乂阿戦記5 終章 ああ、クィン、どうして君はクィンなんだ?-11 戦争勃発!ドアダ軍vs11人委員会軍!
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
覇王乂阿烈はリリア・リリアを見るなりニヤリと笑い言った。
「ふ、シャチ・イーグスよ。バラバラにされた妹達を繋ぎあわせ生き返らせてやったのか?……シャチ…いや、ディオニトロ、100年前のラグナロク時代と違い、お前も少しは人の心が持てる様になったようだな……まあそれでもお前達は……亜突やアン・クィンを犠牲にしたことに変わりはない……」
その言葉にリリア・リリアはギクリと身体を震わせた。
その男が歩みを進めるたび、空気は圧し潰され、膝は自然と地に沈んだ。
そしてガチガチと歯を鳴らしながら震える。
そんな彼女を見て阿烈は言った。
「安心せよ。お主は我の愛娘ユキルの友人だった少女達の集合体。手荒な真似はせぬ。そして今は絶望の中眠るアン・クィンよ。安心せよ。ワシらはもう二度とお主から何も奪いはせぬ。それどころかお主の望みはこの我が叶えてやろう……いや、叶える手助けをしてやろうぞ」
それを聞いたリリア・リリアは驚愕した顔で叫ぶ。
「そ、そんな!?そんな奇跡あり得るはずがない!気安い希望なんて口にしないで!気安い希望は絶望をより深くする!」
「くっくっく。リリア・リリアよ。お主も知らぬことか……だが教えてやろう。我が何故ここにいるかと言う理由をな」
そう言うと阿烈はニヤリと笑いながら話し出した。
「我がこの世にいる理由……それは我が愛する娘のユキル……いや、神羅の危機を感じて駆けつけたからだ!」
「なんですって!?」
その言葉にリリア・リリアは驚愕の表情を浮かべた。
「今の我はな。娘の為ならなんだってするぞ。例えそれが覇王の威厳を損ねる事であってもな。今のワシは我が娘達が苦しむ姿を見るのは耐えられぬ心優しい善人よ。だからこそあの子が愛した者達がみな幸せになれるよう、この場に参上したのだ。というわけでハッピーエンドの未来を作る為、時空大鍵をワシにあけ渡すがいい〜〜っ!」
その言葉を聞いたディオニトロは戦慄を覚えた。
(なにが善人だ!いけしゃあしゃあと!この大嘘つきが!本音はテメーも時空大鍵を奪いに来ただけだろうが!つまりはコレは娘を建前にした警告と言うわけか?クソ、乂阿烈!人間のくせに何という圧だ!人間相手にこれほどの力を感じたのは初めてだ!)
そう思った瞬間だった。
阿烈は機械神に向かって突進してきた。
「ディオニトロよ!お主の相手は後でしてやる!今はアン・クィンの方が先だ!」
そう言って阿烈は右手から灰色の炎のような波動を放った。
その灰色の炎のような波動は、乂阿烈と同じ人型の型をとる。
そして機械神エンド・オブ・ザ・ワールドの中にいるリリア・リリアの身体を貫いた。
灰色の炎がリリア・リリアの胸から魂を抜き上げ、澄んだ結晶のような光となって阿烈の掌に宿る
そして彼女は悲鳴と共に倒れた。
それを見たディオニトロは絶句した。
「ば……馬鹿な!?」
「ふむ……」
そう言いながら阿烈は微笑む。
「おのれ!貴様!よくもリリア・リリアを殺したな!」
怒り狂うディオニトロ。
「殺したのではない。眠らせただけだ」
「何だと!?」
「お主らも知っておろう?ワシがクトゥルフ戦争の折、最悪の魔女に変えられつつあったイサカ・アルビナスからエクリプスコアだけを抜き出し助けた技の事を…」
「ま、まさか!大武神流超奥義魂抜き!」
「然り!神羅が邪神ナイアルラトホテップに洗脳魔法を受けていたとき、神羅の身体を傷つける事なく、洗脳魔法の効果のみを除去し、イサカが最悪の魔女エクリプスの呪いに取り込まれたとき、エクリプスコアのみを除去した覇王の技よ! クィンクィーンが改獣化したエンド・オブ・ザ・ワールドと同化ようが、ワシならクィンクィーンのみを救出するなど容易なこと!」
「フ、フフ、フフハハハハハハハハ!」
突如、それまで沈黙を守っていたナイ神父が笑い出し手を叩いた。
彼はまるで新しい玩具を見つけた子供のような表情でこう言った。
「ほう?面白い。楚項烈……いや、今は乂阿烈だったな。阿烈よ、大武神流開祖、破壊神ウィーデル・ソウルのみが使えたあの超奥義をまさか君が使いこなすとは…君は武術を武のみしかとらえてないと思っていたから意外だよ。その程度の理解力しかないと侮っていたが……武、医、芸、三つの極意について真面目にうち込んでいたとは……なかなかどうしてやるじゃないか……くくく」
ナイ神父は愉快そうに嗤う。
それに対して阿烈は不機嫌そうな顔をしながら答える。
「ふん。何を企んでいるか知らぬがワシを舐めるなよ?ナイ神父……いや、真なる這いよる混沌ナイアルラトホテップよ。貴様にはラグナロク時代に借りがある。この阿烈、貴様を逃がしはせんぞ?」
「はっはっはっ。流石はその強さゆえ神にすら嫌われた男、煉獄の炎のように燃え盛っているな。」
ナイ神父がそう言うと同時に、彼の周りに武装した兵士達が姿を現した。
その兵達は11人委員会が誇る精鋭部隊
指揮する主な隊長は蛞蝓の大悪魔スラッグラー、触手怪人テンタクルルー、淫魔ナルチーゾ、銃士ドンファン、そして冥獄巨人スサノオ・ミカド
3メートルの巨人スサノオが乂阿烈に視線を据え、嬉しそうに呟く。
「おやおや、なんとも皮肉なものだ。楚項烈にナイ神父よ。今回の俺の立ち位置はラグナロク時代とまるで真逆じゃないか……ああ、よもや戦場でお前と敵対する日がくるとはな……古き同志」
「フン、スサノオミカド……まさか貴様がよりにもよって11人委員会側の傭兵になるとはな……」
ため息を吐く阿烈の横に蛇王ナイトホテップが進み出て手を挙げ合図をだした。
「阿烈殿、向こうが兵を出してきた以上、こちらも兵を出さねばなるまい」
ナイトホテップの後ろから、控えていたドアダと乂族の兵が姿を現した。
その兵を指揮する指揮官は阿烈の副官にして妹たる乂羅刹、そしてドアダ七将軍たる乂羅漢、キャプテン・ダイナマイトボマー、イブ・バーストエラー、盲目の闘将スパルタクスとそうそうたる面々だった。
剣を抜く音、大地を踏み鳴らす軍靴の響きが、まるで地獄の合図のように城下に轟いた。
今、チェイテ城で両陣営による戦争が始まろうとしていた。




