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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記1 第五章- 黄衣の魔王オームと雄牛の角持つ魔王の仮面ベリアルハスター-5 旧支配者イタクァとの激闘

\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/

今話は、狂戦士“乂阿烈”vs邪神ナイアルラトホテップの超次元バトル! 雷音の覚醒、羅漢の変身、兄弟喧嘩の行方は――!?

→ ブックマーク&評価、大歓迎です!

一方、雷音は苦戦を極めていた。


(クソッ……強い。だけど……俺の未熟さが、足を引っ張ってる!)


封獣・クトゥグァの炎撃は確かに強力無比――

その一振りごとに地面は灼け、山肌は溶け、掠っただけでも骨まで焼き尽くす勢いを秘めている。


だが、強さは裏返せば、扱いの難しさにも直結する。


「――ッく!」


雷音は、炎を纏った魔剣を振るうたびに、大振りな動作をしてしまっていた。

その一瞬の隙。


その“間”を、イタクァが逃すはずもなかった。


 


風のように回り込んだ巨体が、雷音の攻撃線を読み切る。

片腕でクトゥグァの剣をいなし、空いた腹部に蹴りを叩き込む――!


「ぐあっ!!」


20メートルの巨体が、豪快に吹き飛ばされた。

地面に激突したクトゥグァの機体が火花を散らす。


 


その隙に、イタクァは距離を詰めようと跳躍――

だが、その瞬間だった。


後方から突き刺さる、殺気。


風の旧支配者が咄嗟に振り返る。

そこにいたのは――


飛行外骨格をまとい、巨大なバズーカを構えた小さな兵装――


その姿はまるで、戦場に舞い降りた銀色の流星だった。


ジュエルウィッチ・イブ。

1メートル70にも満たぬその機体は、封獣の巨体の足元ほどのサイズでしかない。


だが、イブの銃口には――何かが、あった。


イタクァが一瞬だけ、その目を見開く。


 


だが、次の瞬間、余裕の表情でクトゥグァに目を戻す。

「小型のアンドロイドなど、脅威ではない」――そう言わんばかりの仕草。


クトゥグァは立ち上がり、再びイタクァに斬りかかる。

イタクァはそれを軽やかに躱し、距離をとって構えを取る。


だが、その瞬間――


「――撃ちマス」


イブの砲身から、炸裂音が響いた。


ゴッ!!


予想外の衝撃が、イタクァの後頭部を直撃した。


『!!?』


風の唸りとともに、イタクァの体がよろめく。

動きが、一瞬止まった。


炎の剣が、そこを狙いすましたかのように振り下ろされた。

完璧なタイミング――だが、回避は間に合った。


それでも――


その炎は、イタクァの腕をかすめた。


焦げた皮膚が、白煙を上げる。

避けたはずの攻撃が、傷を与えたことに――イタクァは明らかに動揺した。


 


(――侮った。あんな小さなアンドロイドに……)


彼の心に、初めて“危険”という単語が灯る。


(……しかも、連携された攻撃。あれをかわしながら反撃するのは……至難……)


警戒すべきは炎剣だけではなかった。

背後の砲撃がある限り、身の置き場がない。


イタクァは反転。

最優先で、背後の小さな兵器を潰すべく突撃する。


だが――当たらない。


 


小柄なボディで縦横無尽に飛行するイブ。

彼女は予想以上に素早く、機敏だった。


一撃を入れようと腕を振るうたび、そこに“いない”。

目をつけた矢先には、別角度から銃口が向けられている。


 


「くくく……イタクァよ」


不意に、上空から声が降ってきた。


ドアダ首領ガープ。

その声は愉悦に満ちていた。


「イブはな……貴様ら“邪神”を殲滅するために造られた、“対邪神用の決戦兵器”なのだ」


 


『な……に……?』


風が、怒りと驚きのように呻く。


 


「アンドロイドに、封獣の巫女の力を移植することに成功した――それが《ジュエルウィッチ計画》」

「イブ・バーストエラーこそ、その第一号。戦闘アンドロイドとしては“史上初”の完成体だ!」


 


ガープの言葉が終わると同時に――

再び炎の剣が閃いた。


刃は一直線に振り下ろされ、今度はイタクァの肩をかすめる。

皮膚が裂け、風の神が苦鳴を上げる。


『ぬう……!!』


「よしっ!」


雷音が拳を握った。

初めての命中に、彼の顔が晴れやかに輝く。


 


『おのれぇ……』


イタクァが、怒りに咆哮を上げる。

風が逆巻き、周囲の岩石を巻き上げた。


雷音とイブ、封獣とジュエルウィッチ。

巨体と小柄な兵装の連携が、旧支配者に確かな爪痕を刻み始めていた――。


それは希望の火種。絶望に包まれていた戦場に、ようやく灯った“反撃”の狼煙だった。


挿絵(By みてみん)

イタクァがよろめいた――その瞬間を逃さず、クトゥグァが飛びかかった。

赤熱の魔剣が閃き、振り下ろされる……だが――かわされた!


