乂阿戦記5 EXステージ 六道魔人テスカトリポカ-13 白のケツアルカトルの解放
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
一方その頃、雷音たちは――
白い巨竜が夜空を引き裂いた。
ケツアルカトルの咆哮が大気を震わせ、その瞳には狂気の赤が燃え滾る。全身からは白い蒸気のようなオーラが噴き出し、テスカトリポカに精神を掌握された神獣は、ただ破壊本能のみで機械神を襲った。
「オワッ!危ねえぞ!」
「くっ、回避する!」
雷音が叫び、獅鳳が操縦桿を強く引く。
機械神ドゥラグラグナは寸前で巨竜の爪撃をかわすが、背後の山脈が一撃で粉砕された。
「なんてパワーだ……!通常兵器じゃ相手にならない!」
獅鳳がコンソールを睨み、歯噛みする。
炎の魔剣クトゥグァを操縦する雷華の機械神クトゥグァも同様の窮地に立たされていた。
「くっ……紅花ちゃん!防御結界最大出力!」
「うん!でもこれ以上は持たないかも……!」
紅花が冷汗を流しながら叫ぶ。彼女が担う操縦系統は完全に防衛特化だった。
その時だ。真っ赤な光が流星のごとく現れる。
「おう!まだ死ぬには早ぇだろ!一旦距離をとって頭冷やせ!」
空飛ぶ雲に乗って炎髪の青年が現れた。ギルトンである。
両手を腰に当て、陽気な笑みを浮かべる姿は、まるで最遊記の孫悟空そのものだった。
「ギルトンさん!」
雷音が安堵の声をあげる。
「おめぇらはまだ弱ぇな~」
軽口を叩きながらもギルトンの瞳は鋭い。
「でもよぉ……」と続けた。
「それはあのデカい龍を殺したくねぇからだろ? 操られてるだけだから助けたいんだろ? だが殺さず倒すのはちと難しい。だからオラも手伝ってやるだよ!」
彼は自分の髪を引き抜き、空に投げた。瞬間、無数の金色の雲とギルトンが出現する。分身術である。雲に乗る分身たちは如意棒を構えた。
「オラのこの如意棒でぇ!」
如意棒がうなりを上げて伸びる。
「伸縮自在だぞ~!」
一瞬で数百メートルに変貌した棒が白竜に叩き込まれる。分身たちも同調し、雨あられと打ち付けた。
「そらそらそらっ!」
ケツアルカトルは咆哮をあげて迎撃するも、雲と分身の機動力には追いつけない。白い鱗に次第に亀裂が走っていった。
「今だ!雷音!」
獅鳳が叫ぶ。
雷音はドゥラグラグナの右手に雷の魔剣を握らせた。
「行くぞ!雷音!獅鳳!雷華!紅花!」
彼らはそれぞれの機械神でケツアルカトルを取り囲む。
二柱の機械神の咆哮と無数の金雲による猛攻が白竜を苦しめていた。
ギルトンが声を張り上げる。
「なあ雷音、獅鳳! オメーら、今代のラ・ピュセルとアルゴー号で魔王ルキフグスを祓ったんだってな? 同じことをケツアルカトルにもやってみろ! 大武神流奥義――不殺破心拳だ!」
「ええ!? 不殺破心拳を!?」
「い、いや、あれはルシルの力があったから出来た技で俺達は……」
慌てる雷音と獅鳳に、ギルトンは喝を入れた。
「出来るかじゃねぇ――やるんだ。オメーらの拳なら届くかもしれねぇだろ!」
高笑いしながらも分身を操り続けるギルトン。その背に、仲間たちは勇気をもらった。
紅花が結界を解き、クトゥグァの全火力を解放する。
「ねえ雷華ちゃん! ボク思ったんだけど、ボクと雷華ちゃんは拳で分かり合えたよね? 同じように、二人でケツアルカトル君と拳で語り合いに行こう!」
炎が迸り、雷光と一体化した。
二柱の機械神が黄金の光輪をまとい、白竜へと突進する。
だが二体は魔剣を抜かず、その魔力を拳に収束させていた。
「うおおおっ!」
