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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記1 終章 これは始まりの物語の終わりの闘い-9 vs ナイアルラトホテップ


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「さあ、踊れ。お前たち――我が奏でる地獄の調べに合わせて、歌い、踊り、狂い、殺せ!!」


ナイアの咆哮とともに、音楽が始まった。


サキュバスたちが奏でるのは忌まわしき殺戮の旋律。

触手の皮で編まれたギターが絶叫し、歯骨のドラムが怒りを刻む。


その不協の調和が流れた刹那、邪道勇者アシュラが吠えた。

その五つの顔が一斉に、咆哮を轟かせる。


対するは、神羅率いる十人の勇者たち。

少女たちが、今、前線に立つ。


「みんな、準備はいい? 打ち合わせ通りいくわよ!」


神羅の号令に、全員が頷く。


――勇魔共鳴、発動。


赤き魔剣クトゥグァを構える雷華が、翠の戦士・獅鳳とリンク。


雷杖ドゥラグラグナを手にしたミリルが、雷音と結びつく。


魔王の仮面・ベリアルハスターを纏ったエドナが、オームと共鳴。


戦神帯アーレスタロスを巻いた絵里洲が、狗鬼漢児の魂と繋がる。


聖弓ユグドラシルを構えた神羅は、黒き鵺と霊識を重ねた。


これが、勇者と魔法少女の融合形態――完全勇魔共鳴陣形。


今、戦いの重心は男から女へ。

戦乙女たちが前線へ、勇者たちは後方からその力を支える。

サポートに回った男たちは、魔力の流れによって小さくなり――


雷音は赤き小竜、獅鳳は翠の小竜、オームはツノ生えた黄色マントの小悪魔、

漢児は蒼きチビ狼となって後衛に控える。


唯一の女性・鵺は神羅の背後に“黒き女神”として浮かび、静かにその魂を支える。


『行くぞ!』


十人が同時に走り出す――!


最初に仕掛けたのは、やはりアシュラだった。


巨体が跳躍し、ニンジャ刀を構えて斬り込んでくる。

だが――


「……見えてるわ!」


神羅は躊躇なく後方に跳び、回避。


その瞬間、鵺が呪文を発動。


「――時よ、舞え。『時旋律タイム・フロー』」


時の歯車が廻り出し、味方全員の行動速度がブーストされる。


狙いは神羅。

アシュラは動きを封じるために追い縋る。


だが、立ち塞がったのは――ミリルだった。


「させないのだ!」


少女は雷杖を掲げ、電磁のバリアを展開。

一瞬で形成された防壁が、斬撃の衝撃を受け止め、すべて流し斬り捨てる。


さらに――


「せいやっ!!」


雷華が横から蹴りを叩き込む。


アシュラの巨体がよろめく。バランスを崩した。


「今だ、いくでええぇぇ!!」


エドナが突撃。


「セヤァァァァァ!!」


巨槍と蹴りが交差し、アシュラに連撃を浴びせる。


――雷華とエドナ。


共に阿烈から武術を仕込まれた、女子組最強の肉弾戦コンビ。


男子すら寄せ付けぬ彼女たちの連携に、アシュラは完全に押され、防戦一方へと追い詰められていく。


(このまま……いける!)


そう思った瞬間だった。


アシュラの動きに“異変”が生じた。


五つの顔が、苦悶のように歪み、呻きを漏らす。


「ギ……ギアアアアアア!!」


そして――


空中に浮かぶ四本の武器腕が、突如として発狂したように唸りを上げた!


「来るっ!! 退避!!」


ミリルの叫びに、全員が跳ぶ!


しかし――遅かった。


野太刀の腕が、ミリルの右脚を切り裂いた。


「くっ……あああああっ!!」


鮮血が舞い、ミリルが倒れる。


「ミリル!!」


神羅が矢を放つ!