「雷音、よくやったぞ!」


「……ああ」


「次はオレ様の番だな!」


漢児の声が重なる。

アーレスタロスのビームサーベルが閃光となって風を裂く。狙うはイタクァの首――!


しかし――


「当たらねぇ!?」


驚愕する漢児の目前で、イタクァの巨体が急激に縮小する。

かつて100メートルを誇った体躯は、いまや封獣機と同等の20メートル級へと圧縮されていた。


見上げるほどの巨神は姿を変えた。

ガリガリに痩せた骸骨のような胴体。四肢は異様に長く伸び、無数の棘が関節ごとに飛び出している。

見せかけの威圧から、機動性重視の殺戮兵器へ――それが“風の旧支配者”の真なる戦闘形態だった。


「来るぞ雷音、構え――!」


その警告とほぼ同時。

イタクァは消えた。


次の瞬間――クトゥグァの胴体に鋭い蹴りが突き刺さる!


「ぐはっ!!」


炎を撒き散らしながら宙を舞うクトゥグァ。

追撃をかけようとするイタクァの前に、アーレスタロスとベリアルハスターが飛び込んだ。


その間に体勢を立て直した雷音が、背後から斬りかかる!


――ギィイン!


イタクァは間一髪でかわすが、鋭く振るわれた刃がその背を掠めた。

だが、怒れる風神は止まらない。

次に標的となったのはイブだった。


「……当機、回避不能……!」


避ける間もなく放たれた回し蹴りが、イブの装甲を貫いた。


「イブッ!!」


岩肌に叩きつけられた彼女の外骨格が火花を散らし――そして爆ぜた。

100枚あった機械の羽も光に包まれ、消滅していく。


「おいロボ子ッ!!」


「……心配……無用デス……マスターが……じきに……邪神石を……完成させマス……構わず……戦って……ください……」


「強がるなぁああ!! オイ、獅鳳! ハッチ開けろ!ロボ子を回収する! 操縦は俺がやる、お前が受け止めてやれ!」


アーレスタロスの胸部が開き、コックピットの手が慎重にイブを拾い上げる。

その動作を邪魔させまいと、雷音たちは応戦する!


「おらぁああああッ!!」


炎の魔剣が大地を叩き焼く。

その熱量だけで、周囲の木々と岩が蒸発していく――だが、イタクァはその刃すら容易くかわした。


(くそ、やっぱ速い……!)


何度目かの攻撃が虚空を裂く。

その刹那――風が逆巻く。


鋭い蹴りがクトゥグァの横腹に炸裂!


次いで強烈な拳が、燃える装甲を叩き潰す――!


「ぐっ……ああああっ!!」


雷音の視界がぐにゃりと歪む。

体勢を崩すクトゥグァへ、止めを刺そうとイタクァが迫る――が、今度はアーレスタロスが飛び込み、その巨躯で庇った!


「雷音、漢児、聞こえてるか!」


通信に、エドナの焦り混じる声が飛び込んだ。


「オームが、今“奥の手”の呪文を詠唱しとる!それまでの時間稼ぎ、たのんまっせ!あとアーレスタロスも限界や!キスの魔力じゃ、もう保たん!」


その瞬間――


「いあ! いあ! はすたあ! くふあやく ぶるぐとむ……ぶぐとらぐるん、ぶるぐとむ! あい! あい! はすたあ!」


呪詛の旋律が戦場に満ちる。


「よし、雷音!一、ニの三だ! 合図は……獅鳳、お前が出せ!」


「了解。いくよ、せーの!」


「「イチ、ニィのサン!!」」


アーレスタロスとクトゥグァが左右から突進する!


「行くぜ雷音!!」


「おう、獅鳳!!」


赤と青の光刃が、風の支配者を挟み込む――!


