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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記4 終章 黙示録の赤い竜と滅びの歌 -27 聖光剣エグゼクティブセイバー──歌姫と勇者と魔王の鎮魂歌

それは世界の法則すら書き換える力。


そして始まる、第4部最後の一撃

女神の歌声、仲間たちの祈り、そして──

心優しき少女の剣が、優しい奇跡を起こす。


ブックマーク、ご意見、感想、大歓迎です!


雷音は最強の魔剣クトゥグァをかざし詠唱を唱えた。

「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!」

それは世界の理を変える呪文である。

この呪文を唱えれば世界の法則すら変える事も可能なのだ。

ただしその代償として、耐え難い闘争への飢餓が芽生える。

「あ・・・あああああ!!!」


凄まじい飢えが彼を襲う。

体が熱くなっていくのがわかる。

否、焼けている。

内側から何かが“吠えている”──暴れたくて仕方がない、原初の衝動だ。

しかし同時に彼はそれが力となることも実感できた。


それに呼応するようにアルゴー・ユグドラシル号が人型から戦艦形態に戻って行く。

「いくぞルキフグス!封獣クトゥグァの力を上乗せしたアルゴー号の力をみせてやる!!うおおおおおおおおおおっ!!!!」

ルキフグスが吠える。

『オノレ勇者どもおおおおおおお!!』

「くらえ、アルティミット・クトゥグァーーバードチェーーーンジッ!!!」

戦艦アルゴー号は炎を纏い鳳凰の如く魔王ルキフグスの周囲を高速で飛び回る。

そしてすれ違いざまに主砲、副砲をはじめ、さまざまな砲撃を放つ。

敵は防御する暇もなくダメージを受けていく。

まわりの悪魔達も次々駆逐されていく。

戦艦ルキフグスはミサイルやレーザーを放ち応戦するのだが全く当たらない。

逆に後ろに回り込まれた際、後頭部に主砲を受けて吹き飛ばされる。

ルキフグスは怒り狂い自ら前にでて殴りかかる。

だがそれすらも空振りに終わる。

『うあああ!ルシフェル様、ルシフェル様ああああああああああ!』

魔王ルキフグスが腕を振り回し攻撃する。

だが鳳凰と化したアルゴー号はひらりと身をかわしてカウンター攻撃を決めていく。

「今だ!獅鳳あれをやるぞ!!」

「合体剣だな!」

アルゴー・ユグドラシル号に指揮するタットが指示を出した。

「ルシル!合体剣の発動に君もまじれ!兵器AIルキフグスを突き動かしているのは君への妄念だ!君の聖なる剣で彼を眠りにつかせてあげるんだ!!」

ルシルはうなずくと自らの剣をかざし叫んだ。

「聖剣ラ・ピュセルよ!我に力を貸したまえ!」

すると刀身から光が放たれ光の刃となって巨大な光の剣となった。

光の剣の力は清浄な光となってアルゴー号に流れ込んでいく。

「よし、俺たちも続くぞ!!!」

雷音と獅鳳も自らの持ち場で自分たちの気力、魔力を注ぎ込む。

すると戦艦アルゴー・ユグドラシル号はまたも人型に変形を開始する。

その手には二本の剣が握られていた。

右手に巨大化した魔剣クトゥグァを、左手に巨大化した雷剣ドゥラグラグナを二刀流で構える。

その剣が合体し一本の剣になる。

アルゴー号のエネルギーを支える12人の女神達の歌もハイボルテージに達しようとしている。

「『私達、ここにその想いを示すよ。真に愛する者たちの為ならば、恐れるものなど何もない!!月よ!我が声とともに想いを届けて!!』」

「『愛の名の元に!!』」。

合体剣は一層輝きを増し、さらにルシルの聖剣の光も合体剣に集まって行く!!そして!遂にその時がやってきたのだ!!

「今こそ想いを解き放つ……皆の思いを一つにした、この奇跡を!!」

女神達の歌により極限まで高められた真の力を解放し、同時に最後の攻撃に移る!!

この攻撃が最後になるであろうことは誰の目にも明らかだった。

だからこそ全霊を込めて放つ必要があるのだ!!!

ルシルと雷音と獅鳳……否、操縦室のクラスの仲間達……否、12人の歌姫を含む戦艦に乗るアルゴー号の船員達……否、この苛烈な戦場に集まった全ての戦士達の力を結集し最高の一撃を放つ準備をするのだった!!!

