乂阿戦記5 終章 ああ、クィン、どうして君はクィンなんだ?-13 超弩級ヘビー級バトル 乂阿烈vsスサノオミカド
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
地下訓練場では、スサノオミカドが100%の力を解放し乂阿烈と正面から激突しようとしていた。
「フフフ、久しぶりだねえ楚項烈……いや、今は乂阿烈だったね。百年前は邪神軍を相手に共に戦った君と敵対するハメになるとは……フフ、人生わからないものだねえ」
「グルァーッア"ッア"ッア"ッア"!戦場に身を置いていればよくある事だ朋友よ!ワシが友にした男はだいたいワシと闘いたがるッ!!ジャムガしかり、蟷螂闇輝しかり!デウスカエサルしかり!」
「フフ、どいつもこいつも六道魔人級の世界脅威じゃないか」
「お前が言うな」
ニヤと嗤う阿烈
心外だと肩をすくめてみせるスサノオ
「悪いねぇ、俺が100%の力を出せる遊び相手はホントに限られててねー、アンタと死合うこの機会、ど〜しても逃したくないんだよ〜。武術の達人が素人の力持ちと死合うなんて業腹だろうが付き合ってくれよ?」
「フン、何がただの力持ちだこの嘘つきめ!実戦相撲の達人がただの力持ちなわけ無かろうが!」
二人の拳がぶつかるたびに大地が揺れ、空気が震える。
スサノオの猛攻を紙一重でかわしながら一瞬の隙を突いて阿烈の蹴りがスサノオの腹部に命中する。
「ぐはっ……!!」
口から大量の血を吐き出しながらもスサノオは前進し続ける。
「ガハッ……ガハハ……!まだまだこれからだよ……阿烈!」
スサノオミカドの剛腕突っ張りが振り下ろされ、阿烈の頭部を直撃する。
「ぐっ……!?」
頭部を押さえながらも阿烈は踏みとどまる。
「おいおい、どうした?その程度かい?」
ニヤリと笑うスサノオに対し、阿烈は静かに拳を握り締める。
「……すまんなスサノオ。お前との戦いは楽しい。だが今はワシが勝たねばならぬ!」
そう言うと同時に阿烈の全身から闘気が迸った。
「ほう?それでこそ我が獲物……さあ来い!」
両手を広げ待ち構えるスサノオに向かって一直線に走る阿烈。
距離が縮まった瞬間、阿烈は全身の力を込めて右拳を振り抜いた。
阿烈の拳が振り抜かれるたび、地下訓練場の闇に雷鳴が閃き、スサノオの影が壁一面を埋め尽くした。
ドゴォン!!爆音とともに轟音が響き渡る。
その衝撃で周囲の地面が大きく抉れた。
「ぐはぁっ!」
スサノオは防御すらできず吹き飛ばされる。
だがすぐに体勢を立て直すと反撃に出た。
「ふんっ!」
今度はスサノオが左腕を大きく振りかぶり張り手を放つ。
しかし、それは空振りに終わった。
「甘いわ!!」
阿烈はスサノオの攻撃を軽々とかわしカウンターを仕掛ける。
闘神、相まみゆる。
赤黒き大地が割れる。
鳴動は天を裂き、稲妻が大地へと垂直に突き刺さった。
スサノオミカド――その名を語る時、筋肉と化した悪夢を想え。
100%の力を超えた、未知の肉体。
武の理すら嘲笑う、異形の存在。
人が鬼神へと変貌したものの、最終段階。
乂阿烈――その名を掲げし者は覇道を征く者。
大武神流の極致を知り、天下に覇をとなえんとする暴王。
この二つの巨塊が、対峙していた。
だが戦いは始まらない。始められない。
なぜなら――この二人が拳を交えれば、世界そのものが“もたない”からだ。
「ここまでか……私に出来るのは……」
軍服の男が、苦悶の表情で地に膝をついた。
羅漢――乂阿烈の弟にして最も優しき大武神流の達人。
彼の放つ静の気が、爆発寸前の場を少しだけ鎮めていた。
