乂阿戦記4 終章 黙示録の赤い竜と滅びの歌 -22 蜘蛛の邪神vs白虎の勇者
クロウ達を取り巻く光が晴れた時そこに立っていた者は先ほどまでとは全く異なる存在だった!
全身を覆う漆黒の鎧に身を包み、手には禍々しい形状をした大剣を握っているではないか!
これこそ彼が最強の力を持った形態なのだ!
その力の前に全ての敵はひれ伏すことになるであろうことは疑いようがないだろう!
ルシフェルは驚愕する。
クロウこと魔王アシュタロスと剣を打ち合わせる度に自分の力が抜けていくからだ。
魔王アシュタロスは告げる。
「我が権能は怠惰、我と剣を交える者は怠惰の呪いをその身に受ける。」
「フン、小賢しい! 多少私の力が落ちたからとそれがどうした? 貴様の力はその程度か? ならばこちらから行くぞ!」
そう言って一気に間合いを詰めてくる魔王ルシフェルに対しアシュタロスもすかさず対応する。
なんとルシフェルとまともに剣で渡り合っていた。
(こ、この男、何て剣の速さだ……!!だが反応出来ないほどではない!)
そう判断したルシフェルは持ち前のスピードで翻弄しようとするが、まるで動きを読まれているかのように正確についてくる。
それどころかどんどん追い詰められていき、遂に壁際まで追い込まれてしまった。
(くそっ!このままではまずい……!何とかして打開しなければ!)
焦る気持ちとは裏腹に体は言うことを聞いてくれないどころか、怠惰の魔王の権能によりだんだんと体が重くなりついには膝を着いてしまったのである!
そんな様子を見てニヤリと笑うアシュタロスだったが、不意に何かに気付いたように表情を引き締めると後方に向かって叫んだのだった────────
「避けろ!!」
その瞬間凄まじい爆発が起こり辺り一面を覆い尽くしたかと思うと次第に晴れていったそこには無傷のまま佇む人影があった……
「やれやれ♠︎なんとか最終決戦に間に合った♣︎ 体力回復に専念した甲斐があったよ♦︎」
その男は六芒星最強の魔道士プレラーティ・アトラックナチャであった。
「遅らばせながら助太刀に来たよ♢大魔王様♡」
「おお!助かったぞ!」
プレラーティーが引き連れて来た蜘蛛系の魔物達がルシフェルを警護するように取り囲む。
ルシフェルは再び立ち上がり構えの姿勢を取ると不敵な笑みを浮かべた。
「さてと、そろそろケリをつけるとしよう!プレラーティよ、そなたは戦艦リヴァイアサンのセキュリティーシステムにハッキングをかけている、あの姑息な科学者どもを始末せよ!」
「了解♦︎」
そう言うとプレラーティは無数の糸を放ち瞬く間に艦内にいる全ての人間を拘束してしまった。
そしてそのままみんなの前へと移動した彼はそこにいた全員に向けて言い放つ。
「無駄な抵抗はしない方がいい♥大人しく投降するなら悪いようにはしないよ♡まぁ拒否するというなら話は別だけどねぇ♪」
その言葉に反応したプラズマ・ゼット達が強引に糸を引き千切ろうとするが、肉に糸が食い込みダメージを負ってしまうのであった。
プレラーティーはその様子を満足げに見つめると今度はみなの教師であるに話しかける。
「さぁどうする?大人しく降伏するかそれとも……」
そう言いながら一歩ずつ近づいていく彼に恐怖を感じたのか主水は震えながら答えた。
「わ、わかった!降伏する!します〜〜!!」
などと、わざとらしくのたまいながらイポスに目配せをする。
主水の意図を察したイポスがその特殊能力を発動させる。
「すーべすべすべ滑り草!」
摩擦力を0にする彼の特技
蜘蛛の糸がツルリと滑り、皆の拘束が溶ける。
「うむ?その能力は僕にとってものすごく相性が悪いな♤ これは厄介だね」
主水はすぐさま刀でプレラーティーに切り掛かる。
「プレラーティー様を援護しろ!!」
プレラーティーの部下たる蜘蛛悪魔が一斉になだれ込む。
「おっと、お前らの相手は俺たちだ!!」
雷音達魔法学園問題児軍団とプラズマ・ゼット達アカデミア学園エリート軍団が蜘蛛悪魔どもの行手を阻む。
プレラーティーが引き連れてきた蜘蛛悪魔たちはかなりの手だれらしく、雷音たちも戦いに苦戦していた。
大鎌を振りかぶるプレラーティー
刀で迎え討つ織音主水
両者はギリギリとつばぜり合いをしていた。
両者譲らずといったところで先に動いたのはプレラーティの方だった。
目にも止まらぬ速さで蹴りを放つと同時に、右手からトランプカードを取り出し手裏剣のように斬撃を飛ばしてくる。
その攻撃を間一髪かわすが立て続けに放たれる連撃を完全には避けきれず傷を負ってしまう。
(強い……このままでは負ける!!)
その時2人の間に割って入った人影があった。
その人影こそは乂羅漢、否、羅刹と勇魔共鳴を果たし変身したスラル最高のHEROケルビムべロスだった!
「主水先生、この男との戦い私に譲っていただきたい!この男とは先日の作戦で戦ったが、決着をつけずじまいだった。それに先生はルシル君への呼びかけを続けて彼女の意識を呼び起こしていただきたい!」
「うれしいな羅漢〜❤︎ 僕のこと覚えていてくれたんだ〜♡ 欲情しちゃうじゃないか〜❤︎ さぁ殺り合おう♡」
プレラーティーも怪人形態アトラク=ナクアに変身する!
激しい攻防を繰り広げる両者
「うおおおおおおお!!!」
雄叫びをあげる羅漢に対し、余裕たっぷりの表情で戦うアトラク=ナクア
しかし勇魔共鳴の加護がある羅漢の方がパワー上で、徐々アトラク=ナクアに追い詰められていく……
「あは❤︎すご〜い、僕負けるかも♤……!これは生贄を喰らってパワーアップしないといけないなぁ。」
そうつぶやくとアトラク=ナクアの周りに複数の巨大な魔法陣が現れる。
そこから現れたのは無数の巨大蜘蛛たち
羅漢は襲いかかる巨大蜘蛛たちを意に介さず、片っ端から殴り倒していく。
だがその間にプレラーティーは呼び出した悪魔のうち、知能の低い悪魔を何体か自身の生贄として喰らい、自身をパワーアップさせたのだった!
「しゅー♤ これで君達の勇魔共鳴分の差は埋めることができたかな?」
そう言ってさらに攻撃の手を強めるアトラク=ナクアだったが、羅漢は不敵な笑みを浮かべ真っ向勝負をする。
2人は同時に必殺技を発動した!!!
「天翔ける流星の如く!全てを切り裂くこの一撃受けきれるか!?大武神流奥義猛虎彗星脚!!」
「暗黒の世界に咲く一輪の花!可憐なる花は散りゆく運命かならばせめて美しく舞え!冥土への手向けに!
妖斬華!!」
互いに最強の技をぶつけ合う2人!!
辺り一帯を吹き飛ばすほどの爆発がおこる…!!
血飛沫の花が舞う中、羅漢とアトラク=ナクアは相打ち同然に膝をついた。
しかし、まだ闘志は折れていない。
互いになおも戦いを続行すべく調息で息を整えていた。
https://www.facebook.com/reel/1551081925543558/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
↑イメージリール動画




