乂阿戦記5 幕間の章 ああ、亜突、貴方はどうして亜突なの?-15 機械神ブレイドブルー起動!
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
ブレイドブルー(あどる)は祭壇の中心に向かって走り出した。
リハリア親子は亜突たちの攻撃を阻止しようと動き出した。
「おのれ……!邪魔をするな!」
リハリアが再び新たな召喚魔法を唱える。
「いでよ月の巫女たる我が娘たちよ!父の命に従い、邪魔者を殺せ!」
9つの魔方陣が現れ、魔方陣の下から、9人の黄色い兵装の少女たちが現れる。
いや、少女ではない。
異形の姿をした狐達だった。
顔、胸、腹、腰、右手、左手、髪、右足、左足
それぞれ一部パーツだけが人間のままの狐のような黄色い悪魔だった。
「ふはははは!月影、月光、月夜、月読、月雪、月灯、月水、月雲、月星、9人の我が娘リリシリーズ達よ!儀式を邪魔する愚か者たちを皆殺しにせよ!」
リハリアが号令を下すと、9体の黄色い魔獣はギルトン達に襲いかかって行った。
メティムがギルトンの背に隠れながら、悲鳴をあげる。
「ちょ、ちょっと何よこのモンスター!? え? リハリアの奴、娘とか言ってなかった?」
ヴァルシアが忌々しげに顔をしかめながらリハリアを睨んでいる。
「あ、あの外道!自分の娘を悪魔の生贄に捧げていやがるわ!黒魔法の中に自分の家族を悪魔のいけにえに捧げ強力な魔力を得る禁呪があるの!あいつは上位悪魔に自分の娘を生け贄に捧げて大きな力を手にしている!あの九体の狐悪魔は生贄にされたリハリアの娘たちのなれ果てに違いないわ!!」
「伸びろ如意棒!」
斉天大聖の武仙ギルトンが如意棒を伸ばし振り回す。
「この九匹の狐達はオラが相手する!」
彼は一人で九体の狐悪魔達の相手をした。
「ザコは私達が!」
ヴァルシアとメティムは白いアイナクィンの軍勢の相手をした。
「フン……相変わらずだな、亜突」
低く、湿った声が夜気を震わせた。
振り返ると、祭壇の階段をゆっくりと下りてくる影――リハリアの息子、シャチ・イーグス。
月光を浴びたその顔は幼き日の友のもの。しかし瞳に宿るのは、かつて知る温もりではなく、氷のような冷笑だった。
「……シャチ」
亜突は剣を構え直す。
「子供の頃は俺の背中を追っていたくせに……今じゃ野良犬に堕ちるか」
嘲る声は剣より鋭く、胸を抉った。
「亜突。俺は“選ばれた器”だ。凡人の願望ごっこに付き合う気はない。クィンは――権力者の手に渡る。すでに決まっている未来だ」
「黙れッ!」
ブレイドブルーの怒声と同時に、蒼き閃光が走った。
だが――黄金の稲妻が逆巻き、シャチの体を覆う。鎧のような魔装が顕現し、炎の翼が夜を焦がした。
「見ろ、これが“選ばれた者”の力だ。お前の剣は、ただの凡人の足掻きにすぎない」
――ギィィィンッ!
蒼と黄金が衝突し、祭壇全体を衝撃が裂く。
「どうした亜突!その程度か!」
雷鳴のごとき拳が床を砕き、石片が宙を舞った。
「俺は……凡人でいい!」
血を吐きながらも、亜突は蒼い剣を握り締めた。
「だが、クィン様を守れる凡人でありたい……それで十分だッ!」
二人の刃が再び交錯する。
――ギャリィンッ!!
