乂阿戦記5 第一章 赤の勇者雷音はミリルと婚約解消したくない-1 婚約破棄から始まるロボット決戦!?赤の勇者の災難
はじめまして!作者のGoldjごーるどじぇいです!
この物語は、勇者✖魔法少女✖スーパーロボット✖邪神✖学園✖ヒーロー✖ギャグ✖バトル…
とにかく全部乗せの異世界ファンタジー!
読んでるうちに、「あれ?これ熱くない?」「このキャラ好きかも?」「展開読めない!」
となってくれたら最高です。
書き溜めは125万文字以上! 続きもたっぷりあります。
良ければブックマークして、追っかけてくださいね
第一章- 赤の勇者雷音はミリルと婚約解消したくない
「誰か……助けてください! 婚約破棄されそうなんです!」
登校一番、教室のど真ん中で正座した雷音の叫びが響き渡った。
そんな彼をちょっと意地悪そうに見下ろしながら、リリスが尋ねる。
「それはいいけれど、一体どうしたの?」
雷音が昨日の出来事を話すと、教室中がざわつき始めた。
「そりゃお前が悪いよ、雷音。いくらなんでも浮気はマズいって!」
「そーだよー! ルシルちゃん、かわいそー!」
「婚約者がいるのに、別の女の子とデートとかサイテー!」
非難の嵐に押され、思わず小さくなる雷音。しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。
「違うってば! あれは謝罪のつもりで、ただの買い物だったんだよ! 誤解されないようにって、ルシルの保護者の織音先生まで同伴してくれたんだぞ!? それでも浮気扱いとか、理不尽すぎるだろ!」
涙目で訴える雷音を見て、哀れんでいるのか面白がっているのか――親友アキンドが妙案を口にする。
「じゃあさ、ミリルのお姉さんにこう言ってみろよ。『俺はロリコンだから年上には興味ありません!』って!」
「……なるほど!」
言われるがまま、雷音はその案を実行に移してしまう。
――そして数分後。
「うわああああああ!!」
ミレニア姉さんにボコボコにしばかれ、顔を腫らして戻ってきた雷音が泣きながら訴える。
「アキンドのせいで余計に悪化したぁ……!」
「どうしてあんな冗談を真に受けるかな、この愚弟!」
三ヶ月年上の義姉・神羅が呆れた顔でため息をつく。
「アキンドも空気読んで冗談言いなさいよ! 状況悪化させてどうすんの!」
隣で正座させられていたアキンドの頭を、絵里洲が教科書でぺちんと叩いた。
そのやりとりに、教室中が苦笑いを浮かべたそのとき――
「……うぅ……ぐすっ……」
教室の後ろからすすり泣く声が聞こえた。
振り向くと、そこにはルシルの姿があった。
泣いている彼女に慌てて駆け寄る雷音。
「どうしたんだ? そんなに泣いて……何かあったのか?」
ルシルは涙をぬぐいながら、小さな声で答えた。
「私のせいで……雷音さんとミリルさんの婚約が解消されたらって思うと……申し訳なくて……」
その姿を見て、リリスがそっと彼女の頭を撫でる。
「大丈夫よ。きっとなんとかなるって」
優しく笑うその表情に、ルシルも少しだけ安心したようだった。
そこへ、担任のタット先生と同級生の神楽坂レイミが近づいてくる。
「雷音君、ミリルちゃんのお姉さんから手紙を預かってるの。これ、渡しておくわね」
手渡された封筒の中には、一枚の紙が入っていた。
⸻
拝啓、私の可愛い妹を裏切った節操なしの浮気者婚約者へ
貴様が妹の婚約者でいたいというのなら、次の学園最終戦・ロボット対決で、我がアカデミア学園に勝利してみせろ!
勝てば婚約破棄は考え直してやる。
追伸:負けたら処刑。問答無用だからな。覚悟しておけ!!
⸻
「…………は?」
頭を抱える雷音。その肩に、クラスメイトたちの同情の視線が突き刺さるのだった。
……だがこの青春の騒動が、銀河の運命に関わるとは、誰も知らなかった。
はるか白色宇宙――銀河連邦軍の拠点。
「まさか……こんな事態になるとはな」
ライオンハート長官は、手元の報告書を見つめながら深く息を吐いた。
会議の議題は、惑星コキュートスに出現した謎の生命体――
《ラグナロクの悪魔》。
人類にとって深刻な脅威と判断されたその存在は、派遣された部隊すら手も足も出せないほど強力だった。
幸い、灰色宇宙・スラルの覇王、乂阿烈が介入し、何とか鎮静化に成功したが――
クトゥルフ戦争、ギガス・オブ・ガイア復活の騒動、そして今回の事件。
各地で起こる異変の裏に、長官は不穏な連鎖を感じていた。
さらに、五色宇宙の龍麗国ではクーデターの兆候。
11人委員会の一人、レコキスタ博士は五色の王たちに対し、三聖塔の調査を迫っているという。
ライオンハートはふと、隣にいた一人の青年に声をかけた。
「すまないが、ちょっと頼まれてくれないか?」
振り向いたその青年は、爽やかな笑顔で応じた。
「もちろん、長官」
彼の名は――レスナス・ゼロゼギルト。
金髪碧眼の青年にして、11人委員会第4席の若き橋渡し役。
「実は折り入って頼みがあるんだが……」
そう言うと彼は用件を伝えた後に深々と頭を下げた。
「頭を上げてください!」
そんなライオンハートを見てレスナスもすぐに真面目な顔になると続きの話を始めた。その内容とは次のようなものだった。
彼に託された任務は二つ。
一つは、銀河連邦の評議会のメンバーでもあるフェニックスヘブンこと鳳天将軍から緊急要請があった、行方不明となっているはずの元銀河連邦HERO、シグルド・スカーレットの捜索。
もう一つは、HERO候補生レナス・テバクが追っていた《デイウォーカー事件》の再調査。
こうして、二つの任務を受け、それぞれ別の目的地へ向かう彼ら。
それがやがて、雷音たちの運命とも交錯することになるとは――この時まだ、誰も知らなかった。




