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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記4  第六章 強欲の魔王アモンの娘 乂聖羅-22 翠の勇者“龍獅鳳”vs支配の騎士“塵芥鏖”

そこにはすでに誰もいなかったのだが、よく見ると巨大なクレーターが見えたのでそこに向かった。

近づくにつれて段々と様子がわかってきたが、どうやら戦闘はいまだ継続しているらしい。


挿絵(By みてみん)


周囲には瓦礫の山と膝下まで水浸しになっている床。

様子見をしている雷音と。戦っている獅鳳と塵芥以外、他の人の気配はなかった。

この部屋の悪魔宝玉は既に破壊したはずだが、獅鳳と塵芥はお互い戦闘を止めるつもりは無いようだった。

ネロ達はそんな様子を遠巻きに眺めつつ、まずは状況を確認するために近くにいた雷音に声をかけた。

「……何があった?」

彼女は雷音に気づくなり駆け寄ってきた。

「ああ良かった!ネロ達も無事だったんだな!」

ホッとした顔で話しかけてくる彼にこちらも笑顔で応える。

「まあなんとかな……」

と答えながら周囲を見渡すと他のメンバーの姿が確認できなかった。

「お、おい、鵺やオーム達は?」

ネロの質問に雷音は苦虫を噛み潰したような顔で答える。

「あの塵芥って奴が持っている黒い玉、擬似ブラックホールってアイテムに囚われている……」

「なっ!?じゃあ早く助けてやらないと……!」

慌てるネロに対して雷音が冷静に返す。

「落ち着けよ。今俺達があそこに飛び込んでいったら間違いなく巻き添え食らうぜ」

そう言われれば確かにそうだと思ったので慌てて冷静さを取り戻す。

そこでふと疑問が浮かんだので聞いてみることにした。

「そういやお前なぜ戦わないんだ?まさかずっと獅鳳の戦いを見てたわけじゃないよな??」

すると雷音は一瞬言葉に詰まった後、言いづらそうにこう答えたのだった。

「……ああ、ずっと獅鳳と塵芥の闘いを見てる、手助けをせずただじっと戦いを見てるだけだ」

(やっぱりこいつは何か作戦を隠してるな……この会話を敵の塵芥に聞かれるのもまずいんだろうな、ここは黙っておくとするか)

そんな確信を抱きつつもあえて触れないことにして話を続けることにする。

そもそも今回の作戦の目的はあくまでルシル救出なので余計なことをするつもりはないからだ。

「それよりネロ、地上のミスティルさんの処遇についてはまだ決まらないのか?彼女の一声があれば、無駄な争いを避けることができる。作戦本部は彼女監禁をまだ解かないのか?もう時間がないぞ?そろそろ決断してくれないと手遅れになるかもな……」

そう言ってチラリと目配せをすると彼女は小さく頷いてから口を開いた。

「大丈夫だ。あと少しだ。あと少しで作戦本部と折り合いがつく。今ナイトホテップ閣下とタット先生が地球連合軍本部との交渉に尽力しててくれている。あと少しだけ待ってくれ。必ず良い知らせを持ってくるからさ」