聖弓ユグドラシルから放たれた光の矢は、

アシュラの大楯を穿たんと空を裂く――


が、一撃目は受け止められる。


だが、神羅は止まらない。


「次っ……!」


第二射。


光が盾を穿ち、腕の肩口に命中。鈍い呻きが漏れた。


第三射は狙撃銃の腕に向けられる。


回避する腕。撃ち返される銃弾。

その銃弾をなんとか少女達は回避する。

「確認……絵里洲、スピーカーの準備完了……鎮魂の歌の用意はいいか?」

準備の整った絵里洲が白水晶に応える。

「うん!まっかせなさい!」

そう言うと絵里洲は目を閉じ精神を集中させ歌を唱う。


戦場に響いたのは、

蒼い魔力の旋律。


「♪――我ら生まれた日違えども……」


歌い始めたのは、狗鬼絵里洲だった。

瞳を閉じ、胸に両手を重ね、静かに――しかし確かに、

その声は響いていた。


「♪――死す時は、同じ日、同じ時……同じ墓に入り……」


白水晶がそっと頷く。

音響魔法と融合したその声は、スピーカーを通じて闘技場全体に広がっていく。


それはただの歌ではない。

乂族に古来伝わる、戦士の鎮魂歌――


今は亡き仲間たち、

かつて血を流し、剣を取り、誰かを守り、倒れた者たちを、

安らかな眠りへと導く、魂の子守唄。


その音色が触れた瞬間――


ミリルの裂けた脚が、静かに癒え始めた。


「えっ……何これ? 足が、傷が……!」


肉が閉じ、痛みが引き、力が戻る。


(……これ、回復魔法じゃない……歌、なのに……)


混乱するミリル。だが、今は問う暇はない。


彼女はすぐに頷くと、仲間と共に再び歌を口ずさんだ。


「♪――同じ夢を見て、同じ道を歩まん……」


その歌に呼応するように、

各々の封獣宝具に埋め込まれた宝石が共振し、淡い光を放ち始める。


宝石から発せられた光が、

戦場に立つ“邪道勇者アシュラ”の五つの顔に降り注いだ。


「……ぁ、あああああ……!!」


五つの顔が、震える。


怒りではない。苦しみでもない。


それは――歓喜。


「……無念が、祓われる……!」


ナイアが叫ぶ。


「馬鹿めぇ!! 私がそんな簡単にアシュラを成仏させるとでも思ったか!!」


サキュバスたちが狂ったように演奏を始める。


ナイアは叫ぶように、呪殺の歌を詠唱した。


「暗黒のファラオ万歳 ニャルラトテップ万歳

くとぅるふ・ふたぐん

にゃるらとてっぷ・つがー

しゃめっしゅ しゃめっしゅ……!」


その声は空間を歪ませ、地脈を狂わせ、魂の安寧を犯す。


「殺せ、殺せ、殺せ!

犯せ、犯せ、犯せ!

壊せ、壊せ、壊せェェ!!」


「やめろぉぉぉぉぉ!!!」


神羅の絶叫。


全身から桜色のオーラが迸り、

聖弓ユグドラシルに、すべての怒りと祈りを収束させた。


「この歌だけは……絶対に、許さないっ!!」


矢が放たれる。

桜色の光が轟雷となり、空を裂く。


だが――ナイアの姿はすでに、そこにはなかった。


虚空を切る一撃。

残ったのは、ただ冷たい風の音だけだった。


「くっ……!」


ナイアが上空から、嘲るように声をかける。


「無駄ですよ? 所詮、人間の力では私には敵いません」


その言葉に、神羅が歯噛みする――その時だった。


「……そうかな?」


その“声”に、ナイアが背後を振り向く。


「――まさか、お前……!?」


そこに立っていたのは――


銀色の魔力を纏った少女。

最強の魔女、ラスヴェードの転生者。乂羅刹だった。


「確か、戦力外でベンチ入りになった選手も、“声援”は認められてるんだったな?