蒼の閃光と黄金の雷光がぶつかり合い、祭壇の上に衝撃波が奔った。
「フフフ……見えるぞ、亜突。お前の焦りが!」
シャチの拳が突き出され、雷鳴の奔流がブレイドブルーを直撃する。
「ぐっ……!」
亜突は吹き飛ばされ、祭壇の石床に叩きつけられた。
血が滲む唇を拭い、なおも立ち上がる。
「……俺は……負けない」
「立つのか? その惨めな姿で!」
シャチの黄金の瞳が冷酷に輝く。
だがその刹那――。
亜突の視線は、儀式の光に囚われるクィンの姿を捉えた。
虚ろな瞳で立ち尽くす彼女、その頬にはかすかな涙の痕。
(……クィン様!)
シャチの連撃を受け流し、ブレイドブルーは意図的に背後を晒す。
「なにっ……!?」
シャチの拳が空を切る。
その一瞬の隙を突き、亜突は蒼い残光を残して駆け抜けた。
一直線に――クィンのもとへ。
「クィン様ァァァ!!」
亜突の叫びが響いた瞬間、彼は結界の内側へ飛び込み、囚われたクィンの腕を掴んだ。
冷たいその手を力強く握りしめ、必死に呼びかける。
「戻ってきてください! あなたは人形なんかじゃない! あなたは……俺のクィン様だ!」
祭壇の光が激しく揺らぎ、クィンの瞳が微かに震えた――。
「亜突……?私は……」
彼女の瞳はいつもの優しい色に戻っていた。
「クィン……!」
亜突は喜びのあまり彼女を抱きしめた。
その時だった。
突然、祭壇から強烈な光が放たれ、ブレイドブルー(あどる)とクィンは宙に浮かび上がった。
「なっ……!?」
ブレイドブルー(あどる)が驚いて見ると、リハリア親子が笑いながら立っていた。
「計画通りだ……。クィン・クィーンを完全にアイナクィンシステムと融合させる!」
リハリア・イーグスは邪悪な笑みを浮かべながら言った。
「さあ、六道魔人よ……今こそ我らに力を与えよ!」
祭壇の上で異変が起きた。
祭壇に置かれた鏡が紫色の光を放ち、その中に漆黒の影が浮かび上がる。
「来た……来たぞ!」
リハリア・イーグスの声には狂喜の色が滲んでいた。
「六道魔人よ、目覚めの時だ!」
祭壇の鏡が悲鳴を上げるように軋み、紫の光が裂けた。
そこから溢れ出した漆黒の影は、空気そのものを腐らせるかのように広がり――やがて、ひとつの「人の形」を模した。
三つの炎眼が爛々と輝き、歪んだ笑みが仮面のように浮かぶ。
その声は低く甘美で、耳に届くよりも早く魂を撫でていた。
「……我を呼び覚ましたのは誰だ?」
リハリアが一歩進み出る。
「十権者の一人、リハリア・イーグス。我らに力を授けよ、邪神よ!」
「ほう……」
黒影はゆっくりと顎を傾けた。
「人間ごときが、私を再び現世に呼ぶとは……実に飽きぬ」
その声音は慈悲に満ちているかのようで――しかし底知れぬ冷酷さを隠しもしなかった。
「裏切り、奪い合い、血を啜り、救いを乞う。
愚かで、哀れで、救いようがない――だが……それこそが人間という生き物の唯一の“美”だ」
ブレイドブルーは剣を構え、震える息を吐く。
「お前が……六道魔人……!」
「正解だ、少年」
邪神は口元を釣り上げ、愉悦に満ちた声を漏らす。
「伝説の大魔王アザトースに仕えし私――ナイアルラトホテップ。
さあ、見せてみろ。守るために剣を振るうか、滅ぶために愛を叫ぶか。
……どちらにせよ、私は楽しませてもらうがね」
その瞬間、空気が凍りついた。
祭壇はもはや戦場ではなく――邪神が観劇する舞台と化した。
ブレイドブルー(あどる)は剣を振りかざしてナイアルラトホテップに突進した。
漆黒の影から現れた邪神は、嘲るように唇を歪めた。
「人間とは……実に飽きぬ。
互いに裏切り、奪い合い、救いを乞う――その愚かしさが何より愛おしい」
その声音は冷静で、同時に甘美な毒を含んでいた。
「守るために剣を振るうか、滅ぶために愛を叫ぶか。
少年――せいぜい私を楽しませてみせろ」
ナイアルラトホテップは軽く手を振るだけで亜突の攻撃を払いのけた。
「くっ……!」
亜突は再び立ち上がり、剣を構える。
「おいおい、亜突〜、お前の相手は私だ」
シャチ・イーグスが前に出てきた。
「シャチ、その姿は!?」
ブレイドブルー(あどる)はシャチに目を向け驚く。
なんとシャチの姿はブレイドブルー(あどる)と同じように変身HEROの姿に変貌していたのだ!
