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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記5 終章 ああ、クィン、どうして君はクィンなんだ?-4 女の子は拳で語り合う! 乂雷華vs紅紅花 女の子だってタイマン貼ったらダチ❣️

作者のGoldjごーるどじぇいです!

この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…

とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!

「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」

となってくれたら最高です。


良ければブックマークして、追っかけてくださいね

(o_ _)o




神羅の頭に何かが浮かんできた。


それは前世の記憶だった。


神羅は前世の記憶を持っている。


彼女はかつてユキルと呼ばれる女神だった。


ユキルは世界を救うためにエクリプス封印の柱となった。


しかし、その代償として寿命をすり減らし、彼女の体は目に見えて衰弱していった。


それでも彼女はエクリプスと戦い、仲間たちと共に世界を救うために戦った。


しかし、最終的にはユキルは死んでしまった。


そして、神羅として生まれ変わった彼女は前世の記憶を少しずつ思い出し、彼女がユキルであったことを自覚しつつある……。


だが、心の奥底の何かが自分がユキルであることを徹底的に否定していた。


それが何かはわからない。


ただ、わかるのは、自分は女神ユキルのような悲劇は繰り返したくないという思いであった。


「あ、いたいた!おい!神羅、鵺ちゃんこっちだ!」


雷音は神羅と鵺を手招きして廊下を駆け抜けた。


城の中は薄暗く、かつての華やかさは消え失せていた。


「雷音、ドアダの軍団がこの城に攻め言ってきてるみたいだけど、一体何が起きてるの?」


神羅が息を切らせながら尋ねた。


「わからない。ドアダの言い分は誘拐された女生徒達の救出だというのが名分だ。けど明らかに何か別の目的があるみたいだ。」


雷音は立ち止まり、階段を見上げた。「上へ行くぞ」






一方、雷音達とは別に、紅蓮の髪を翻し、紅眼の少女が黒い城門を見上げていた。


「……ここが“吸血女王”の居城か」



パートナーの龍獅鳳りゅうしほうが隣で息を呑む。薄曇りの空を背に、血を吸うような重苦しい気配が漂う。



しかし、門前で待っていたのは――思いもよらぬ人物だった。



「よう、お嬢ちゃんたち。こっから先、案内が必要だろ?」



口の端を上げ、不敵に笑う男。赤いジャケット、ひょろ長い体――



「カイトーランマ、参上ってな♪」



「……なぜ、あなたがここに?」



雷華が眉をひそめると、カイトーは人差し指を立ててウインクする。



「吸血女王の秘宝にちょっと用があってね。でも、お前さん達の誘拐被害者救出作戦を手伝いたい気持ちもある」



「信じていいのか?」



「いい質問だ、ボーイ。悪党にも美学ってもんがあるのさ」



冗談のようで、本気の目だった。



そしてそのとき、不意に上から声が落ちてきた。



「ヤイヤイ、待て待て待てーっ!!」



上から――いや、城の壁面をまるで忍者のように跳ね下りてきたのは、元気いっぱいな少女だった。


小柄で赤髪、活発な動き、何よりも特徴的だったのは、言葉づかい。



「ボクは紅紅花ほんほんふぁ! このチェイテ城を守護する正義の八極拳士!」



「……君、なぜこんな危険な場所に?」



獅鳳が驚くが、紅花はあっけらかんと笑う。



「よくわかんないけど、白の十二月天使“愛菜九印”が教えてくれたんだ。ドアダって悪の組織がクィンお姉ちゃんをイジメに来るって!」



「あいなくいん……?」



雷華が目を細めた。



「まさか……アイナクィン?」



まさにその名を呼んだ瞬間、空間がひずみ――白い少女が音もなく姿を現す。



「君たちのドアダ軍の中に、世界の理に逆らおうとする存在がいる。それを防ぐには、紅花のようなまっすぐな戦士が必要なんだ」



紅花は拳を握る。



「……じゃあ、ボクが止めてみせるよ! クィン姉さんを傷つけようとしてるって聞いたし!」



「待って、話を――」



「獅鳳、後ろに下がって! こういった手合いは拳で語りあうのが一番手っ取り早い!阿烈兄様や羅刹姉様ならそうする!」



雷華が叫ぶようにそう言って、魔剣クトゥグァを地に突き刺した。



「封獣を、……使わないってこと?」



「素手で勝負よ。あなたの“まっすぐ”が、本物か確かめたい」



紅花の目がきらりと光る。



「いいね! ボクも拳一つで生きてきたから、そういう勝負、大好き!」



カイトー達が遠巻きに見守る中、紅蓮の少女と赤髪の格闘少女が、無言のまま拳を構え合う。



そして、風が鳴った。



「せいっ!」



挿絵(By みてみん)


