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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記5 第五章 吸血女王エリザベート・バートリーの淫靡な宴-7 脱出失敗

作者のGoldjごーるどじぇいです!

この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…

とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!

「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」

となってくれたら最高です。


良ければブックマークして、追っかけてくださいね

(o_ _)o


黄金色の輝きが、赤い霧を押し分けて差し込んだ。

それはシャンデリアの光ではない──もっと濃く、もっと熱を帯びた輝きだった。

霧の粒子が金色の光に照らされて舞い、空気の温度がわずかに上がる。

広間全体が、見えない幕で隔てられたかのように静まり返った。


やがて、その光の中心から一人の女性が現れた。

黄金のドレスは細やかな刺繍に覆われ、歩くたびに金糸が宝石のように煌めく。

布地が擦れる音は、まるで舞台の幕開けを告げるファンファーレのようだった。

肩から流れる長い金髪は、揺れるたびに淡い香水の香りを霧に溶かし込む。


挿絵(By みてみん)


その一歩ごとに、足元の霧が金色に染まり、見えぬ鎖が観客の心を絡め取る。

甘美でありながら、逃げ場のない威圧感。

その場にいた兵士の一人が、思わず息を呑み、震える声で叫んだ。


「ま、まさか……貴方は……!」


女性は視線をゆるやかに上げ、唇に余裕の笑みを浮かべた。

「うふふ……やっハロー♪ ごきげんよう、皆さん。私の名前は──黄金姫クィン・クイーン」

軽く首を傾げ、「そうね、“十二月天使”の統括者と言えば、わかりやすいかしら?」と、まるで冗談を告げるような柔らかさで言葉を重ねる。


次の瞬間、彼女の周囲に金色の光が渦巻き、空間そのものが軋む音を立てた。

光は形を変え、無数の鎖となって四方八方へ解き放たれる。

鎖の一本一本が生き物のようにうねり、音もなくカイトーたちへ殺到した。


「ぐっ……くそぉおお!」

カイトーが抵抗する間もなく、その腕と脚が絡め取られ、紫外線ライトが床を転がる。

ハジキも、イアイも、レヴェナも次々と締め上げられ、抗う余地を奪われた。


クィンは静かに近づき、捕らえられた獲物を見下ろす。

「あなた達には、聞きたいことが山ほどあるの。一緒に来てくれるわね?」

拒否権など存在しない口調。笑みだけが柔らかく、その奥に冷たい刃を隠していた。


カイトーたちが鎖に絡め取られ、地下牢へと引き立てられていく。

重い鉄扉が閉じる音が大広間の奥に響き渡り、霧の中に沈黙が戻った。


柱の陰からその光景を見ていた鵺は、喉の奥に氷のような塊を感じていた。

(……まずい。このままでは、私たちまであれに捕まる)

そう考え、そっとその場を離れようとした瞬間──


背後から、柔らかくも決して逃れられない力で、全身を抱きすくめられた。

温もりと共に、肌を撫でるような低い囁きが耳に落ちる。

「初めまして、お嬢さん。お名前を聞いてもいいかな?」


振り返った瞬間、視界に飛び込んできたのは、見知らぬ男の顔。

切れ長の目は笑っているが、その奥には冷たい光が潜む。

彼の腕の中には、気を失ってぐったりとしたアオネコが抱えられていた。


「……誰?」

鵺が低く問いかけても、男は答える代わりに、勝手に話を進める。

「……ふむ、やはり君が“黒の魔女”ルキユだね。会えて嬉しいよ。僕は──ナルチーゾ」


その名を聞いた瞬間、鵺の瞳がわずかに見開かれた。

この男……自分の名を知っている。しかも、ただの噂ではなく本質を掴んだ口ぶりで。


ナルチーゾは薄い笑みを崩さず、さらに一歩踏み込むように言った。

「君の魔法は非常に厄介だ、と我が主が言っていた。だからこそ、仲間になってほしい。報酬も待遇も──望むだけ与えるよ」


鵺はその甘言を真正面から切り捨てる視線で見返した。

「……私を勧誘? 私のことを知っているなら、わかるはずでしょう。私がどんな人間か」


男は肩を竦め、唇の端を上げる。

「ああ、わかっている。君は悪人だ──それも、とびきりの。闇王様は言ってたよ。君はかつて“七罪の魔女”の副頭目として、この世界を滅ぼしかけた、と。だからこそ、僕は欲しいんだ。君という切り札が」


鵺の胸中で、氷のような怒りが鈍い音を立てた。

確かに、ルキユの名を背負う自分は血と呪いを負っている。

だが──こんな男に従うほど、誇りは安くない。


「お断りよ、ナルチーゾ。あなたの悪行は耳に入っているわ。女を奴隷のように扱う最低の男──そんなものと手を組むくらいなら、死んだ方がマシね」


拒絶の言葉は鋭い氷刃のように空気を切り裂いた。

しかしナルチーゾは怒るどころか、愉悦に満ちた目で笑った。


「そうか……残念だ。でも、仕方ないね」

その声は絹のように滑らかで、底には棘が潜んでいた。

「ならば、無理やりにでも連れていくまでさ」


次の瞬間、鵺の視界が揺らぎ、全身に重い眠気が絡みつく。

膝が崩れ、意識が暗い深みに引きずり込まれていく。

最後に見たのは、歪んだ笑みを浮かべるナルチーゾ──その奥に覗く、得体の知れぬ悪意だった。



意識が戻ったとき、鵺は薄暗い石造りの部屋に横たわっていた。

壁は湿り気を帯び、鼻を刺すのは鉄錆とカビの匂い。

安物のランプがぼんやりと灯り、光の届かない隅は闇に溶けている。


手足には冷たく硬い感触──鎖だ。

身体を動かそうと力を込めるが、鉄はびくともしない。


部屋の隅に座る老人が、じっとこちらを見ていた。

白髪と深い皺に覆われた顔。その双眸は氷のように冷たく、息苦しいほどの威圧を放っている。

(……ドクター・レコキスタ。十一人委員会の第六席……!)