「まだです。私も破壊の中和に協力します。」
スパルタクスが叫ぶ。
盲目の彼は、魂を削りながら自らの凍気エネルギーをバリアに転化していた。
そこへ、別の場所から現れた“熱き魂”の男が加わる。
「世界が滅ぶだと?それを止めるのが男ってもんだろうがぁああああっ!!」
──狗鬼漢児である。
彼の叫びに呼応するように、真紅の獣の如き叫び声を上げてレッドが踏み出す。
「ならば俺もやるまで……!ロート・ジークフリードの誇りに懸けて!!」
四人の命を懸けた結界が発動する。
天は黒く、空間は歪み、雷鳴が火花を撒き散らす。
その時、スサノオが阿烈に向かって口を開いた。
「……貴様の拳、一発もらえば、俺でも砕けるかもな」
笑みはない。だが、わずかに唇の端が上がった。
「だが、面白い。オレが、オレである意味がようやく見つかる」
そして、灰燼の覇王が応じる。
「貴様に力があるのなら、それを試すがいい。この拳……大武神流に恥じぬ滅びをもたらす拳だ。受けてみるがいい!!」
──解き放たれる、殺意の奔流。
重力が歪む。
空気が爆ぜる。
時空がよじれ、空間が引き裂かれる。
その瞬間。
スサノオ、跳ぶ。
「八卦宵!」
人間の質量とは思えぬ肉塊が、弾丸のように空を割る。
筋繊維が爆ぜ、地が揺れる。
対して、阿烈、動かず。
「ふん……SUMOUの“ブチかまし”で来るか。だがそれでは、俺には届かん!」
その瞬間、覇王の拳が閃く。
拳などという次元ではない。空間を破壊する、神の雷撃。
“拳圧”のみで、スサノオの一撃を打ち砕く!
だが。
スサノオミカドは砕けぬ。
砕けるのは“理”の方だった。
「ぬう!?」
阿烈は拳ごとブチかましを喰らい、遥後方までふっとばされてしまった。
「フッ……スサノオ〜、貴様の頭蓋骨、我が一撃に耐えたか!」
「当たり前だ。オレはもう、“人間やめてる”んでなァ」
再び激突。
バリアの内側で、空間が崩壊する。
人智を超えた闘争の奔流が、現実を押し流す。
スサノオミカドの肉体は変化する。200%、300%、数値化不能な狂気へ。
乂阿烈はそれを見て、なお悠然。
「来い、スサノオミカド……この拳で、天地をもって断罪する」
その声に、天が裂けた。
彼が拳を振るうだけで、気圧が地表を削る。
呼吸だけで、命が百を越えて散る。
羅漢が呻く。
「……駄目だ。限界が近い……っ」
レッドの肉体は、炎に包まれ始める。
「ここまでか……だが……これを耐えずして頂を目指せるかよ!」
狗鬼漢児が叫ぶ。
「てめえらァ!ここが死に場所じゃねぇ!“男”の戦いを……見届けろォォォ!!」
スパルタクスが吼える。
「しかり!我らがこの“狂宴”を受け止めましょう!!」
そして。
真なる一撃。
スサノオミカドの右拳、乂阿烈の左拳。
互いに、一撃しか放たない。
────ドゴォォォォォン!!!!
地が割れ、海が蒸発する。
月が割れ、重力が狂う。
だが――世界はまだ、壊れない。
何故なら、そこに四人の“狂人”が、命を張って守っていたからだ。
狗鬼漢児、血を吐きながら叫ぶ。
「これが男の戦いだ……見とどけてやるぜ、地獄の果てでも!」
そして。
スサノオの腕が砕ける。
阿烈の拳が、血に染まる。
両者、同時に口を開く。
「……愉しいねえ」
「……これほどの手応え!カオスクトゥルーと闘って以来の昂りよ!!」
もはや勝敗など、意味を持たない。
そこにはただ、武の極地を踏破しようとした二つの魂があった。
戦いは、終わらない。
それは、宇宙の果てですら続くもの。
二人の拳が描く軌跡は、もはや運命を越えていた。勝者は誰だ──その答えを知るのは、まだ未来だけ。




