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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記1 第四章- 白の神子リーン・アシュレイと神鼠の鎧にして白神の槍ナインテイル-8. アシュレイ族の白の勇者”白水晶”

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読みやすくなりますよ❤︎



その姿は、黒髪の長髪に黒衣を纏い、仮面で素顔を隠した少女だった。

黒天ジャムガの傍らに、影のように寄り添っていた存在――その名は、鵺。


彼女の手には、赤い宝石を埋め込んだ片刃の剣が握られていた。

言葉はなかった。ただ一瞬、鵺は雷音と視線を交わす。

次の瞬間、何の躊躇もなく馬上から剣を振り下ろした。


一閃――


光の帯を斬る風音が鳴り響き、神羅を縛っていた拘束が解かれる。


「……ありがとう」


小さく礼を述べた神羅に、鵺は答えない。

馬を降り、無言のまま神羅の前に進み出ると、剣を構え、敵へとその刃先を向けた。


──その時だった。


戦場の床が低く唸りを上げながらせり上がり、巨大な石の箱が姿を現す。

その頂には白き十字架。

磔にされていたのは、上半身裸の男。その胸を貫いていたのは、鋭く白い槍だった。


槍を握っていたのは、リーン・アシュレイに仕える少女――白水晶。

挿絵(By みてみん)


男は血に濡れながらも、狂気に満ちた嗤い声を上げる。


「ふふふ……はーっはははは!!

 暗黒のファラオ万歳、ニャルラトテップ万歳!

 くとぅるふ・ふたぐん……つがー、しゃめっしゅ……!」


その詠唱と共に、口から血を溢れさせながら男は絶命した。

直後、石の箱も十字架も光となって崩れ去る。


「白水晶、洗脳の解除は……?」


鵺の問いに、白水晶は静かに首を横に振った。


「いいえ。彼はすでに“死んでいた”。

 私が施したのはターンアンデット。肉体は浄化され、ただ“本来の死体”に戻っただけ」


「……なら、残りの六人も同じ。洗脳ではなく、ゾンビ」


雷音の視線が、男の顔に釘付けになる。

その面影は、決して忘れようのないものだった。


(ラキシス……。兄貴の命で、俺たちを影から守ってくれていた……)


阿烈配下の護衛兵。

その名を覚えている者は、今や少ないかもしれない。

だが、雷音だけは、確かに覚えていた。


白目を剥き、笑みを浮かべたままの死体。

その足元に描かれていた魔法陣が紫色に発光し、結界のような光の壁を形成し始める。


閃光が走り、ジャガ族の大使館はまるごと異形の結界に包まれていく。


「やばい! みんな、外へ!」


雷音の声と同時に、仲間たちは一斉に建物の外へ飛び出す。

だが、光の壁は庭すらも覆い、外界への道は完全に閉ざされていた。


そのとき、大使館の壁面に異変が走る。

血管のような線が浮かび上がり、脈打つ。

石も木も、まるで有機物のように膨張し、うねり、歪む。


やがて、肉の塊から無数の触手が伸びはじめ、絡み合い、巨像を形作っていく。

その姿は、神話に語られる邪神の像そのもの――


否。それは“像”ではない。紛れもなく、“本物”の邪神だった。


「ナイアルラトホテップの即席祭壇へようこそ。勇敢なる勇者たちよ」


響いた声と共に、空間が蠢く。

同時に詠唱が再び走る。


『暗黒のファラオ万歳 ニャルラトテップ万歳

 くとぅるふ・ふたぐん にゃるらとてっぷ・つがー……しゃめっしゅ……』


肉の床が盛り上がり、六つの影がせり上がる。

それはかつて、阿烈により雷音たちの護衛に遣わされた兵たち。

今は死し、ナイアの手により操られる傀儡となっていた。


「ナイア……貴様、兄貴の兵たちを……!」


「ふふっ。ただの人形よ。魂のない死体。

 生きてるユッキーに洗脳魔法をかけたときは失敗したでしょ?

 だから今度は、先に殺してから操ることにしたの☆」


雷音の怒りが爆発する。


「てめえ……それでも“心”があるのかよ!? いや、最初から人間じゃなかったな……!」


ナイアは軽くため息をつき、愉悦を滲ませて微笑む。


「やっぱり未熟ですね、雷音様。

 私が“時間稼ぎ”してることに、まだ気づかなかった?

 そろそろ、“勇魔共鳴”の制限時間が切れる頃でしょう?」


その言葉通り、雷音と雷華の変身が解ける。

魔力切れ──二人は膝をつき、動けなくなった。


そのとき、ナイアの姿が崩れる。

偽りの絵理洲の姿が歪み、浮かび上がったのは──雷音たちの姉、羅刹。


「お、お姉ちゃん……!?」


「う、嘘なのだ!? 本物……? それとも……!?」


動揺する面々に、白水晶が冷静に推論を告げる。


「目的は明白。ナイアルラトホテップの狙いは、アシュレイ族と乂族の同盟妨害。

 羅漢と羅刹がアシュレイ領で破壊活動を行えば、世論は必ず同盟締結に反発する」


「そ、そんなことになったら……雷音と結婚できなくなるのだ! なんとしても阻止するのだ!」


ミリルが絶叫し、鵺が剣を構え直す。


「……ここで終わらせるしかないようね」


だが、羅刹の姿をしたナイアは、懐からカードを取り出す。

それは【契約の刻印】に酷似した、別の紋章だった。


「それは……! 転送の刻印! 我が家の家宝なのだ! 泥棒!!」


「ごめんなさいね。でも、今ここであなたたちと遊んでる時間はないの。

 黒天や覇星の王が来る前に、もっと“やらかす”必要があるから。

 行くわよ、羅漢。雷音、お前の相手は――“あれ”よ」


ナイアが指を鳴らすと、絡み合っていた触手の巨像が蠢き、瞼を開く。

その中に宿っていた存在──邪神、オード・ジ・ラキシスが、ついに目を覚ました。


「それじゃ、私たちは失礼するわ。羅漢と一緒に大暴れしてくるから♪

 さあ、邪神さん――そいつらを、美味しくいただいてあげて!」


ナイアは転送の刻印を発動させ、羅漢とゾンビ兵を伴って光の壁の外へと姿を消す。


残されたのは、静かに蠢動を始める巨体。


百メートルを優に超える異形の神。

オード・ジ・ラキシスが、いま、完全なる覚醒の時を迎えようとしていた――。


挿絵(By みてみん)


https://www.facebook.com/reel/1569115647045208/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリ動画

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