょ!? これ以上やったら、死んじゃうよ!?」
でも、彼らの耳には届いていないみたいだった。
むしろ、ますます闘志を燃やしているように見える……。
そのときだった。
グラウンドに不釣り合いな優雅な足音が響く。
「おやおや、また血みどろの交流戦デスカ?」
静かに現れたのは、獅鳳の乳母にして完璧すぎるメイド――イブさん。
彼女は倒れたままの彼らに近づき、そっと手を差し出した。
すると次の瞬間――彼らの傷が、一瞬にして癒えたのだ。
ナノマシンによる治療装置が作動し、傷ついた身体がみるみるうちに回復していった。
「……あっ、イブさん!」
私が声をかけると、イブさんは微笑みながらこう言った。
「ふふふ、お二人とも仲がよろしくてなによりです。昔のリュエル様とユノ様を思い出しますよ」
「えっ、ユノ母さん? 獅鳳くんのママと喧嘩してたの? 親友だったって聞いてたけど……?」
驚く私に、イブさんはやさしく説明する。
「ええ、お二人は“強敵”と書いて“トモ”と呼べる関係でした。同じように、獅鳳坊っちゃまとキースさんも、相手が嫌いで戦っているわけではありません。お互い、急所や後遺症が残るような攻撃は避けていらっしゃいます。敵意は、まったく見えませんよ」
「へぇ~そうなんだぁ……あれ? でも今ってもう敵じゃないんだよね? なのに、どうしてあんなに本気で戦ってるの?」
私が不思議そうに首をかしげると、イブさんはさらりと答えた。
「きっと、お二人とも武術が大好きなのでしょうね。同年代で、全力で闘える相手ってなかなかいないものです。やっと巡り会えた“同格”と、全力で戯れたいのだと思いますよ」
そっか――
敵とか味方とか、そんなの関係ないんだ。ただ、お互いに全力をぶつけ合える相手が嬉しいんだ。
私は思わず笑みをこぼした。
ああ、馬鹿弟の雷音とオームくんも、似たような関係だったよなぁ……
そのとき、イブさんがふと思い出したように言った。
「そういえばユキル様、そろそろ学校へ行く時間では?」
えっ!? もうそんな時間!?
急いで準備して、私と獅鳳くんとキースくんは大慌てで魔法学園に向かった。
ギリギリだったけど、なんとか間に合った……よかったぁ~~……
放課後。今日は生徒会の仕事があるので、生徒会室に行くと――会長がすでにいた。
「やあ神羅ちゃん、いらっしゃい♪ 今日も可愛いね♪」
そう言って出迎えてくれたのは、三年生で生徒会長の露木サウロンさん。
黒髪の美男子で、男女問わず絶大な人気を誇る学園のアイドル的存在だ。
そんな人気者の彼は、なぜか私に好意的で、いつもこうやって声をかけてくれる。
私も、信頼はしてるつもり。
でも――正直、ちょっと苦手だ。
笑顔は優しいのに、背筋がゾクリとする。どこかが、あの“ナイア”に似ているのだ。
……ナイア。
かつて私が戦った邪神。
ズル賢くて、執念深くて、何より――
私の大切な仲間を殺した、憎むべき相手。
露木さんの微笑みを見るたびに、あの忌まわしい笑みがフラッシュバックする。
(いけないいけない、こんなこと考えてちゃダメだよ、私)
気を取り直して挨拶しようとした、その時――
ドオォォォォンッ!!!
爆発音!? と思った瞬間、校舎が大きく揺れた!
「うわっ!」
倒れそうになった私を、誰かが支えてくれた。
「おっと、危ない」
それは――露木さんだった。
「えっ、ありがとうございま……」
言いかけて、私は混乱する。
え、なにこの状況。
なんで、よりによってこの人に助けられてるの私!?
……うわっ、顔熱い……ちょっとやだ……!
