乂阿戦記5 第六章 剛弓覇龍の娘 葵遍と葵寧々子-10 魔王クロウ・アシュタロスvsクレオラ・フェレス
作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
(o_ _)o
神羅達は鵺が持っていた魔法のロープでホドリコとミルコ聖刃をグルグルに縛り拘束し、とりあえず後遺症が残らないよう回復呪文かけ、両者が、気を失っているうちにその場をはなれた。
正直自分達ではこの2人のどちらにも勝てる気がしない。
彼女等に対抗できる女子は最強魔女たる乂羅刹か、銀河連邦HEROランキング二位のルシル・エンジェルくらいだろう。
だから一同は、聖刃、ホドリコとの闘いは避け、とりあえず鍵を奪ったクレオラ達を追いかけることにした。
その頃クレオラ達はと言うと……
ゴソゴソッ……ガチャリ……
クレオラは魔法で鍵を開けると静かに部屋の中に入った。
ここは恐らく地下牢だろう。
薄暗くカビ臭い匂いが充満していて居心地が悪い。
クレオラはまずこのチェイテ城に保管されてるであろう、11人委員会が所持する白、黄色、橙色、翠、灰色の5つの銀の鍵を探す事にした。
今クレオラは桜、紫、赤、黄緑、蒼、黒の六つの銀の鍵を持っていた。
部屋の奥に進むと鎖で繋がれた少女が座り込んでいた。
見た所外傷はないようだ。
少女は俯いていて表情は見えない。
ひょっとして泣いてるのだろうか?
無理もないだろう。
こんな所に押し込められてるのだ。
きっと不安でいっぱいなのだろう。
「大丈夫?」
クレオラは優しく声をかける。
すると少女は顔を上げた。
その表情を見てクレオラは思わず息を飲む。
なぜなら彼女の顔はまるで能面のように無表情だったからだ。
この子は感情が欠落しているのかもしれない。
そう思った瞬間、突然後ろから声をかけられた。
振り向くとそこには黒髪の男が立っていた。
その男を見た瞬間、クレオラの中で警鐘が鳴る。
この男は危険だ。
本能がそう告げている。
「メフィストギルドのクレオラ・フェレス、その女はアイナクィンの端末体だ。人間の姿をとり愛菜久印と名乗っているが決して人間ではない。見た目に騙され絡め取られないよう警告しておくぞ」
男は淡々とした口調で言う。
クレオラは警戒しつつ答える。
「あら、ちょうどいいわ。そのアイナクィンに質問したいことがございましたの」
そう言うとクレオラは魔法の剣を構えて臨戦態勢をとる。
それを見た男はやれやれと言った感じで首を振る。
まるで無駄な抵抗だと言わんばかりだ。
「"時空大鍵"復活の儀式はどこまで進んでますの?魔界七大魔王クロウ・アシュタロスさん……」
そう言ってニヤリと笑うクレオラ。
対するクロウは静かに笑みを浮かべるだけだった。
そして一言こう告げる。
「答える気はない。大人しく捕まってもらう」
その瞬間、クロウの姿が消える。
否、消えたのではない。
超高速で移動したのだ。
一瞬で間合いを詰めるとクレオラに向かって拳を放つ。
女を傷つけるつもりはない。
なにより同じ学園に通う同級生でもある。
軽い当身で気を失ってもらうだけた。
しかしその攻撃を彼女のボディーガードとして同伴してきた男が防いだ。
身長180cmを超える巨体にスキンヘッドの強面の男。
この男の名はバルザック。
かつて宇宙の賞金稼ぎと呼ばれた男だ。
バルザックは両手に構えたマシンガンを乱射する。
弾幕を張ってクロウの動きを封じようとしているのだろう。
だが無駄だ。
銃弾はクロウの手捌きの防御の前に一向に当たる気配はない。
それどころかバルザックに向かって跳ね返っていくではないか。
やがて全ての弾丸を撃ち尽くすと今度はショットガンに持ち替えるバルザック。
次の瞬間、至近距離からの前蹴りを受け吹き飛ばされる。
バルザックは壁に激突しそのまま意識を失った。
クレオラは目の前の光景に唖然としていた。
まさかここまでとは思わなかったのだ。
このままではまずいと思い慌てて詠唱を開始する。
しかしそれを見逃すほど甘くはなかった。
クロウが再び姿を消し死角から蹴りを放つ。
チッ
足の爪先が軽くだけあごをかする。
それだけてクレオラの脳は揺れカクンと力は抜ける。
追撃はない。
どうやらクロウは本当に無傷でクレオラを捕えるつもりらしい。
クレオラは気絶しそうになるのを踏ん張ってこらえ、慌てて後ろに飛びのく。
「あらあら、女の子の顔に傷が残ったらどういたしますの?」
「傷跡は残らないよう手加減はした。だがお前のほどの実力者を相手に、いつまでも手加減できる自信は無い。だから、おとなしく降参してもらえたら助かるのだが?」
魔王クロウは油断なく構えを取る。
「ほんとやりにくいお方ですこと……怠惰の魔王なのに慢心が全然ありませんわ……」
クレオラは嫌な汗が止まらない。
それにしても先ほどの一撃は速かった。
一瞬反応が遅れたとはいえ、気を失うギリギリで回避するのが精一杯だったのだ。
もしあと、数ミリ深く攻撃を受けていたら今頃どうなっていたことか。
そう考えただけでも恐ろしい。
クレオラは背筋に冷たいものを感じていた。
しかしそれでも諦めるわけにはいかない。
まだ負けたわけではないのだから。
そう思い立ち上がると再び身構える。
その時だった。
突如背後から肩を叩かれたのである。
振り返るとそこにいたのは金髪碧眼の少女が立っていた。
「あなたは……?」
驚いた表情で尋ねるクレオラに対し少女フレア・スカーレット はニコリと微笑んだ。




