表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

435/515

乂阿戦記5 第四章 鏨夕は誘拐された友達を助けたい-21 囚われたスパイ屍紫(かばねむらさき)

作者のGoldjごーるどじぇいです!

この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…

とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!

「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」

となってくれたら最高です。


良ければブックマークして、追っかけてくださいね (o_ _)o

それからしばらく移動を続け、ついに目的地――アルテミス女学園の校舎へと到着した。


白亜の壁に優雅な尖塔が聳え立ち、季節の花々が風に揺れる。初等部・中等部・高等部、それぞれの棟は庭園で繋がれ、まるで王宮のようだ。

俺たちは案内役に従い、自分たちの教室へ向かった。



扉を開けると、すでにクラスメイトたちが席に着き、こちらを注目していた。

局鶯さんへの自己紹介が始まる。まずは俺の番だ。


「はじめまして、私は雷音と言います。これから一緒に戦うことになりますので、よろしくお願いします!」


深く頭を下げると、教室内にパチパチと拍手が広がった。

胸の奥の緊張が、少しだけほどける。


順番に挨拶が進む中、一人だけ明らかに浮いている小柄な少年がいた。

気になって近づく。


「あのー、すみません。少しいいですか?」


肩を震わせて振り返った少年の髪は雪のように白く、瞳は翡翠色。透き通る肌は妖精のようだが、その表情には影が差していた。

年齢は九歳ほどだろうか。


「……あ、あの!ぼ、僕は鶯谷姉さんの弟の輝印フィインといいます。地下基地ではご迷惑をかけました。お姉ちゃんを取られると思って冷静さを失って……反省してます。これからは心を入れ替えて頑張ります!」


小さな体を折り曲げ、深々と頭を下げる。

慌てて手を伸ばす。


「そんな……謝る必要なんてない。君が自分の意志で行動できたこと、それだけで立派だと思うよ」


言葉を受けたフィインは目を丸くし、ふっと笑った。

今度は先ほどよりも深く丁寧にお辞儀をする。

自然と俺も笑みを返していた。


こうして新たな仲間を得たことで、俺たちの絆はさらに強まった――そう感じられた。



……その頃、別の場所。


「……ここは……?」


瞼を開いた瞬間、鉄の匂いと湿った空気が鼻を刺す。

粗い石壁、錆びた鉄格子。両手両足は縄で固く縛られ、わずかに動くたび皮膚が擦れて痛む。


牢屋だ。


挿絵(By みてみん)


足音。

顔を上げると、格子の向こうに現れたのはクラスメイト――久印愛菜。

唇がゆっくりと吊り上がる。


「目が覚めたようだね……」


瞬時に悟った。

人間に擬態するアイナ・クィーンの秘密を探ろうと接近したが、正体を見抜かれ、逆に捕まったのだ。


愛菜の瞳は愉悦で満ちていた。

「泣くほど嬉しいのかい?」

嘲る声音に、反射的に睨み返す。しかし、その視線はまるで獲物を弄ぶ猫のように、彼女をますます楽しませるだけだった。


重い扉が開く音が響いた。

入ってきたのは、漆黒のロングコートに身を包む長身の男――11人議員会第七席、七大魔王の一人、アスモデウス・サンジェルマン。


「……やあ、愛しの屍紫君。こうして再びお会いできる日を、私はどれほど夢見たことか」


彼の声は、柔らかく、それでいて底知れぬ毒を含んでいた。


「まさか君が裏切るとは思わなかったよ。ああ、いや――裏切りというのは不正確ですね。君はもともと龍麗国の二重スパイ……そう、“最初から私の物ではなかった”のだから。……もっとも、今となってはどうでもいいことですが」


足音を響かせ、ゆっくりと距離を詰めてくる。

背筋が凍る。視界が狭まる。


「お、お願いです……!なんでもしますから、命だけは……!」


彼は一瞬だけ目を細め、口元を上品に歪めた。

「ふふ……甘く囁く君の声、久しぶりに聞きました。いいでしょう。――許してあげますよ」


安堵の息が漏れた、その瞬間。


「……ただし、君をこの世界で最も愛らしく、最も無慈悲な存在に“仕立て直す”ことを条件にね。君を、私のアイナ・クィーンの魔法少女にするのです」


心臓が跳ねた。

「な……そんな……! 私は私でいたい! システムの奴隷になんか……!」


「抵抗する姿も愛しい……ああ、その瞳が私の色に染まる瞬間を、どれほど待ち望んだことか」


屈強な兵が牢に踏み込み、肩と腕を掴む。

足が引きずられ、視界が揺れる。

心臓が早鐘を打つ――もう終わりだ。


その時、鋭い声が響いた。


「待ちなさい!」


振り向くと、光を背負った少女が立っていた。

その名は――神羅。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