乂阿戦記1 終章 これは始まりの物語の終わりの闘い-6 羅漢vs羅刹
(^^) ブックマークをお願いいたします!
読みやすくなりますよ❤︎
一方その頃、闘技場では――。
「ハァァァァァ!!」
羅刹の拳撃と羅漢の拳撃が、凄まじい音を立てて激突した。
一瞬、拳と拳が交差し、火花が弾ける。
爆ぜる閃光に視界が焼かれ、世界が一瞬、無音となる。
「ハァアアアアアアッ!!」
鋭く吠えた羅刹が、拳を押し込む。
だがそれは囮――本命は、身体を捻って放つ、渾身の後ろ回し蹴り!
が――
「……読んでいたぞ」
羅漢の左ストレートが、空間ごと撃ち抜いた。
拳と脚が激突。空気が破裂し、雷鳴のような轟音が闘技場を揺らす。
そして、二人は互いに吹き飛び、砂煙の中で静かに着地した。
「さすがだな、羅漢」
「……そっちこそ、羅刹」
互いの技量、魂を認め合う眼差し。
そこにあるのは、血ではない。敬意と歓喜だ。
羅漢が踏み込む。地面が沈む。
「ハァァッ!!」
機関銃のごとき拳の連撃が、空気を穿ち、羅刹の急所を狙う。
だが――羅刹は、笑っていた。
細くしなやかな脚さばきで、そのすべてを紙一重で躱す。
(やはり……こいつは“本物”だ)
懐かしさにも似た歓喜が、羅刹の瞳に宿る。
封獣も魔法も要らない。ただ拳一つ、肉体一つで――
戦士として対等でいられる。それこそが、何より嬉しかった。
観客席で見守る雷音が息を呑む。
(……兄貴たちは、やっぱりすごい……)
神々と邪神が入り乱れるこの戦場で、
“人間の拳”だけで戦っている。
それが、美しくて、尊くて、憧れだった。
(もっと……見ていたい)
その瞬間――地鳴りが轟いた。
闘技場の隅、黒き霧が蠢く。
ナイアルラトホテップ――ナイアが、両腕を天へと掲げる。
「……いでよ。我が最強の眷属よ!」
地面に魔法陣が浮かび上がる。
死者たちの亡骸――レッド侍、ブルー騎士、ニンジャ、拳士、狙撃手、観測手、六本足の戦車――
すべてが融合し、一つの“存在”となった。
「にゃる・しゅたん! にゃる・がしゃんな!」
空が裂け、重力が歪み、邪なる胎動が地を震わせる。
そして――それは産まれた。
六足六腕の巨人、“オード・ジ・アシュラ”。
漆黒の甲冑に、赤と青の意匠。
六本の腕に、野太刀・メイス・大楯・狙撃銃・忍刀・拳甲。
六脚の戦車足で、地を轟かせながら咆哮する。
『――グオォォオオオオォオオ!!』
吹き出す業火が空間を焼く。
「な、なんだあいつは……!」
「化け物……!」
雷音とオームがすぐさま距離を取る。
次の瞬間、狙撃銃が火を噴いた。
雷音は紙一重で回避――だが数発が掠め、鮮血が飛び散る。
「くっ……!」
迫る巨体。
振り下ろされる大剣を、赤い籠手で迎撃!
「ガキィィイン!!」
火花が散り、雷音の身体が吹き飛ぶ。
(やばい……体が……動かねぇ……)
その時だった。
閃光が、アシュラの脇腹を貫いた。
振り返ると、そこには――オーム。
手にはグングニールのレプリカ。
その瞳に宿るは、魔王の威厳。
オームが詠唱を叫ぶ。
『――黒雷よ。貫け。天を焦がし、罪を焼け!』
暗黒の雷が空を裂き、槍に導かれてアシュラへ直撃!
盾で防がれる……はずが、槍が避雷針となり、体内から焼き焦がす!
「ぎゃあああああああっ!!」
巨体が悶絶する。
その隙を逃さず――
「いくで雷音!」
エドナの叫びが響く。
雷音とオーム、ふたりが同時に跳ぶ。
爆発的な魔力が全身から溢れ出る。
「おうっ!」
雷音が魔剣クトゥグァを構える。
炎が咆哮する!
ナイアが叫ぶ。
「やばい、それはダメ! その合体技だけは――!」
『触魔封陣!!』
地面から触手が伸び、二人を絡め取る。
しかし――
「……ぬぅおおおおおおっ!!」
触手を蹴散らし、雷音とオームが立ち上がる。
その身体は血に塗れ、満身創痍。
それでも――その瞳には、なお戦う意志が燃えていた。
オームが雷音と視線を交わす。
互いに無言で頷くと、同時に武器を構えた。
その姿を見たナイアは、思わず息を呑む。
(嘘……この威力で死なないなんて……!?)
拘束も、ダメージも通じない。
――ならば、手加減はもう不要だ。
ナイアは静かに決断を下す。
「……もういい。“アレ”で終わらせる」
その声は静かだった。
だが、瞳に宿ったのは――本気の殺意だった。
https://www.facebook.com/reel/3908121772796295/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0