……だから来たよ、歌いに」


「お前の歌……だと?」


「ただし――私が歌うのは“鎮魂歌”じゃない。

我が軍の、訓練用ケイデンスだ」


にやりと笑った羅刹の身体から、銀のオーラが立ち上る。


その気配は神聖にも、禍々しくも感じられた。


「ええええ!? まさか……あの下品な軍歌を歌うつもり!?」


神羅が顔を赤くする。


「当然だろう! アシュラの魂を覚ますのは、アレ以外にない!」


羅刹が腕を組み、大声で叫ぶ。


「さあ諸君!!歌え!!」


羅刹を皮切りに、

戦士たちが一斉に“歌い始めた”。


『♪ 無貌の神が出ったぞぉ〜

コイツはどでかいビチクソだぁ〜

見敵必殺ブチ殺せ〜

クトゥグァで切ったらイチコロだぁ〜

しばき、上げろ! どつき、回せ! ぼてくり回せェェ!!』


ナイアが耳を押さえる。


「な、なにこの不快な旋律はぁぁっ!!?」


神羅が内心で泣く。


(アウー、……魔法少女らしくもっとキラキラした歌にしてほしかったよ……)


雷音たち男性陣までが合唱に加わり、阿烈まで大声で歌い出していた。


ジャムガは腹を抱えて笑っている。


アシュラの五つの顔が――泣いていた。


それは、血の涙。


そして、五つの顔はゆっくりと、後方のナイアに向き直る。


その眼に宿ったのは、裏切られた者の怒りだった。


羅刹が、ニヤリと笑う。


「おや……どうやら、援軍が来たようだな?」


アシュラが咆哮した。


武器を捨てたその巨体は、もはやナイアに向けてのみ怒りを燃やしていた。

背中から伸びる六本の武器アームが、ひとつ残らず振り上げられ、

彼女――紫の魔女ナイアルラトホテップを狙う。


「まさか……私を……!? やめろっ、アシュラ!! お前は私の傀儡だろうが!!」


叫ぶ声が、氷のように空気を裂く。


だが、六本の手は止まらない。


「や、やめろ……来るな……来るな……!!」


襲いかかる腕を、ナイアは必死に回避する。

跳ね、飛び、魔力で加速しながら。


だが――追撃は止まない。


その一振り一撃が、すべてナイアに向けられていることに、誰の目にも明らかだった。


(あれは……アシュラじゃない。亡者たちの怒りだ。仮初の命を与えたことで、死者たちの魂が呼び覚まされた……!)


羅刹が笑った。


「グギャギャギャギャギャ! 貴様が蘇らせたのは、我らが部下の兵士たちだ。

無念のまま倒れた彼らに“命”を与えたことが、お前の失敗だ!」


阿烈も言う。


「奴らはな、ワシと羅刹が鍛え上げた、誇り高き戦鬼たちだ。

貴様ごときが制御できるはずもなかろうが!」


「黙れぇぇぇええええええっ!!!」


ナイアが絶叫し、全魔力を解き放つ!


すると大地が震えた。

気温が急速に下がり、空気が凍り始める。


氷柱が地面から立ち昇り、

吹きすさぶ凍結の嵐が戦場を白銀に塗り替えていく。


「凍れ……世界よ、凍りつけ!! すべての動きを止め、命を止めろッ!!」


それはまさに神の咆哮だった。

氷が触手のように蠢き、魔法少女たちに襲いかかる。


だがその時――


「させるかッ!!」


雷華が、魔剣クトゥグァを振るう!


炎が――黒炎が、氷を焼き払い、炎の道を作る。


「もういい加減降参したらナイアルラトホテップ?」

神羅が聖弓ユグドラシルを構える。

「あかんあかん、コイツは降参なんかさせたらあかん!」

エドナが黄金に輝くグングニールレプリカを構える。

「魔剣クトゥグァで今度こそ消滅させてやる!」

雷華が魔剣クトゥグァを構える。

「プークスクス!ねーねーナイア、今一体どんな気持ち?どんな気持ち?貴方の不様な姿超〜ウケるんですけどぉ〜?」

絵里洲が蒼い魔法ステッキを構える。

「みんな最後まで油断したらダメなのだ!次の攻撃で決着をつけるのだ!」

ミリルが雷杖ドゥラグラグナを構える。

味方となった邪道勇者アシュラを背に、雪原と化した闘技場に立つ五人の少女達の姿はさながら戦乙女のようであった。

「おのれユキル〜〜〜〜〜〜!!!」

その言葉と共にナイアの身体が大きく膨れ上がりその姿を変えていく。

その姿はまるで燃える三眼と黒翼を備えた異形の魔神のようだ。

まさに悪魔と呼ぶに相応しい姿。

それが今のナイアルラトホテップの姿だった。

挿絵(By みてみん)

