乂阿戦記5 EXステージ 六道魔人テスカトリポカ-8 天下の大剣豪
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
「な……何だこれは!?」
亜突が苦しげにうめく。彼の体内に何かが流れ込むような感覚が走る。
その瞬間——亜突の瞳が紅く輝き始めた。筋肉が盛り上がり、身体が変貌する。
「ふん……なかなか良い器だ……」
亜突の声色が変わる。冷徹で威厳に満ちた声音が響く。
「お前……テスカトリポカ!?」
雷音が愕然とする。亜突の姿はほとんど変わらないが、その気配は明らかに違っていた。
「そうだ……私は亜突ではない。テスカトリポカが亜突を乗っ取ったのだ」
亜突——いや、テスカトリポカと融合した男はゆっくりと立ち上がった。その背には漆黒の翼が広がっている。
「亜突!しっかりしろ!」
雷音が叫ぶが、亜突の視線は冷酷そのものだった。
「無駄だ。私は完全にこの肉体と一体化した。亜突の意志はもう存在しない。大分前から侵食の準備は進んでいたのでね。」
「お前……どこまで腐ってるんだ……!」
獅鳳が拳を握りしめる。
「腐る?私はただ“力”を求めただけだ。この世界を支配するためのな。それにこの男はもともと死人だった。それが生き帰ったのは私と半分融合していたおかげだったのだ。感謝して欲しいのだがね」
「ふざけるな!」
雷音が剣を構える。
「先程までの弱小な器を使うよりも、この亜突の方がずっと優れている。この肉体ならば容易に貴様らを葬れるだろう」
テスカトリポカは嘲笑しながら手をかざす。その瞬間——
「うわあああっ!」
突然、飛行船プルコブソンで待機していた、小デブのケツアルカトルが悲鳴を上げた。
「なっ……!?」
ケツアルカトルの身体が黒い霧に包まれていく。
「テスカトリポカめ!何をした!?」
船の艦長葵覇崑崙が警戒する。
「ふふ……プルコブソンの方を見ろ。面白いものを見せよう」
亜突がてをかざすと外の様子が映像として浮かびあがる。
外ではプルコブソンの甲板でケツアルカトルが頭を抱えて呻いている。
ケツアルカトルの肉体が歪み始め、その体格が急激に変化していく。
なんと小デブだった体型が長細くなり、翼ある蛇の姿へと変わっていく。
「ぐああっ……!!」
白竜形態のケツアルカトルは苦しげに叫びながら地に膝をついた。そして次の瞬間——彼の眼が紅く輝き始める。
「まさか……!?」
雷音が愕然とする。テスカトリポカは冷笑しながら言った。
「そうだ。ケツアルカトルもまた私の支配下に置いた。マヤマテリアルの増幅の力で光の私は力が弱まっている。容易く邪魔な半身を傀儡に出来たぞ!そして今こそお前たちを葬る時だ!目覚めろケツアルカトル! 否! 白のテスカトリポカ!!」
ケツアルカトルがゆっくりと立ち上がる。その目には狂気の光が宿っていた。
「ケツアルカトル!しっかりしろ!」
雷音が叫ぶが、彼の声は届かない。完全にテスカトリポカの支配下にあるようだった。
「さあ、貴様らにはここで消えてもらうぞ」
テスカトリポカが宣言する。その背後にはケツアルカトルが舞い降りて従者のように控えている。
「くそっ……どうすれば……!」
雷音は焦燥感に駆られる。亜突を失い、さらにはケツアルカトルまで敵に回ってしまった。このままでは全滅してしまう——そんな絶望的な状況の中で、彼らに勝機はあるのか?
「行くぞ……」
テスカトリポカが右手を高く掲げる。その瞬間——強烈な闇の波動が放たれた!
「ぐあああっ!!」
その波動に吹き飛ばされる雷音たち。彼らは地面に叩きつけられながらも必死に立ち上がろうとする。
「くそっ……こんなところで負けるわけにはいかない!」
雷音が決意を新たにする。しかし——
「無駄だ」
テスカトリポカの冷たい声と共に、黒い影が壁一面に広がった。そこには雷音たちの“未来の姿”が歪んだ幻影として浮かび上がる。存在そのものを呑み込む神の力に、空気が凍り付いた。
「これで終わりだ……!」
テスカトリポカが右手を振り上げる。その掌には黒いエネルギーが渦巻いていた。そのエネルギーはどんどん膨れ上がり——
「みんな!伏せろ!」
雷音が叫ぶが遅かった。凄まじい衝撃波が彼らを襲う!
「ぐあああああっ!!」
吹き飛ばされる雷音たち。彼らは地面を転がりながら必死に立ち上がる。
「くそっ……!」
雷音は悔しさを滲ませる。亜突を失い、さらにはケツアルカトルまで敵に回ってしまった。
「さあ……貴様らも終わりだ」
テスカトリポカが右手を構える。その掌には黒いエネルギーが渦巻いていた。
その瞬間——!