雷音は少しじれったそうな表情を浮かべながらも渋々納得した様子で頷いた。

「わかったよ」

その言葉にネロが頷くのを見て安心したのか、雷音もようやく落ち着きを取り戻したようだった。


支配の騎士塵芥鏖と翠の勇者獅鳳の闘いは佳境に入ろうとしていた。

「ハァッ……ハァ……ハァ……くっそぉ〜しつけえなぁコイツ!!」

肩で息をしながら忌々しげに吐き捨てる塵芥に対して、獅鳳は体中ボロボロになりながらも、衰えぬ闘志を瞳に宿し

立ち向かっていた。

もう既に体力的に限界を迎えており、いつ倒れてもおかしくない状態ではあるがそれでも彼は諦めることなく戦っていたのだ。

その様子を見ていた周りの仲間たちは心配そうに見守ることしかできないでいた。

「どうした?威勢が良い割には随分と動きが鈍いじゃないか?それとも疲れが出てきたのかな?なら休ませてやるよ」

「ケ!この三下ァ、誰に減らず口を叩いてやがる!」

塵芥は膝下まで溜まっている水を操り、2本の水触手による波状攻撃をに加えていく。

彼は蹴りや拳といった格闘術は不得意だが、見えるもの知覚できるもの全てを自在に操る念動力を持つ恐るべき強敵であった。

この強敵を前に流石の獅鳳も防戦一方となっていたのである。

このままでは埒が明かないと判断した獅鳳は再び必殺技を放つことを決意する。

全身に魔力を巡らせると全身を光り輝かせ始めた。

そしてその光を一点に集中させていき、塵芥の視覚の外、塵芥の真後の空間に砂鉄の弾丸を作り出すことに成功した。

「砂鉄弾丸(iron sand bullet)!」

塵芥が攻撃に意識が集中したところで一気に解き放つ!!

砂鉄の塊はまるで流星の如く一直線に塵芥の後頭部に突き進んでいく……!! その様子を離れた場所から見守っていたネロは思わず声を上げてしまうほどであった。

しかし肝心の塵芥はというと、その表情にはまだ余裕があるように見えた。

「なっ!?」

砂鉄の弾丸は塵芥の肌に触れたところで、ぴったりと止まっていた。

彼には何のダメージもない。

「ああ〜?三下ぁ〜、お前今何かしたか〜?悪いが俺の肌には一切通用しないんだよなぁ〜」

そう言いながら挑発するように手をひらひらさせる塵芥の姿に獅鳳は一瞬たじろいでしまうがすぐに気持ちを切り替え次の一手を打つことにした。



(……やはり、効かねぇのか……いや、違う。

“効かせられる”術が、俺にはある)


ならばこの神器で、法則の鎖を断ち切る──その一太刀でッ!


雷杖を両腕に構えた瞬間、渦巻く雷光が空間を焼く。

“物理”を超えた存在でのみ斬り裂ける支配の外側へ──彼の意志が跳ぶ。


(ぶちかましてやる…!この物理法則の力を超えた神器ドゥラグラグナを!!)


そう心の中で呟くと同時に今度は両腕を前に突き出し構えを取る。

すると彼の両腕の周りに電光が集まり始め次第に渦を巻き始める。

その竜巻は次第に大きくなっていき最終的には巨大な雷の球体を形成するに至ったのだった。

その光景を見た周りの面々は驚愕のあまり言葉を失ってしまっていたが、ただ一人だけは違ったようだ。

「ほう……そのチートアイテムで雷を作り出すつもりか……なら俺も」

そう言ったのは塵芥である。

彼は、その支配の能力を持って大気の風全体を操作し空気を圧縮し原子を強引に分解させプラズマを作り出していく。

それはやがて大きな光球へと姿を変えていった。

そしてそれを上空高く放り投げると共に自らも跳躍し両手を広げるように胸の前で交差させた次の瞬間、両手を勢い良く振り下ろす!

その瞬間凄まじい衝撃波が発生し地面を揺らすほどの衝撃を生み出したのだ!

2つの超常的な力同士がぶつかり合う時が来た!

果たしてどちらが勝つのだろうか……?

両者は激しく火花を散らし合い互いに一歩も譲らない攻防を繰り広げていた!

しかしその均衡が崩れるのは時間の問題であった!

ぶつかり合った2つの光玉が混じり眩い閃光をはなつ。

獅鳳はその眩い光を目眩しに雷杖ドゥラグラグナを剣の形態で装備し、塵芥に切り掛かる。

塵芥を観察してわかった事がある。

彼の能力はなんでも捉え操作できる究極の念動力

ただしそれは物理法則内のモノに限定されるようだ。

物理法則の外の力に関しては支配の権能は発揮できないようである。

なぜなら自分が装備する雷杖ドゥラグラグナが奪われていない。

ならばこの雷杖ドゥラグラグナで切りつければきっと!!

しかし塵芥はそれを察知したのか瞬時に回避行動に移る!