「はあああっ!」
雄叫びが夜空を震わせる。
ドゥラグラグナとクトゥグァの拳が白竜の胸を打ち抜いた。
それは不殺破心拳には遠い、ただの未熟な活人拳――だが確かに希望を込めた拳だった。
「グルアアァァ!!」
皆の想いが伝わったのか、ケツアルカトルの雄叫びが夜空にこだました。
テスカトリポカの精神が剥がれ落ちていく。
白竜の鱗が剥がれ落ち、肉体が溶けていった。
やがてその巨体はただの白い泥へと変わり果てる。
「今だ!」
ギルトンの如意棒が振るわれ、泥を夜空へと舞い上げた。
白い泥は煙となり、星明りに照らされて美しい光の帯を描く。
「やったな! オラたちは最高のチームだぞ!」
ギルトンが拳を突き上げる。
雷音、獅鳳、雷華、紅花は疲労困憊ながらも笑顔を浮かべた。
やがて白い煙は一か所に集まり、渦を巻き始める。
光が凝縮し、白く輝く粒子が収束していった。
そこに姿を現したのは――
「わあ~! やったぁ! ありがとぉ~!!」
先ほどまで狂気に染まっていた巨竜は消え、そこに立っていたのは――
ぷにぷにの体に丸い顔、大きな瞳をぱちぱちさせる無邪気な子供。
口元には常に笑み。子豚のように愛らしい姿のケツアルカトルだった。
「あれ……? あの時のデブ魔人??」
雷華が目をぱちくりさせる。
「うん! おれ、ケツアルカトル! テスカトリポカに操られてたみたいだけど……君たちのおかげで元に戻れた! ありがと~!」
ぷにぷにの手をブンブン振るその姿に、戦闘の緊張感が一瞬で和らいだ。
獅鳳は少し戸惑いながらも拳を胸に当てる。
「礼は不要だ。我々は当然のことをしたまでだ」
(……なんだか、幼い弟でも見ている気分だ)
「本当に良かった……」
雷華は安堵の表情を浮かべつつも、素直には言えない。
「ふん! お前が暴走しても、私たちなら倒すけどね!」
「う~ん?」
ケツアルカトルは首をかしげたが、すぐに笑顔に戻る。
「とにかく助けてくれてありがと~!」
その様子を見て雷音が笑顔で歩み寄る。
「気にすんな! これからは友達だろ?」
ケツアルカトルの顔がさらに輝いた。
「うん! おれお前たちと友達! 楽しいこといっぱい教えてね~!」
紅花も両手を広げて応じる。
「いいよ~! 今日からボク達、最強の友達だよ!」
夜空には白い煙がまだ漂っていた。
戦いの痕跡を包み隠すように流れていき、
そこに立つ彼らの笑顔だけが鮮やかに残った。
雷音たちは肩で息をしながら、互いの顔を見合わせた。
疲労の中にも笑みがある。戦いを越えた絆の証だ。
「じゃあ決まりだな! おれ、今日からみんなの朋友だ!」
ケツアルカトルがぷにぷにの胸を張って宣言する。
「朋友? ……友達って言ったのに、なんかもう微妙なグレードアップしてるっぽい」
雷音が呆れ顔をしつつも、口元には微かな笑み。
紅花はにっこりと手を差し伸べた。
「いいじゃん! カトル君がいてくれたら、これからはもっと楽しくなるよ!」
「カトル……?」
ケツアルカトルは首を傾げたが、すぐに嬉しそうに跳ねた。
「うん! それ気に入った! おれ、カトルでいいよ!」
雷音はその様子を見て吹き出す。
「はははっ! カトル。いい名前だな!」
笑い声が夜空に響いたその時――
大地が低く鳴動した。
遠く離れた方角で、轟音が夜を揺らす。
ただならぬ気配に全員が振り返る。
「……この圧、まさか」
獅鳳の目が険しくなる。
「覇王――兄貴だ!」
雷音の胸が高鳴る。
その頃、空では、神羅が微笑みながら歌を紡ぎ続けていた。
その歌声が、雷音たちと覇王の物語をつなげていく。