「「……みんなー……行っくよー!!」」

ユキルとブリュンヒルデが歌に合わせグーパンチを振りかぶる。

あらゆる色の闘気と魔力が混ざる。

剣の光はルシルの聖剣の光と同じ色だった。

ルキフグスはその剣を見て自身のもっとも輝かしかった過去を思い出した。

「……あ、ああ! この光は! 我が君の……天使長ルシフェル様と同じ……」

この聖剣の光こそは、彼がもっとも幸せだった時代に主の隣でいつも見てきた導きの光……

彼は膝をついて頭を垂れた。

祈りを捧げるように手を組み断罪を望む殉教者ように首を差し出した。

「連れて行って下さい我が主……主なき兵器でいるのは疲れました……私を再び貴方のお側に……」

戦艦兵器が涙を流し自分の断罪を待ち侘びる。

そんな彼を歌の女神達は哀れみに満ちた目で見つめたが止めはしなかった。

もう、この無意味な戦いは終わらせなければならないから……


そして今まさにトドメとばかりに皆が渾身の力を込め振り下ろす!!

この一撃に、すべてを込める。

誰の命も奪わず、誰かの願いを叶える──そんな“希望”が、剣に宿ると信じて。


(ルシフェル様……今あなたのお側に……)

12人の歌声に合わせて虹色の光が放たれる……!!

虹色に輝く極光が放たれた瞬間それは眩い閃光となり辺り一面を照らし出した……!

その光はルシルの剣に収束していく。

全高300メートルのヒトガタが憤怒の魔王に必殺の一撃を放つ。

聖なる光をまとい、巨大な剣と化した女神聖剣が振り下ろされようとした。


「どうか……あなたの魂に、安らぎがありますように……!

聖光剣エグゼクティブセイバーーーーー!!!!」


ルキフグスは歓喜を持ってその剣を受け入れる。

彼は消滅する直前、亡き主天使長ルシフェルが自分の手をとってくれたような気がした。

『またせたな……』

そんな声が聞こえた気がした……

ああ、これでやっと眠れる……安らかな眠りにつける……

そう思った刹那、彼の視界に映ったものは『明けの明星』であった……


その光は、遠く空に輝く“明けの明星”。

それは──失われた主が、彼を迎えに来た証だったのかもしれない……


ルシルの必殺剣が炸裂した後、戦艦リヴァイアサンの有機化した肉塊部分は消え、ただの戦艦に戻っていた。

魔王ルキフグスの気配はもうない。

復活した悪魔達も聖光の余波で、再び封印の眠りについたようだ。

リヴァイアサンにいくつかの破損は見受けられたが大破はしてない。

なにより先程の凄まじい攻撃にもかかわらず、リヴァイアサン内の乗組員に死者が出ていなかった。

鳳天が呆れたようにため息を吐き微笑む。

「ルシルめ…俺の奥義をモノにしてみせたか……」

そう、奥義不殺破心拳ならぬ不殺破心剣

心優しい彼女はあの土壇場で無用な犠牲者が出ることを避けた。

戦艦リヴァイアサンの乗組員に極力犠牲者が出ないように、ルキフグスだけを祓おうとした。

そしてそれを成し遂げたのだ。

「流石は俺の弟子だ!」

嬉しそうに笑って言う彼に、周囲も釣られて笑った。

みんながルシルの周りに集まり労いの言葉をかける中、アキンドがルシルを胴上げしようと言い出す。

それを断ろうとするルシルだったが他の者達に押し切られてしまい結局胴上げされる羽目になってしまった。

そんな中、一人だけその様子をジッと見つめている者がいた……

織音主水である。

その視線に気づいたのか、ルシルは主水の元へ歩み寄ると視線を合わせて声をかける。

「先生、ご心配おかけしました。」

「……ああ」


誰もが息をのむ中、ただ一人──

ぶっきらぼうな男が、情けないほどに泣いていた。

主水は鼻水垂らした涙目でルシルの頭を優しく撫でるとその身体を抱き上げる。


驚くルシル

「あんまり先生を心配させんじゃねーぞバカヤロー!」

完全に涙声だ。

まるで愛娘を心配しすぎる男親である。いや、実際に彼にとってはそういう感覚なのだろう。

普段はぶっきらぼうで駄目人間の主水が見せた意外な一面に一同驚きを隠せなかった。

ルシルも突然のことに顔を赤くして驚いている様子だったがすぐに笑顔になり言った。

「……はい……!」


ルシルがそう答えた時、誰よりも先に涙を拭ったのは、あの男──織音主水だった。


挿絵(By みてみん)



https://www.facebook.com/reel/1600359317259415/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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