それもブレイドブルーより禍々しい黒く黄色いHERO姿である。
「亜突よ……。邪魔をするなら容赦しないぞ……」
シャチは冷たく言い放った。
「お前たちの好きにはさせない!クィン様は俺が守る!」
ブレイドブルー(あどる)はシャチに向かって走り出した。
「愚かな……」
シャチは冷笑を浮かべ、右手を高々と掲げた。
「――黄金縛鎖!」
バチィィィィンッ!!
稲妻を帯びた鎖が虚空から迸り、亜突の四肢に絡みついた。鎖は生き物のように蠢き、瞬く間に肉へと食い込み、骨を軋ませる。
「ぐっ……!?」
亜突の喉から苦悶の呻きが漏れる。焦げた鉄と血の匂いが夜気に漂い、祭壇全体に響くのは鎖が肉を裂く不快な軋音。
「どうした、亜突」
シャチは獲物を嬲る獣のように嗤った。
「お前の剣はただの理想を語る玩具だ。俺の鎖は現実そのものを縛る。凡人は這い蹲って……俺の足元で吠えていろ!」
黄金の鎖が締め付けるたび、蒼き鎧が悲鳴のような火花を散らした。
シャチが勝ち誇った表情で言ったその時、突然祭壇から強烈な光が放たれた。
「なっ……!?」
シャチは驚いて光の方を見た。
光の中にはクィンの姿があり、彼女は両手を天に掲げていた。
「亜突……!早く……この光を浴びて……!」
クィンの声が響き渡った。
「クィン様……!?」
亜突は混乱しながらも、クィンに向かって走り出した。
炎の壁はいつの間にか消えていた。
亜突がクィンの元にたどり着くと、彼女の手から放たれる光が亜突を包み込んだ。
「これは……!?」
亜突は光の中で自分の体が変化していくのを感じた。
ブレイドブルーの仮面のスコープに、敵に対し切れ込みを入れる為の線が見えるようになる。
亜突は本能で気づいた。
この線に沿って敵を斬れば敵は確実に死ぬのだなと……
「亜突……あなたに時空大鍵の力を授ける……」
クィンの声が心の奥底に沁みわたり、彼女の光が亜突を包み込む。
次の瞬間――世界が反転した。
轟音と共に大地が震え、眩い蒼光が天を突き抜ける。
亜突の体を覆っていたブレイドブルーの装甲は膨張し、鋼鉄の重厚なパーツへと再構築されていく。
背から伸びる翼は夜空を覆い、羽ばたくたびに風圧が周囲の炎を吹き消した。
「な……なんだ、あの巨人は……!?」
リハリアが目を見開く。
月明かりを受けてそびえ立つその姿は――まるで神話の機械神。
青白い残光を纏った巨腕が動くだけで、空気が悲鳴を上げ、祭壇の石床が罅割れる。
「これが……時空大鍵を持つ改獣の力……!」
コックピットに浮かぶ無数の光のラインが、敵を確実に断ち切る“死の軌跡”を描き出す。
亜突はその全てを見据え、深く息を吸った。
「俺は……クィン様を守るために、この力を振るう!」
夜空に咆哮が轟き、巨神ブレイドブルーが覚醒した。