紅花が先に飛び込む。踏み込みは深く、正確。鋭い左ジャブが雷華の頬をかすめた。


雷華も負けじと回し蹴りを繰り出すが、都古はそれを地面スレスレでスウェイで避ける。



「すごい……女の子なのに、こんなに強いなんて!」



「“なのに”じゃない、“だから”よ!」



拳と拳が火花を散らす。


蹴り足と肘が交差し、体術と瞬発力が競り合う。


「じゃあ……いくよ!」



紅花の気が爆発した。



「――八極拳・崩撃!」



瞬間、紅花の小さな体から信じられない破砕力が放たれる。肩でぶつかる突進、ひざ蹴り、裏拳。


地面がめり込む。瓦礫が吹き飛ぶ。



(速い、重い、なのに“柔”を感じる……)



雷華はすぐさま対応する。目に紅蓮の光が灯る。



「阿修羅豪打拳ッ!」



雷華の小さな拳が、音を超える速度で突き出された。


紅花の攻撃の合間を縫い、腹、肩、胸元――寸止めすれすれの急所に連打を叩き込む。



「なっ……この突き、ただの打撃じゃない……!?」



紅花が跳ね退いた。雷華の拳はただ速いだけではない。“芯”に響く衝撃だった。



「……あなたの八極拳も、その気迫、並じゃない」



「ボクの拳は――正義とクィン姉さんと、アオネコちゃんのために鍛えたんだッ!」



再び紅花が突っ込む。今度は“八極拳-連環腿”――踏み込みと同時に、脚撃が連撃で迫る。



雷花は一瞬、横へずらしながらも迎え撃つ。



「紅流鳳凰飛翔拳!」



片手を開いて振り上げ抜くと、衝撃波のような打撃が空気を裂いた。


紅花が後方に吹き飛ぶが、すぐに空中で体をひねり、着地。



「……すごい、すごすぎるよ。拳で“気”を操ってるみたい」



「大武神龍と紅流は、元来は虚を突き相手を死に至らしめる拳法。だけど――今は、そんなことしない」



雷華は静かに言った。



「私は、あなたを壊したいわけじゃない。“分かり合いたい”だけだから」



紅花の拳が震えた。



「……ボクもだよ。殴ってるのに、なんだろう。雷華の拳って、あったかいんだ」



ふたりは再び拳を構える。だがもう、それは殺気を帯びたものではなかった。


むしろ――“話す”ための拳。信じるための拳。



最後に、互いが真正面から一撃ずつ、拳を突き出した。



紅花の「崩拳」。


雷華の「正拳突き」。



ガンッ!



拳と拳がぶつかり合った瞬間、空気が爆ぜた。

石畳が震え、吹き荒れる風が、ふたりの間にあった誤解と敵意を吹き飛ばしていく。


紅花がニコッと笑う。

「ねえ、雷華。次は“決闘”じゃなくて――“試合”しようよ」


雷華もわずかに口元を緩め、頷いた。

「ええ。剣も力もいらない。ただ、拳と拳で」


二人の拳が、そっと触れ合う。

それは契約書でも、血の誓いでもなかった。

ただ――まっすぐな“友情”を刻む印だった。


やがて二人は息を切らしながらも、互いに笑い合う。

戦いで傷ついた身体よりも、心の奥に残った温もりが強く、確かだった。


やがて二人は、ゼェゼェと肩で息をしながら、少し距離を取った。



「……強いね、紅花」



「お前も……まっすぐすぎて、目をそらせない」



紅花は、まるで妹のような顔でポツリと言った。



「さっきまで、すっごく怒ってたんだけどさ。拳でぶつかってるうちに、なんか……わかってきた気がする」



「私も……あなたが“悪意”で戦ってないって、感じた」



その時、獅鳳が駆け寄ろうとしたが、紅花が手をあげて止めた。



「大丈夫。ボク、もう戦う理由ないや」



「えっ……!」



「雷華は悪い子じゃない。むしろすっごく“いい子”だった」



そして二人が見つめ合って、ふっと笑い合う。



「じゃあ、今度は正真正銘、ただの“試合”しようね」



「ええ、拳で、心で――また戦おう」



その瞬間――アイナクィンが表情を変えずに、言葉を投げた。



「……人間の感情とは、非合理的だね」



「逃げるつもりか、アイナクィン!」



雷華が剣を抜こうとしたが、アイナクィンは虚空に裂け目を作りながら、無感情に言った。



「目的を達成できないなら、別の対象を探すまでだ」



そして、すうっと姿を消した。



「……なんだったの、あれ」



獅鳳が呟くと、カイトーが肩をすくめる。



「いやはや、お嬢ちゃんたちの拳劇パンチ・バトル……名シーンだったぜ。ま、こういうのも悪くねえな」



紅花が両手を腰に当てて元気よく言う。



「じゃあ、もう一回だけ!次は手加減しないから!」



「ふふ、こっちも本気でいくぞ!」


紅蓮の炎ではなく、穏やかな陽の光が差し込む中、


拳で語り合ったふたりの少女が、笑い合っていた。



その背後、月の城にはまだ闇が残っている。



だがそれでも――今日という日は、拳によって救われたのだった。



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