「おう、待てや!」
突如、重力が逆さまになったかのような圧力が場を支配した。振り向くと、そこには新たな影が立っていた。異質な存在感が全員の背筋を貫いた。
「ほう?誰かと思えば……その戦衣装……龍麗国の暗行御史のお出ましか」
テスカトリポカが歪んだ笑みを浮かべる。その視線の先には、漆黒の仮面と鎧に身を包み、冷たく燃える眼光を放つ男が立っていた。彼の周囲には威圧感が物理的な圧力のように押し寄せ、周囲の者たちの息を詰まらせた。
「暗黒天馬……いや、ジャムガのおっちゃん!?」
雷音が驚愕の声を漏らす。
「おうおうおう?テスカトリポカだかポカリスエットだか知らねーが、テメー誰に断ってオレのシマで暴れ腐ってんだ? あ? 埋めるぞクラァ??」
ジャムガは鼻を鳴らし、テスカトリポカを見据える。その声には絶対的な自信と威厳が込められていた。
「おい、亜突、聞こえるか?オレはお前の父ちゃんの暗黒天馬だ?お前はオレの息子だろ?六道魔人だか、ろくろ首だかしらないが、なにカラダ乗っ取られてやがる? さっさと復活してお父ちゃんに挨拶をしろ? 忙しい父ちゃんがワザワザお前に会いに来てやったんだぞ?」
ジャムガの言葉に、テスカトリポカの顔が醜く歪む。
「愚か?お前こそが愚か者だ!いきなり現れて、父などとのたまう無頼の輩に、この肉体の主が「はいそうですか」としたがうわけがなかろう!不快な奴め!まあいい!この肉体を手に入れた今、お前など敵ではない!」
テスカトリポカが両手を広げると、黒い瘴気が渦巻き、無数の影の刃となってジャムガに襲いかかる。雷音たちは思わず息を呑んだ。
だが、ジャムガは微動だにしない。彼は咥えていた爪楊枝を右手で持つと、目にも止まらぬ斬撃を放ち続け、その斬撃で瘴気の刃はまるで霧散するように消え去った。
「な!? つ、爪楊枝で我が瘴気の刃を!?」
「ふん。くだらぬ」
ジャムガは侮蔑の笑みを浮かべた。
「お前ごときが、亜突の力を操ろうなどとは笑止千万。その身体は貴様の器には過ぎるようだな」
その言葉に、テスカトリポカの顔が屈辱に歪む。
「なにっ……!?貴様、この亜突の力の片鱗を見せるか……!」
テスカトリポカが咆哮し、さらに強力な闇の力を解放する。空間が歪み、大地が割れるほどの圧倒的な破壊の力だ。
だがジャムガは依然として動じない。彼は静かに両腕を広げると、周囲の空間が歪み始めた。それはテスカトリポカの力とは異なる、もっと根源的で理不尽な力だった。
「お前ボコるわ〜、チョーシこいててムカつくから徹底的にボコリ倒すわ〜」
ジャムガはボキボキと両手を組み音を鳴らす。
すなわち馬鹿らしいほどの圧倒的なる超暴力!
その声は普段の彼からは想像もつかないほど穏やかだが、底冷えするような恐怖を孕んでいた。
「なっ……!」
テスカトリポカが驚愕する。ジャムガの力が桁違いであることに気づいたのだ。
「お父ちゃんを舐めんなよクソガキ〜。てめえなんぞ赤子扱いできるんだぜ〜〜」
ジャムガはニヤリと笑うと、テスカトリポカの懐に電光石火の速さで飛び込み、その腹に鋭い拳を叩き込んだ。
「ぐっ!?」
テスカトリポカが苦悶の声を漏らす。その拳は通常の物理攻撃の域を超えた、精神的な衝撃すら伴うものだった。亜突の肉体を通してテスカトリポカの存在そのものにダメージを与えているのだ。
「まだまだだぜ?」
ジャムガはさらに連撃を繰り出す。蹴り、肘打ち、掌底……その一撃一撃が亜突の体を介してテスカトリポカの霊魂を確実に蝕んでいく。
「くそっ……!なぜだ!?なぜこの身体が思うように動かない!?」
テスカトリポカは混乱する。亜突の肉体は確かに強靭だが、ここまで自在に操れないとは予想外だった。
「当然だろ?その身体の主はお前じゃねえんだ。本来の持ち主が抵抗してる。亜突の魂はまだ完全には消えてねえんだよ。亜突はこのオレの胤で作ったガキなんだぜ〜?舐めてくれんなよ?」
ジャムガは冷たく言い放つ。そして、最も重要なことをテスカトリポカに突きつけた。
「あとお前ボコすの楽しいんだけど……その体傷つけたら亜突が可哀想だよな〜。ああっ、難しいな~~。どうやって亜突の身体傷つけずにお前だけをボコリ倒せるか思案しちゃうわ~~」
ジャムガの表情は変わらないが、その言葉には父親としての深い愛情と葛藤が滲んでいる。
「ふざけるな!この私が……!」
テスカトリポカは怒りに任せて黒い影を爆発的に拡散させる。だがジャムガはそれらを片手で払いのけながら、確実に亜突の肉体とテスカトリポカの霊魂を分断する攻撃を続ける。
雷音たちは呆然と見守るしかなかった。ジャムガの力は圧倒的すぎた。まるで次元が違う戦いを目の当たりにしているようだ。
いや、ジャムガは世界最強の男乂阿烈と五分に渡り合う天下の大剣豪なのだ。
ある意味、当然と言えば当然の成り行きかもしれない。
「おう、坊主たちに言っておく。アーレスタロスとアクアのペアはこっちに残って、ちょっと俺のお使いを頼まれてくれ。雷音、獅鳳、雷華、紅花は暴走しそうなケツアルカトルを止めに行ってくれ。そして神羅達は構わず女神の歌を続行だ! 細かい指示は葵覇崙に従うといい」
「わ、わかったよジャムガのおっちゃん!」
雷音の返事にジャムガは……
「ジャムガ?誰だそれは?」
男は冷たく笑い、背を向けた。
「……俺は龍麗国の暗行御史、暗黒天馬だ。――覚えときな、雷音の坊主」