そんな私の動揺をよそに、生徒会室の扉がバンと開いた。
「おいお前ら、大丈夫か!?」
入ってきたのは、我らが担任・雷牙尊ことタット先生と、その直弟子で同級生のルシル・エンジェルさんだった。
「一体何があったんですか先生!」
「分からん。突然、大きな音とともに地震が起きたんだ」
「みんな、怪我は?」
「はい、大丈夫です」
「俺も無事だ」
「僕も平気でーす」
どうやら全員無事。
でも、あの爆発音……一体、何があったの?
そう思っていた矢先、また扉が開いた。
「露木はいるか!? フレアの馬鹿が、また連邦のHEROと喧嘩おっ始めやがった!」
現れたのは、三年の紅烈人先輩だった。
えっ!? あのフレアが!? またなにかやったの!?
私は慌てて窓の外を見る――
「……あれ、フレアとアクア!?」
グラウンド中央。二人の少女が、変身バンク全開、まるでアニメのクライマックスみたいな姿で向き合っていた。
金髪ポニテのフレア・スカーレット。
水色の髪を波打たせる鮫島アクア。
どちらも私のクラスメイトだが、今は明らかに臨戦態勢。
「やめろってば、フレア! 学園内で魔法は禁止!」
「はぁ!? こいつが先に挑発してきたんだろうが!」
「くだらない言い訳ね。私は貴女の存在が校則違反だと思っているのよ」
……こいつら、本気だ。
「紅焔爆裂砲!!!」
「氷牙乱舞!!!」
ズガァァァァァァァンッ!!!
爆炎と氷柱が激突し、空が割れるような轟音とともに、熱風と氷霧が校庭を覆い尽くす。
次の瞬間――グラウンドは一瞬で、火山と極地を足して割ったような“廃墟”になっていた。
「うわああああああ!?!?!?」
生徒たちは叫び、教師陣も対応できず。
もはや“事件”じゃない、“災害”だ。
私は、頭を抱えるしかなかった。
「もう……やだ……帰りたい……」
その後、先生に事情を説明し、他の生徒たちは帰宅させることに。
生徒会の露木会長、そしてフレアの監督役の烈人先輩とともに、騒動の詳細を聞くことにした。
ちなみに他のメンバーたちは被害状況の確認に校内を奔走中。
私も手伝いたかったけど、会長に止められてここで待機中。
「で、なんでこんなことに?」
ルシルが尋ねた。
「それが俺たちにも分からん。書類仕事をしてたら、突然ドカンと来たんだ」
タット先生がため息をつく。
「私はお前らが原因かと思って慌てて来たぞ」
「そんな訳ないでしょ! こっちだって被害者ですよ〜!」
そして――
「フレア君とアクア君を呼んで、事情聴取だ」
さっそくフレアに話を聞くことにした。
「ねぇ、どうして戦ってたの?」
「決まってんだろ、あいつが先に仕掛けてきたからだよ」
うわ、すごい言い草。
「じゃあ……魔法、なんで使ったの? 学内で攻撃魔法は禁止されてるけど……」
「……知らね。勝手に出た」
「え、なにそれ?」
「だから知らねって言ってんだろ! つーか、お前こそ何者だ? まさか連邦の仲間とかじゃねーよな?」
「違うわよ! えっと、クラスメイトだし、仲良くしたいだけというか……!」
ああ、また変に誤解されたかも。
でも、なんとか話は進んだ。
「最後に一つ。どうしてここにいるのか、分かる?」
「……知るか!!」
キレられた……!
私の代わりに、タット先生が尋ねる。
「そもそも何が原因なんだ?」
二人は揃って答えた。
『あいつが気に入らないから!』
やっぱりかーーーッ!!!
そこへ、新たな声が飛び込んでくる。
「リリスさんとセレスティアさんが変身バンク付きで開戦です!」
「雷音君とオーム君、また喧嘩してます! ……今度は伝説の封獣兵器、クトゥグァとベリアルハスター召喚して巨大ロボバトルしてます! もう校庭、地獄みたいなことになってます!!」
私は静かに、頭を抱えた。
「……もう、学園やめたい……てか、昨日も言った気がする……」
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