乂阿戦記4 第六章 強欲の魔王アモンの娘 乂聖羅-3 目覚めたら牢屋の中
騒がしかったサバゲー試合が終わりやっと落ち着いた頃であった。
ルシルがクラス教室に戻ると、みんなが出迎えてくれた。
いつもの皆んなだけでなく、今日サバゲーに参加したほとんどのメンバーが集まっていた。
ほぼ本物の果たし合いをした鳳天さんと羅漢さんは疲労が激しく席を外している。
怪盗四人組と、クロウさん、テバクさんも席を外している。
残るメンバーは、皆、どうやら私が戻るまで待っていてくれたらしい。
少し待たせちゃったかな……?
申し訳ないことをしてしまったなぁと思っているとクラスメイトの一人が声をかけてきた。
「おいルシル!ホドリコさんとの戦いすごかったな!」
雷音君にいきなり話しかけられ少し面食らってしまう。
わたしは普段から人を寄せ付けないような雰囲気を出しているからてっきり彼からは嫌われていると思っていたのだが、案外そうでもないのかもしれない。
そう思い返事をすることにする。
「……あ、ありがとう。雷音君も凄かったですよ。あのクロウさんて人、とんでもない達人でした。彼を相手にあそこまで喰い下がるなんて凄いです!」
とりあえず思ったことを素直に言ってみた。
すると雷音君は照れくさそうにそっぽを向いてしまった。
(かわいい……)
そう思った瞬間顔が熱くなるのを感じた。
……なんだろうこれ?
ちょっと心臓の音が一瞬うるさかった。
そんなことを考えていたらいつの間にか下校時刻になっていたようで担任のタット先生がやってきた。
まずは神羅が席を立ち教壇の方へと歩いていくと、クラスのみんなに呼びかけた。
「みなさん今日はお疲れ様でしたぁ~!それでは~この後みんなで主水先生の奢りで打ち上げに行きます!レッツスィーツ! ティンカーベルへGO!!」
そう言うと一斉に歓声が上がった!!
やったぜぇぇええぇええ!!!
という喜びの声と共に拍手が巻き起こる中一人冷めた人物がいることに気づく。
それはもちろん我らがスポンサー主水先生だ。
彼は死んだ魚の様な目でこちらを眺めている。
そんな彼に向かってウインクをするとヒクヒクとこわばった笑みを返してくれた。
これからの出費を考え頭が痛い様子だ。
「勝った方も負けた方も無礼講よ!今夜はこのままどんどん盛り上げていくわよぉぉおおおぉおおおおっ!!!!」
神羅さんがみんなを盛り上げている。
私も負けていられない!!
そう思って立ち上がると同時にクラス全員の視線がこちらに集まったような気がしたけど気にしないことにした。
だって私は今とても気分が良いのだから♪
「レッツスィーツ!」
そしてそのまま教室を出て皆と一緒に昇降口へと向かうのだった……。
***
***
そして高級スイーツ店ティンカーベルでは……
「主水せんせぇ~~♡一緒に飲みましょうよぉ~」
生徒のクレオラ・フェレスが腕に絡みつきながら甘えた声で言ってくるのだが俺は正直それどころではなかったのだ……
..何故なら俺の机の上には莫大な金額の請求書が置かれていたからだ!!!!
──“ティンカーベル・パフェ73個・紅茶59杯・特注フォンダン20皿・計¥192480”
ごらんの有様だよ!!!
「おいこらやめろバカ野郎ぉおお!太るからスイーツはあんまり食うなよーお!!!!」
「はいはいはーい!そこの君ぃ〜俺と飲もうぜぇ〜」
「オイ、こら露木くぅ〜ん、生徒会長が何お酒飲んでるの? あと先生にタメ口たたかないように!」
全くどいつもこいつも羽目を外しすぎなんだよ!!!
ああ、もう「もうイライラするぜっ!!こうなったら俺も飲むしかねぇええええぇぇぇ!!!!!」
──その選択が、翌日の地獄を生むとも知らずに。
******ここに置いてある酒は超高級酒ばかり
そうして主水はバーテンダーに頼んでカクテルを作ってもらい一気に飲み干すと再び酒を浴びるほど飲んだのである。
サバゲー戦で失態を演じ気落ちしていたルシルだったが、その後は他の生徒達とも打ち解け楽しいひと時を過ごしたのであった。
こうして夜は更けていったのであった……。
──明日が、どんな朝になるかも知らずに。
翌朝……
目が覚めた時には既に日が高く昇っていた。時計を見ると時刻は午前9時半を指していた。
昨夜の事を思い出してみるとなんだか恥ずかしい気持ちになる。
あんなにはしゃいでしまったのは初めてかもしれない。
きっと今まで抑え込んでいたものが爆発したのだろうと思う。
いや違うか……あれは本来の自分に戻っただけなのかもしれない。
本当はもっと自由奔放に振る舞いたい願望があったのかも?
まあ今となってはわからないことだけどもね。
……それにしてもよく寝たな私って本当に寝つきはいい方なんですよね。
……それにしても、昨日の最後の記憶が少し曖昧なんだよね。
……なんか、誰かと乾杯したあと、カラオケで『バトルソングメドレー』歌いながら誰かにチョップ入れた記憶が……?
そして、目を覚ました私はびっくりした。
なんと、そこは牢屋のなかだった。
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↑イメージリール動画