――だが、それを読んでいたかのようにイタクァはステップで躱す。

すれ違い様に斬撃を空へ逃がす――が。


その瞬間、コックピットが開いた。


中から飛び出す二条の光――

イブのスナイパーショットと、雷華の炎を纏ったグングニール・レプリカ!


狙うは――イタクァの両目!


「貫けええぇッ!!」


――ズガァアアン!!!


命中。


右目が破裂し、左目が焼け爛れる!


「ぬおおおおおおおッ!!!」


狂ったような咆哮。

そして――口が開いた。


「来るぞ雷音!!」


直後、光線が放たれた。

咄嗟に魔剣を盾に構えたことで、致命傷は免れたものの――ダメージは大きい。クトゥグァは片膝をついた。


その隙を狙って突進するイタクァ。


だが次の瞬間――


世界が“暗闇”に覆われた。


呪いの影。

それは闇そのものが形を得たものであり、怨嗟と悪霊、触手と混沌が一体となって風神を絡め取る!


「……これは……!」


「ハスターの触手を……ここまで顕現させおったか……オームめ……!」


ガープが歯を鳴らす。だが、その目は笑っていた。


「雷音、今じゃ!」


叫びに応じ、雷音が魔剣を構える。


「くらえええええええぇッ!!」


炎の魔剣が、呪いに捕らわれたイタクァの体を――斬り裂いた。


――両断。


だが。


『無駄だ……いくら裂かれようと、我は滅びぬ……』


裂けた体が、ぐちゅりと音を立てながら“自らを喰い合うように”接合していく。

断面からあふれた風が悲鳴のように唸り、空気が凍りついた。


雷音は息を呑む。

「クソ!!まるで……悪夢そのものだ……!」


しかし、ガープは満足げに笑っていた。


「いやいや……ようやったわい、クソガキども!」


ポンポンと拍手しながら肩をすくめる。


「だが残念じゃな、イタクァよ。もう《邪神石》は完成したのじゃ」


『……なに?』


「おぬしが暴れておる間にな。ドゥ・ユー・アンダスタン?」


次の瞬間、空間が歪み――イタクァはガープの手にある《邪神石》へと吸い込まれていった。


「ふむ……これで一件落着じゃな」


ガープが邪神石を懐に収め、ゆったりと笑う。


だが――


『おのれえええええええッ!!!』


中からなおも暴れようとするイタクァの咆哮!


「言うたろう? 阿烈クラスじゃなきゃ破れんってな。この邪神石はワシの魂のカケラ入りの特注品なんじゃよ」


『うおおおおおおおお……』


断末魔のような咆哮を最後に、風の旧支配者は――再び眠りに落ちた。


「やれやれ……騒々しい奴め。百年は寝とけ」


ガープは破壊された氷龍に邪神石をかざす。


――その瞬間。


龍は蘇り、主に傅いた。


「氷龍よ、またおぬしに任せるぞ」


龍が咆哮で応えた。


戦いが終わる――


魔力を使い果たした封獣機たちは静かに消え、地に立つのは生身に戻った六人の戦士たち。


「よくぞここまで戦ったな……勇者たちよ」


そう呟くガープに、緊張が走る。


「で? やるか? ワシと。今なら戦ってやってもええが?」


剣を構える彼らの目の前で――ガープは、消えた。


次に現れた時には、全員の背後にいた。


「冗談じゃ。ワシ、満身創痍のヒヨコをいじめる趣味は持ち合わせとらん」


その瞬間、世界が一拍“静止”したように感じられた。


――ドサッ。


誰も動きが見えなかった。ただ気づけば、勇者たちは全員、地に伏していた。

まるで“神の指先”で触れられたかのように。


目にも止まらぬ手刀が六人を薙ぎ払い、全員が気絶した。


「イブ、状態は?」


「自動修復、完了まで……あと30分……」


「よし。戦闘員ども、こいつらを基地の部屋にでも軟禁しておけ」


「イーッ!!」


戦闘員たちが次々と勇者たちを運んでいく――


だが、その時。


「……マスター……」


「なんじゃ、イブ?」


「緑の衣装の少年……獅鳳おぼっちゃまデス。DNA照合完了。

リュエル様のご子息に――間違いありまセン……」


一瞬、風が止まった。

イブの言葉を最後に、戦場全体が“黙した”。


それは勝者の凱歌ではなかった。

それは敗者の慟哭でもなかった。

ただ、“真実”という名の嵐が、全員の心を貫いた。


「な、なんじゃとぉ!!?」

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