乂阿戦記5 終章 ああ、クィン、どうして君はクィンなんだ?-7 シャチ・イーグス…その正体!
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
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(o_ _)o
クロウが何事かと思い慌てて振り返る。
ナイ神父が召喚したベビーモスが黄色い影に取り込まれ融合していっている。
するとあとには巨大な魔物の姿があった。
魔物の姿はまるで竜のようにも見えるが、同時に蛇のようにも見える。
しかし同時に鷹のような姿にも見える。
一体これはどういうことなのかと混乱する。
だがそれはすぐに明らかになる。
魔物の姿が次々と変化していくのだ。
そして次第に形が定まっていき、やがて一つの形に収まる。
それは人間のような形だった。
しかしそれは明らかに人間ではない。
全身は鱗に覆われており、頭部は人間の頭部とは異なる形をしている。
黒い頭髪、黒い髭、角のようなものが二本生えている。
そして腕には筋肉がしっかりと付いており、かなり鍛えられているようだ。
そしてその体格から見ても武人であることは間違いないだろう。
だが顔立ちは欲にまみれた老人の顔だ。
「リハリア・イーグス!!」
クロウは思わずその老人の名前を叫んでいた。
姉のように慕っていたクィンと兄のように慕っていた亜突を奸計で陥れ、地獄に引き摺り込んだあの裏切り貴族だ!
その瞬間、周囲の空気が一変した。
リハリアはその名を聞いても動じる様子を見せず、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
彼はゆっくりと振り返り、クロウを見つめた。
その顔には年相応の皺が刻まれているが、肉体はまだ戦闘者としての若々しさを感じさせる容姿だった。
リハリアは自分の名前を知っているとは驚いたという表情をしている。
現れたリハリアは声を張り上げる。
「おお!感謝するぞナイアルラトホテップ!左丹に捕らえられた私を助けてくれるとは!」
そう、ナイ神父がクロウに挑みかかった時、左丹の意識が一瞬そちらにそれた。
そのわずかが一瞬の隙をつき、ナイ神父は手をかざし、左丹の懐に納められていた黒水晶をアポートで呼び寄せたのだ。
そして、黒水晶の中から瞬く間にリハリア・イーグスが黒水晶から飛び出して来たのである。
左丹は不機嫌そうに言った。
「ち、余計な真似を…だがナイ神父よ、貴様の事だ、なんの打算もなくリハリアを助け出したわけではあるまい?」
左丹の質問にナイ神父は冷淡に答える。
「そうだ。我は彼を助けたのではない。十権者の一人たる彼の魔法少女従属強制権の力が必要だから助けた。我々の手元に十権者がいなければこれからの計画は成り立たない。彼には生き残ってもらわねば困る」
するとリハリアは笑顔を見せた。
「ハハハッ!なるほどな!まあ、それはそれで感謝するぞナイアルラトホテップ!お前には感謝しているよ!」
そして言った。
「ククククク……さて……それでは始めるとしようか……」
そう言うとリハリアの背後に魔法陣が展開された。
彼の周りに9匹の金色に輝くキツネの様な悪魔が召喚された。
九匹の金狐の瞳が赤く爛れ、口からは黒炎と血臭を撒き散らしていた。
その毛並みは光ではなく呪詛に濡れ、尾が揺れるたびに空間が軋む。
「くっ……!なんだこの魔物は!?」
クロウは驚愕しながら呟く。
そしてリハリアは笑みを浮かべながら言った。
「ハハハッ!月の巫女たるリリシリーズよ!さあ!殺せぇー!!」
リハリアが命令を下すと同時に魔物達は一斉に襲い掛かってきた。
クロウはすぐさま迎撃体制に入る。
そしてヴァルシアも戦闘態勢に入ろうとした時、突然思わぬ相手から絶叫の悲鳴が聞こえた。
クロウはその声に振り向くと……
なんと魔物達はリハリア・イーグスの方を襲っているではないか!?
「!?、?、?、? げええ!? な、何故リリシリーズがワシに攻撃を喰らわせている?!」
リハリアは必死に逃げようとするも逃げきれずにいた。
「なぜ奴が襲われるのだ!?」
混乱するクロウ
リハリアは大声でナイ神父に問う。 「な、何故だ!?なぜワシの下僕がワシを襲う……!?」
そしてリハリアは魔物の一体に腕を噛みつかれた。
リハリアは悲痛の声をあげる。
「あぎ、いいいい!!」
その様子を見たクロウは驚愕する。 「な……なんだと!? こいつらはリハリアの命令に従っているんじゃない……!?別の召喚者の意思で動いている!?」
そう言うとクロウは魔物に向けて魔力を込めた。
すると魔物達は動きを止め一瞬固まるが、すぐにまたリハリアに襲いかかっていく。
「ふふふ、ははははは……」
その時、ナイ神父の背後から仮面を被った人影が現れた。
「クックック、父上、いや今世の転生先に利用したリハリア・イーグスよ。お前はもう用済みだ!ここで死ね!!」
するとその言葉と共に新たに現れた男の周りから黄金色のオーラのようなものが出てきた。
「絡め、黄金縛鎖」
そして黄金のイバラがリハリアに絡みつき、そのまま彼の首を絞める。
「ぐあっ!?」
リハリアの体は宙に浮いたまま動けない。
その光景を見たナイ神父は驚いた顔をした後に苦笑いし言った。
「クク……まさか君までもがこの戦場に姿を表すとはな……シャチ・イーグス。いや、今は11人委員会第九席"闇王"と呼ぶべきかな?」
「シャ、シャチ……だと?……」
黄金のイバラに締め付けられ、9匹の狐の魔物達に体を齧られながら、リハリア・イーグスは仮面をかぶった自分の息子の方を見た。
そして驚いた顔を見せる。
「む、息子よ!シャチよ!早く父を助けろ!…… 息子よ、血を分けた父だぞ!?助けぬか!!」
息子と思わしき仮面の男は答えない。
ただニヤニヤと笑い、その顔から仮面を外す。
「クククククク、父上様、ずいぶんと都合の良いことを言うじゃないか? お前は俺のことを都合の良い道具程度にしか思ってなかったはずだろ? まぁ、そこのところはお互い様だが、とにかく用済みになったアンタはこの手で始末したくてな、リハリア〜、ゴミのような男が〜、お前の血がこの体に流れていると思うだけで気が狂いそうになる…。醜くって ズル賢くって母と妹達に苦労をかけて死なせた最低な父親よ〜、ようやくお前から十権者の力を奪う準備が整った。この闇王の踏み台となり惨めな最後を遂げるがいい!フハハハハハハハ!!」




