乂阿戦記4 第六章 強欲の魔王アモンの娘 乂聖羅-2 120億円事件ゴルシの悲劇
塗料まみれになった三人は当然全員失格である。
「あーっ!それ私が作った『自爆塗料ダイナマイト巻きつけスーツ君』!!いつの間に盗ったんですか?この泥棒!!」
自爆スーツの開発者ヒースちゃんがアキンドを非難する!
「ウエーイ!! 俺様大金星〜っ!! ヌアーッハッハッハ!! ざまあみさらせバーカ♪」
総勢52名のサバゲー戦
最後まで残ったのはドアーダ学園のタット先生ただ一人
こうしてサバゲー戦はドアーダ魔法学園の勝利となった。
あんぐり口を空けている変身が解けた狗鬼漢児と織音主水
大金星を上げたアキンドはダブルピースサインで大はしゃぎで走り回っている。
学園のみんながアキンドに群がり胴上げをしている。
「ア☆キン☆ド! ア☆キン☆ド! ア☆キン☆ド!(パチパチパチパチ)」
その様子を遠くから眺めながら織音主水にアカデミア学園学園長兼理事長ウィウィヴァがスマホで話しかけてきた。
「……主水ちゃんさ〜、なにアホな手に引っかかってまんまと負けちゃってんの? さっきからガープのクソジジイが凄いドヤ顔でワシのこと煽ってて、スンゴイ鬱陶しいんだけど?」
スマホの向こうでドアーダ魔法学園学園長兼理事長ガープの「ねえねえウィウィヴァ? 自信満々のサバゲーに敗北して今どんな気分? ねぇどんな気分? くやしい? ねえ、くやしい??……」と煽る声が聞こえる。
ビキビキという、ウィウィヴァ学園長の怒りの擬音も聞こえる。
主水は真っ青になりながら慌てて釈明する。
「い、いや、それは申し訳ないっすけど、こっちも結構頑張ってたんすよ? でも向こうの方が一枚上手というかなんというか……」
主水はダラダラと油汗を流しまくっている。
「……主水ちゃん、試合負けちゃったし約束どおりボーナスは無しね」
ブツッと電話が切れる。
「そ、そんな殺生なぁ〜」
そんなやり取りをしていたとき不意に肩を叩かれ、後ろを見ると生徒の一人クレオラ・フェレスがこめかみに青筋立てながら微笑んでいた。
「主水先生〜♪ 見事に一本取られちゃいましたね〜♪」
にっこり微笑むその目に、**“ペンギンのような冷徹な殺意”**が浮かんでいた。
「ペンギンのような冷徹な殺意」──それはまるで冷凍庫の中に包丁を置いたような寒気だった。
実は彼女負けず嫌いで、このサバゲー試合に本気で勝ちたかったようである。
(ヤバイ殺される)
と思った瞬間、逃げようとした主水だが時すでに遅し、彼女の親友ホドリコが主水を捕らえており、そのまま担ぎ上げるとその勢いのままアカデミア学園メンバー皆の前に引き立てた……!
「さて皆さんご注目です〜!これからこの男の公開処刑を始めま〜す!!皆さん試合前主水先生が私達に言った事覚えてるぅ〜?もし試合に負けたら私達全員にこの街1番のパフェをご馳走してくれるって言ったよね~??」
「……あ、あれはそのう…」
油汗を盛大に流す主水先生
みんなの前で彼女は続ける。
全員がギラギラとした目で主水のコトを見つめているではないか!
(ちなみにスイーツ店は女子人気が高く甘いもの好きな女性陣にとって最高のご褒美である)
もはや逃げ場はない……!!
