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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記5 第二章 翠の勇者獅鳳は雷華と巨大ロボを召喚したい-4 ルシルの訪問

作者のGoldjごーるどじぇいです!

この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…

とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!

「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」

となってくれたら最高です。


良ければブックマークして、追っかけてくださいね (o_ _)o




……ドアダ南極基地で和解した左丹と獅鳳


父・左丹と、息子・獅鳳は、ようやくわだかまりを越え、少しずつ距離を縮め始めていた。


……とはいえ、簡単なことではなかった。


ドアダ帝国の最高責任者として、左丹のスケジュールは過密そのもの。

わずかに取れる休憩時間も、報告書の山や部下との打ち合わせで埋まっていく。


それでも彼は、獅鳳と向き合おうと努力していた。

限られた時間の中で、学校の成績や訓練の成果を聞き、食事をともにする──

だが、言葉は続かず、気まずい沈黙が流れることも多かった。


王としては傑物でも、父としては不器用な男だった。


そんなある日。

左丹がようやくひと息つき、休憩を取っていたときのことだった。


扉が勢いよく開き、誰かが入ってきた。

驚いて顔を上げると、そこには……息子、獅鳳の姿があった。


「……どうした?」

思わず問いかけると、返ってきたのは意外な言葉だった。


「父さんと……一緒に、ご飯を食べたい」


一瞬、耳を疑った。

だが息子は真剣な表情でこちらを見つめている。


左丹は戸惑いながらも、笑みをこぼし、静かにうなずいた。


「……ああ、もちろんだ」



挿絵(By みてみん)



そして、夕食の時間。


テーブルを挟み、黙々と食事を進める父と息子。

重くもなく、軽くもなく、妙に静かな空気が流れる。


しばらくして、先に口を開いたのは、獅鳳のほうだった。


「……父さんは、今でも母さんのこと、好き?」


フォークを置いた左丹は、しばらく沈黙したのち、静かに答えた。


「ああ、好きだよ。もちろん、今でも……強く、愛している」


彼の声は、どこか遠くを見つめるように優しかった。


「強くて、優しくて、どこまでも気高い女性だった。……思い返せば、私がここまで来られたのは、彼女と肩を並べたかったからだ。……あんなに誰かを想ったことは、もう二度とないかもしれないな」


その言葉に、獅鳳は照れたように笑みを浮かべた。

父のことを、ますます好きになった瞬間だった。


「……ありがとう。聞けてよかった」


今度は左丹が問い返す。


「どうして急に、食事をしたいと思ったんだ?」


獅鳳は少し迷ったあと、真剣な目で語り出した。


「……実はクラスメイトのルシルさんに、母さんのことを話しかけられて。

彼女、翠のジュエルウィッチだったらしい。……母さんと同じ、ね」


「その彼女が、先日の事件で捕まってたとき──偶然、母さんの記憶に触れたらしいんだ。ジュエルウィッチハートを通じて」


「本人はすごく謝ってた。……家族でもないのに、勝手に記憶を覗いてしまったって。でも、俺は怒ってない。むしろ……母さんのこと、もっと知りたくなったんだ」


「でも……俺、父さんと約束してるから。母さんのことを聞くのは、命日まで待つって。……だから、迷ってて……。彼女に、どこまで聞いていいか……」


言葉を詰まらせる息子を見つめながら、左丹はゆっくりと手を伸ばした。


その大きな手で、優しく獅鳳の頭を撫でる。


「……やれやれ、本当に真っ直ぐで、良い子に育ったな。リュエルにそっくりだ」


不安そうな表情をしていた獅鳳も、その言葉にほっとしたように目を細めた。



そのあとは、時間を忘れて語り合った。


母・リュエルの話、思い出、日々のこと。

話すうちに気づいたのは――

二人とも、いまだに彼女を忘れられず、胸の奥で求めているということだった。


だからこそ、左丹は最後にこう告げた。


「ルシル君から、母さんのことを聞いてもいい。

ジュエルウィッチハートには、歴代の記憶が宿っている。きっとリュエル自身が、お前に伝えたいと思った想いが、そこにあるはずだ」


「だから……遠慮せず、存分に知ってやれ。お前の母は、誇り高い女性だった」


「……うん!」

獅鳳は力強くうなずいた。



そして数日後。土曜の夕方。


ルシルが、南極基地を訪ねてきた。


「……先日はご迷惑をおかけしました。ご家族の大切な記憶に、勝手に触れてしまって……本当に、申し訳ありませんでした」


その声は震え、瞳は真剣だった。


獅鳳は一度、父を振り返る。

左丹は、ただ黙ってうなずいた。


その無言の承諾を受けて、獅鳳はルシルを客間へと案内する。


これから、母の記憶を語る時間が始まる。


――そのとき、父と子の絆は、確かに一歩深まっていた。

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