老人は一言も発せず、ただ鵺を観察するように目を細めている。

視線はまるで解剖台の上の標本を見る学者のそれだった。


やがて、部屋の扉が軋みを上げて開く。

足音と共に入ってきたのは、翠髪の女──切咲サキ。

翡翠色の長髪が揺れ、笑みを浮かべた唇からは甘い香りが漂ってくる。


「あら、目が覚めたのね」

猫が鼠を弄ぶような瞳で覗き込む。

「気分はどうかしら?」


返答を待たず、唇の端を上げる。

「ちょっとだけ……自白剤を打たせてもらったわ」


その一言に、鵺の背中を冷たいものが走った。

だが、表情は動かさない。

「……どういうつもり?」


切咲は髪を指に絡ませ、妖艶に微笑む。

「怖がらないで。危害を加える気はないわ。ただ──あなたの仲間について知りたいだけ」


軽く指を鳴らすと、見えない刃が鎖を断ち切った。

鉄が床に落ちる音が、やけに大きく響く。


「公式ではないけど……あなたは“五剣”ユドゥグの娘、龍麗国の姫様。なら、礼儀は尽くさなきゃ」

切咲は机と椅子を持ってきて、着席を促した。


鵺は警戒を解かず、椅子に腰を下ろす。

「まず一つ。黒天ジャムガはここに現れる?」

切咲の声は柔らかいが、その奥に針のような圧がある。

「ここは大使館のような場所。ユドゥグ王の長男が乗り込めば、国際問題になるわよ?」


鵺は数秒だけ沈黙し、虚偽は逆効果だと判断した。

「来ないわ。彼は今、仲間と一緒に“歪みの化け物”を退治している。龍麗国の羅漢仁王山でね……私は、あなた達がその化け物を人為的に誘導しているのか調べに来たの」


切咲の瞳が一瞬だけ揺れ、次に楽しげに細まった。

「なるほど……じゃあ私たち、無駄な戦いをしてたわけねぇ♪」


その笑みが消えぬうちに──扉が叩きつけられるように開いた。



扉が弾け飛び、冷たい空気と共に影が流れ込んできた。

その先頭に立つのは、全身ずぶ濡れのエリザベート・バートリー。

海水が絹のドレスを重く貼り付け、滴る水が床に暗い染みを作っていく。

宝石のような紅の瞳は怒りで濁り、唇は猛獣の牙のように剥き出しになっていた。


「紅花! 紅花はどこだ!」

その叫びは、壁と天井に反響して部屋全体を揺らす。

「私を殴り飛ばしたあの無礼者……今日の生贄は決まったぞ!

あの赤毛のバカ娘だ! 手足をもいで、荒くれ者どもの慰み物にしてやる!

この恨み、晴らさずにおくものかぁッ!」


切咲の目がわずかに細まり、鵺は口を閉ざしたまま息を潜める。

部屋の隅で沈黙していたドクター・レコキスタが、深く長い溜息をつき、ゆっくりと立ち上がった。


「……エリザベート。紅花は“レアケース”のアイナクィンだ。替えの利かない個体だぞ。壊してしまえば、二度と作れん」


「黙れ!」

怒声と同時に、エリザベートはレコキスタに詰め寄り、襟首を掴み上げた。

水滴が老人のローブに染み込み、冷たく光る。


「私が殺すと決めた者は、例外なく皆殺しにしてきた! 今さらそれを止めろというのか!」


レコキスタは眉一つ動かさず、氷のような声を返した。

「……貴様、誰の襟首を掴んでおる? わしの名を知っていて、それをやっているのだろうな。なら──立場というものを教えてやらねばなるまい」


「このクソじじい……やれるものならやってみろ!」

エリザベートが袖から抜き出したのは、光を反射する細身の銀刃。

鋭い閃きが空気を裂き、一直線に老人の喉元を狙った──


──しかし、その刹那。


轟、と空気が震え、影が割って入った。

漆黒の腕がエリザベートの手首を掴み、そのまま容赦なく捻り上げる。


「ぐっ……!」

短い悲鳴が、怒りに満ちた唇から漏れる。


その腕の主は、漆黒の外套に身を包み、無機質な仮面で顔を覆った男──アンドラス。

全身から滲み出すのは、戦場の血と死を纏った者だけが持つ、純粋な殺気だった。


レコキスタの唇が歪み、愉悦を隠さない笑みが浮かぶ。

「ほう……闇王直属の切り札が、わしの呼びかけに応じるとはな、アンドラスよ」


アンドラスは吐き捨てるように舌打ちをした。

「……借りは作らない主義だ」


「ははは! 随分と嫌われたものだな……もっとも無理もないか」

レコキスタはゆっくりと歩み寄り、その声を低く響かせる。

「お前たち“十四天仕隊”は、わしに思うところがあるはずだからなぁ!」


その名が告げられた瞬間、エリザベートの顔色が蒼白に変わった。

紅の瞳が大きく開かれ、唇が小刻みに震える。


「ば……馬鹿な。最悪の魔女エクリプスが選び抜いた伝説の殺し屋集団……その生き残りが、まだ……!」


レコキスタは薄く笑い、冷たい光を瞳に宿す。

「さて……お前の処遇だが──」


その言葉を断ち切るように、廊下から慌ただしい足音が迫ってきた。

扉が再び開かれ、別の影が部屋に飛び込んでくる──

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