生徒達の手にはそれぞれどこから用意したのか武器や鈍器やら物騒な物が握られていた。
それを見た主水は心の中で叫んだ。
これは、あかんやつやーー!!!っと。
そんな主水に追い討ちをかけるように、今度は神羅が肩を叩いてきた。
「そういえば先生、私たちにも言ってましたよね? この試合に負けたら私たち全員にスイーツ奢っくれるって❤︎」
いつの間にか背後に回りこんでいた神羅がニヤニヤしながら言った。
「ウッス、主水先生あざーっす!」
そして次の瞬間、会場中からパフェコールが起こった!
「先生〜あたしんちスイーツ店だから予約入れといたよ〜!」
「まあ、ティンクさんの御実家ってたしか高級スイーツ店ティンカーベルでしたわよね?」
「私ティンカーベル2号店の抹茶限定パフェがいいわ〜」
「私は3段盛りのアレ!」
「私はチョコレート山脈!」
「私はいちご大陸!!」
──**それはスイーツの名を借りた、処刑宣告であった。**
いつの間にか、会場の空気は“スイーツの宴”ではなく“財布の葬式”と化していた。
それを聞いた途端、主水の顔が青ざめる。
そう、あそこは有名なセレブ御用達の超有名店で値段も高いのだ。
それを人数分で払うとなるとかなりきついだろう。
「ま、待ってくれみんな!アレはその…あの……!」
もう完全にパニック状態になっているようだ。
しかし誰も聞く耳を持たないどころかさらにヒートアップしていく始末だ。
(お、落ち着け主水!まだだ!まだ競馬の金が残っている!今日の目玉レースの馬はゴールドシット!それも三連覇をかけた大勝負!大丈夫だ!ゴールドシットが、ゴルシが勝ちさえすれば金は何とかなる!!!)
主水はラジオをつけ競馬レースに耳を傾ける。
『ゴールドシットの三連覇かそれとも他馬が待ったをかけるのか!ああっ!ゴールドシットが、立ち上がった!?おおっと立ち上がったゴールドシット!あーっ!?!!出ない出ない! 6万大観衆からどよめき~!ゴールドシットが、ゲートを出ませんでした!!120億が紙屑だああああ!!!!』
「ミギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!俺の金えええ!!ゴルシーーーーーーー!!!!」
主水が頭を抱えて絶叫したその瞬間だった……!
突如背後から強烈な悪意を感じ、振り返るとそこには黒いオーラを纏った教え子達が立っていた。
その目には悪意に満ち溢れていた。
「ちょ、ちょっと待て!話せばわか……」
「先生、確かに私たちに負けたら全員に奢ると言いましたよ〜。スマホ録画してますよ〜。見ますか〜?」
神羅はとっても上機嫌だ。
「……編集してショート動画にしてもいいですよ〜?」
他人の金で食うご馳走はうまい。
「“教師、負けて破産確定☆”ってタイトルで❤︎」
教師への死体蹴りが加速する。
「タグは“#奢らせ教師炎上中”にしましょうか〜?」
「プークスクスクス!ギャンブルで身を持ち崩すとか!はっきり言ってダメ人間もいいとこね♪」
「え? FXで盛大にお金を溶かした、絵里洲がそれを言う!?」
絵里洲の発言にアキンドがたまらず突っ込む。
「おや?ずいぶんと賑やかだな?」
試合が終わったのでタット先生達がみんなのところに集まってきた。
「タ、タ、タット〜!頼む。今月だけ金貸してくれ。競馬でスッちまったんだ!」
タットは呆れ顔で主水に説教する。
「お前またやらかしたのか?あれほどギャンブルはほどほどにしとけと言ったのに!」
「いやホントにすまん!マジで反省してる!次からは気ィつけるから!今回だけは見逃してくれ!」
必死で懇願する主水を憐れんでか、タットが助け船を出すことにした。
「仕方ないな……。よし、わかった!今回だけだぞ?その代わり次の給料日まで返すんだからな?」
そう言って財布を取り出した。
(ちなみにその財布には“勝負運がない主水にだけ貸す用”と書かれたシールが貼られていた)
https://www.facebook.com/reel/813226334169482/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
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