乂阿戦記1 第六章- 灰燼の覇者阿烈とケルビムべロスの虎-3 羅漢の真意
\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/
今話は、狂戦士“乂阿烈”vs邪神ナイアルラトホテップの超次元バトル! 雷音の覚醒、羅漢の変身、兄弟喧嘩の行方は――!?
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神羅には――二人の父がいる。
正確には、二組の“親”がいるのだ。
一組は、雷音たちの父母であり、自らを育ててくれた英雄《乂舜烈》と、炎の魔法少女。
そしてもう一組は――己に命を与えた、本当の父と母。
《楚項烈》と《風の魔法女神プリズナ・ヴァルキリード》。
その名は、誰よりも強く、誰よりも遠い――彼女の“原点”だった。
乂舜烈と楚項烈は、義兄弟の盃を交わした盟友だった。だが七年前、その絆は悲劇に終わる。
アシュレイ族で勃発した族長争い――トグリル派とゴブディ派に分かれた内紛の中で、乂舜烈はトグリル・アシュレイを、楚項烈はゴブディ・アシュレイをそれぞれ支持。
戦場で相まみえた二人は、宿命に引き裂かれるように――楚項烈の命を以て、その争いに幕を下ろした。
楚項烈には、二人の子がいた。羅漢と神羅。
乂舜烈は、その命を奪った償いとして、残された子供たちを引き取った。
その時、羅漢六歳。神羅、わずか四歳。
炎の母ホエルと共に、乂家は二人を実の子と分け隔てなく育てた。
だが、さらなる悲劇が五年後に襲い来る。
二年前――乂舜烈は謎の死を遂げた。
毒を盛られたという噂が流れる中、乂家の民たちは、ドアダに後ろ盾を得たタイラント族の誘いに靡き、乂阿烈の下から次々と離反していった。
皮肉にも、ドアダ首領であるガープ――
神羅を溺愛する祖父自身が、間接的に彼女へ試練を与えることとなった。
神羅――いや、ユキルの胸中は、荒れ狂う波濤のようだった。
母・ホエルに託された命。乂家から与えられた無償の愛情。
そして、今この瞬間に知らされた自らの血の真実。
――私は二度生まれ、二度目の生を与えられた存在。
かつての母、カンキルは狂気と野望に滅びた。
そしてユキル自身もまた、家族を救うために死を選び、命を捧げた存在だった。
(……私がもう一度生まれた意味。それは……)
(……この世界の誰かの心を、未来を、救うため――)
その決意は、胸の奥に静かに灯る光となった。
◇
その頃――
乂羅漢、すなわち“銀仮面”は、ドアダ首領とユキルの会談を遠巻きに見守っていた。
張り詰めた空気の中、ただ一つの気配が、彼の背後に忍び寄る。
風もなく、足音もない。
ただ、“在る”という違和感だけが、銀仮面の背後に立っていた。
「よう、銀仮面」
その声音は飄々としながらも、内に含んだ悪意と洞察は、鋼の刃のように鋭い。
「……何か御用でしょうか、ナイトホテップ様」
銀の仮面越しに冷ややかに返す声。だがその均衡も、すぐに見透かされる。
「お前さんさぁ、洗脳なんざもうとっくに解けてんだろ? ――なぜ、まだ“操られてるフリ”してんだ?」
羅漢の仮面が、ゆっくりと外される。
その双眸には、曇りも迷いもない。
ただひとつ、意志の炎が燃えていた。
「……いつから気づいておられた?」
「お前が雷音達に引き分けたと聞いたときさ。バッカじゃねぇのって思ったよ。あいつは確かに才能はあるが、まだ未熟だ。それを互角って……茶番もいいとこだよな?」
羅漢は黙して頷いた。
「で、なぜその茶番を続けてんのか……興味があった」
「……貴公も、武人であろう。“頂”に立つ重みを理解できるはずだ」
「兄を超えたい――か。乂阿烈。あの化け物を」
ナイトホテップの嗤いには、もはや狂気しかなかった。
「俺も正直、あいつには勝てる気がしねぇよ。だがな……スパルタクスなら、あるいは……」
羅漢の目が細くなる。
「……私は知りたいのだ。この胸に巣食う焦燥、破壊衝動。それが“洗脳”の残滓か、それとも――己の本心か」
その声には、炎ではない。凍てつく氷のような決意があった。
「兄を殺す。そのためには、“操られたドアダの尖兵”でなければならぬ」
それは理でもなく、義でもない。
ただひとつの、己への“覚悟”だった。
「……育ての母・ホエルが壊れてしまうのを、見たくないからだ」
仮面の下で、羅漢の声がわずかに震える。
「彼女にとって私は義理の子。だが兄は、実の息子……その二人が殺し合うなど、あの優しき人に耐えられるはずがない。だからせめて……私は“操られていた”という物語に堕ちる。母の心を守るために」
(……あの人が泣く顔など、二度と見たくない)
――そう語るその目に宿った光は、
誰よりも“優しい息子”のものであった。
羅漢の拳が、わずかに震えていた。
「協力してくれ。貴公の力が必要だ。……この身は戦の道具にして構わぬ」
ナイトホテップは、一拍ののち、笑い声を漏らした。
「カハハハハハ! 狂ってる! でも、嫌いじゃねぇよ……そういうの!」
「私が狂ったのは……貴公らの洗脳の影響もあるだろう。
だが、いまはそれすら糧とする。――“世界最強の男”への渇望が止まらない」
「……武求のサガ、ってやつだな。まったく求道者ってのは難儀なもんだぜ」
ナイトホテップは笑いながらも、目を細める。
「だが面白い。お前の“狂い”が、あの化け物に届くのか――見せてみろよ」
「期待に添えなければ、殺せばいい」
「ハッ、それもまた一興ってやつだ。
――ところで暇なら、付き合えよ」
「どこへ?」
「タイラント族の連中がキナ臭ぇ動きしててな。乂家との戦争も近いかもしれん。……見に行こうぜ。血の匂いがするぞ、“戦の幕開け”ってやつのな」
羅漢は仮面をつけ直し、静かに頷いた。
「導いてくれ。修羅の戦場へ――」
こうして、二人の“狂者”は歩みを始めた。
それは静かなる革命の第一歩。
やがて修羅の闘技場で、すべてを断つ刃と化すだろう。
そして――羅漢はまだ知らなかった。
その戦場で、自らの“本当の過去”と向き合うことになることを――。
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