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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記5 第六章  剛弓覇龍の娘 葵遍と葵寧々子-2 脱出後の朝

作者のGoldjごーるどじぇいです!

この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…

とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!

「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」

となってくれたら最高です。


良ければブックマークして、追っかけてくださいね

(o_ _)o



そして時は現在に戻り、雷音たちは――

深夜、疲れの色を隠せない足取りで宿へ戻ってきていた。


この宿は観光協会の計らいで宿泊も食事もすべて無料。

夕食を終え、それぞれが部屋でくつろいでいたそのとき――


コン、コン。

木扉を叩く控えめな音。


「はーい」

雷音が扉を開けると、そこに立っていたのは意外な人物だった。


「こんばんは、皆さんお揃いですね」


月明かりを背に現れたのは、この地方の領主にして龍麗国の領議政――剛弓覇龍の娘、葵遍。


挿絵(By みてみん)


その落ち着き払った眼差しに、雷音は思わず瞬きをした。


「えっ!? なんでここに……?」


「私はこの地方の領主でもありますから。……まあ実務はほとんど側近任せですけどね」

冗談めかして微笑むと、すぐに真顔へと切り替える。

「それより――今日あったことを詳しく聞かせてもらえますか?」


雷音が頷き、葵遍を部屋に招き入れる。

テーブルを挟んで向かい合い、雷音はチェイテ城での出来事を語り始めた。


ロキに誘われ、鵺を救うためファルフィン団と共に突入したこと。

カイトーたちと協力して、改造されかけていた女学生たちを救出したこと。

だがその過程で統括者クィンクィーンが復活し、銀の鍵を奪われたこと。

少女たちを連れて一度撤退したこと――。


話を聞き終えた葵遍は、数秒間視線を落としたまま黙し、やがて顔を上げる。

「……なるほど。それで、あなた方はこれからどうするつもりですか?」


「明日、もう一度チェイテ城を見に行きます。クィンクィーンが銀の鍵で何をするのか気になるので」


「クィンクィーンは――自分が殺したアンドラスという男を、生き返らせようとしているのよ」


低く澄んだ声が部屋に落ちた。

いつの間にか、今宵鵺が扉の傍に立っていた。


「あら、鵺姫……! 無事でよかったです」

葵遍が立ち上がり、手を差し出す。

鵺はわずかに逡巡しながらも、その手を握り返した。


雷音が首を傾げる。

「人を生き返らせるだけなんだろ? 別にいいじゃん。化け物が出たら、俺たちで狩ればいい」


「……いいわけないでしょ!」

鵺の声が鋭く跳ね、机が軽く揺れた。

「百年前のラグナロク以降、死者蘇生は禁忌中の禁忌。使えば使うほど魔法法則が乱れ、歪みの怪物が生まれるの。それも、ただの蘇生じゃない。クィンクィーンの手で殺された者には、蘇生魔法を無効化する強力な呪いが刻まれている。それを無理やり破れば――」


雷音が口笛を吹き、気の抜けた調子で遮る。

「そんな大げさな……じゃあ、世界を滅ぼした六道魔人でもゾンビになって出てくんの?」


「そうよ!」

机を叩く音が乾いた衝撃を放つ。

「秩序の統括者たるクィンが禁忌を犯せば、本当に六道魔人すら蘇りかねない!」


雷音は肩をすくめ、「へぇ〜、お伽話も現実になるもんだね」と呑気に返す。

そのやり取りを見ていた葵遍が、ため息混じりに微笑を浮かべた。


「まあまあ、落ち着いてください。今はこれからの動きを決めるべきです」


鵺は呼吸を整え、葵遍を真っ直ぐに見た。

「……ところで葵遍さん。チェイテ城で“アオネコ”と名乗る少女に会いました。本名は葵寧々子――剛弓覇龍閣下の御息女。つまり、あなたの妹さんでは?」


葵遍の瞳が一瞬揺れる。

だがすぐに、完璧な笑みを形作った。

「ええ、そうです。リストにもあの子の名前がありました。……心配していたら、こんなことになっていたなんて」

声が一瞬だけ細くなる。けれどすぐに引き締まった調子で続けた。

「でも、あの子なら必ず機会を伺っています。急いで助けに行きましょう」


「私も同じ気持ちです」

鵺の声音には冷静さの奥に硬い決意があった。

「あの子を助けると約束しました。借りも返さなきゃいけません」


葵遍は短く目を伏せ、静かに微笑む。

「……ありがとう、鵺姫様。では準備を整えましょう。今度こそ、確実に」


こうして――

再び闇と血の匂いが漂う城へ、一行は足を踏み入れる覚悟を固めた。

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