ナイアルラトホテップはユキルへの憎悪のままに吠えた。

その叫びと同時に口から吹雪が巻き起こり、瞬く間に世界を白く染め上げていく。

猛烈な吹雪で闘技場は白い世界と化していた。

氷柱が生きた触手のように蠢き少女達に襲いかかる。

邪道勇者アシュラが大楯を持って突進しナイアルラトホテップへの道を作る。

その中を5人の少女が駆け抜ける。

少女達は新たな歌をうたい武器に神秘の力を宿す。

その歌は勇気の歌。

絶望を打ち砕く希望の力。

それはまさしく勝利を導く力ある調べであった。

その歌声はどこまでも力強く、それでいて美しく響いた。

魔法少女達は可憐に舞い邪悪な神を斬りつけていく。

5人の少女達の手に持つ武器から眩い光が放たれ、天を突く光の刃となる。

そしてその光は一斉に振り下ろされた。

「うおぉぉぉおおおおぉおおぉぉおおおおお!!!」

雄叫びを上げながら放たれた一撃に呼応するかのように大地が揺れる。

光に飲まれたナイアルラトホテップはその巨体を少しずつ小さくしていく。

やがて全ての光を消し去った時、そこに立っていたのは元の人間サイズのナイアルラトホテップだけだった。

ナイアルラトホテップはもはや立ち上がる気力も無いのか地面に這いつくばったまま動かない。

そんな無様な姿の敵にとどめを刺すべく神羅が一歩前に出る。

「この一撃で終わらせてあげる……」

雷華から神羅に手渡された魔剣クトゥグァが炎に包まれる。


神羅の手の中で、クトゥグァが燃え上がる。


炎は弓と同調し、矢の形に変じた。


「これで、終わりよ。ナイアルラトホテップ……!」


全魔力が神羅の体を貫き、

祈りと怒りと願いが、一本の炎の矢に凝縮される。


「――“魔炎光矢・クトゥグァ”!!」


その名を叫んだ瞬間、

矢が閃光となって放たれた。


紅蓮の尾を引きながら、

それは真っ直ぐにナイアへと届いた。


ナイアの目が見開かれる。


「やめ――」


その声が終わるよりも早く、

矢は彼女の胸を貫き、光の爆発を生んだ。


紅と白の閃光。

それは世界そのものを焼き尽くすかのような浄化の火柱だった。


爆風が戦士たちを吹き飛ばし、風圧が瓦礫を舞い上げる。


誰もが目を覆うほどの輝き――

だが、その輝きが収まったとき。


そこにはただ、黒く焦げた肉塊だけが残っていた。


――ナイアルラトホテップ、消滅。


一瞬の静寂。


「や、やったのだ……!」

ミリルが叫ぶ。


「ついに……倒したのだ……!!」


勝利の実感が波紋のように広がり、

少女たちはその場に崩れ落ちた。


限界だった。


炎の矢に全霊を注いだ神羅も、

崩れるように地面に膝をついた。


そして――


アシュラが、静かに微笑む。


その姿は、安らかな笑みに包まれた戦士そのものだった。


「同志諸君、大義であった……」


その声が風に乗り、

巨体が塵となり、光となって天へと昇っていく。


「……安らかに眠れ」


羅刹と阿烈が、黙して敬礼を送った。


それは、最強の敵であり、最も誇り高い同胞たちへの、最後の別れだった。


こうして――

“紫の魔女”ナイアとの戦いは、終わった。


そして世界は今、ようやく“始まり”の終わりを迎えたのだった。



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↑イメージリール動画


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