その動きは素早く目で追うことすら困難であった。

彼自体の身体能力は並の人間より少し上程度

しかし、念動力で体を外から操り強制的に超スピードで機動することができる。

「ちっ!」

舌打ちをする獅鳳であったが、ここで諦めるわけにはいかないと追撃を加えていく。

「おらぁっ!!」

渾身の力を込めて雷杖を振るう獅鳳だったが、それも空しく躱されてしまった。

その後も何度か攻撃を仕掛けるが全て空振りに終わる結果となってしまった。

(くそっ!このままじゃ埒があかねぇな……)

そう思った矢先、真顔になった塵芥から声を掛けられたのである。

「おい三下ぁ、てめえのこと少しだけ認めてやるよ。正直ちょっと追い詰められてるって認めざるをえねー、だからもう手加減はしねぇ、今からする攻撃で後遺症が残っても恨むんじゃねーぞ?」

その言葉に身構える獅鳳であったが、そんな彼の様子などお構いなしと言わんばかりに塵芥はとんでもない攻撃を繰り出してきたのである!

「いくぜぇっ!!!」

そう言うやいなや、なんと獅鳳の右手首がビキビキと音を立て出した。

「オラー、そのチートアイテムを手放しな!でないと、お前の手首がちぎれ飛ぶぜえ?」

そう、塵芥は雷杖ドゥラグラグナ自体には干渉できない。

だが獅鳳の肉体は別だ。

彼の体は、物理法則内の生身の人間の体だ。

塵芥は支配の念動力で獅鳳の右手首を操り、剣を引き剥がそうとしていた。

「だ、誰が離すものか!!」


「……バカが、手首がちぎれ飛ぶって言っただろ?」


塵芥が苛立ちげに舌を打つ。


瞬間、獅鳳の右腕が――ゴキリと、骨の音を立てて砕けた。


(ぐあっ……!! クソッタレが……!!)


激痛に呻きながらも、その手はなお離さない。

それどころか、むしろ神器を握る力は強まっていた。


血が滲む指先。砕けた骨を貫く執念。


その姿に、観る者は言葉を失った。

剣を離せば楽になれると知りながら、それでもなお、戦い続けるという選択。

彼の意志が、光よりも鋭く、痛みよりも強く──空間を穿っていた。


「はぁーっはっはっはっは!これで身の程がわかっただろう!さっさとその剣を手放せ!!」

そんな様子を見かねたかのように塵芥が突然不自然な高笑いを始め降伏を促した。

この男、口は粗暴だが案外必要以上に敵を傷めつけるのは是としない主義なのかもしれない。

「ったくよぉ、何が可笑しいんだかさっぱりだぜ。そんなに俺の武器が欲しいのかぁ?えぇ!?」

塵芥は獅鳳のその挑発の問いかけに答えることはなく、笑いを止め無言で睨みつけてくる。

「……ホント口が減らねぇなお前。そのガッツだけは認めてやるよ。まあいいさ、どうせもう次で決めるんだからな」

だが塵芥は獅鳳の次の言葉を聞いた瞬間、背筋が凍るような感覚がした。

「よし、ここまで近づければ、もう届く!」

「? なんだと?どういう意味だ?」

怪訝そうな表情を浮かべる塵芥をよそに、獅鳳はある決意を固めたのだった。

「ち、そろそろ終わらせてやる!」

そう言うと、嫌な予感にかられた塵芥は拳を握りしめて構えをとった。

すると次の瞬間、突如獅鳳の姿がその場から消えてしまったではないか!

いや、消えたのではない!

目にも止まらぬ速さで移動しているのだ!

(ば、馬鹿な。なぜいきなりこんな超スピードが出せるようになった!?)

そして気づく──

奴の左手には、“もう一本の剣”が握られていた。


それは、雷音が持つはずの──炎の魔剣クトゥグァ


燃え上がる紅蓮が背を押す。

まるで翼のように、噴き出す推進炎。

その瞬間、獅鳳は魔剣をブースターと化し、空間ごと切り裂く速さで迫った!


(こいつ……雷音の双生児だからって……まさか魔剣クトゥグァまで使いこなせるってのかよ!?)


塵芥の思考が追いつく前に、刃が届く。


そして──

「ウオオォォォォーーーーッッ!!!」


紅と雷の双刃が叩き込まれ、支配の騎士が吹き飛んだ。


獅鳳、魂の双撃。勝利の代償に、意識を手放した。


https://www.facebook.com/reel/423721377394988/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール

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