乂阿戦記4 第四章 漆黒の魔王クロウ・アシュタロス-6 銀河連邦ヒーローランキング3位と女柔術マジシャン
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サバゲー戦線、もうひとつの死闘が幕を開ける!
現在生き残っている中で圧倒的な強さを誇る最強の女戦士ルシル・エンジェルがアカデミア学園の女戦士アントニコ・ホドリコ・ノゲノーラと対峙していた。
が……。
彼女は今窮地に立たされている真っ最中なのである……!!
「つ、強い!?メフィストギルドでもスフィンクス・アルテマレーザーに次ぐ女戦士とは聞いてましたが、まさかこれほどの強さとは!!」
動揺を隠しきれない様子の彼女を前にしながら余裕の笑みを浮かべていたのは、対戦相手である少女だった――
ホドリコ、彼女は恐るべきブラジリアン柔術の達人だった。
その実力はもはや格闘家というより実戦武道家に近いと言える程であり、かつて『コンデ・コマ』と呼ばれた伝説柔術家の秘技を継承した使い手だったのである!
(くっ!!このままでは負けるッ……!何とかして打開策を見つけなければ……)
そんな焦りを感じていた矢先の出来事だった。
突然視界が歪み意識が遠のいていくのを感じたかと思えば次の瞬間にはその場に倒れ伏している事に気がつく。
(身体が動かない……!? まさかこれは――)
思い出す。ホドリコの神速タックルからのテイクダウン、そして不得手な寝技で裸締めを喰らっていたのだ!
(不味いっ!!このままでは敗ける……!)
しかしそんな願いも虚しく、徐々に視界までもがぼやけてくる始末でいよいよ敗北を覚悟したその瞬間だった――
「でりゃああ!」
狗鬼漢児がタックルで突っ込んできてホドリコを突き飛ばす。
「悪いなマッスルビューティー!これがタイマン形式の戦いなら野暮な真似しないんだが、あいにくと団体戦でな……サポートに入らせてもらった」
漢児の後ろでルシルが咳き込みながら立ち上がり体勢を整え直している。
どうやらまだ戦えるだけの体力は残っているようだ。
「……」
一方突き飛ばされたホドリコはさほどダメージを受けた様子はなくすぐに立ち上がる。
そして構えを取り直した時には既にもう先程の鋭い眼光を取り戻していたのだった。
「ホドリコさーーん!」
ホドリコの元にバイクに乗ったラブチンが駆けつけてきた。
スパロボ研究会の会員で、ブリュンヒルデファンクラブの親衛隊長でもある超人オタク君だ。
(因みにラブチンという名前は本名ではない。ロイ・スィーガヌが本名だ)
「ご無事で何よりです!!サポートに回るのが遅れ申し訳ない!」
と涙ぐみながら謝ってくる。
その姿を見て安心したのか思わず笑みが溢れてしまうホドリコであったが、すぐさま真剣な表情に戻り目の前の強敵と対峙する事にした。
ルシル・エンジェルは漢児に頭を下げ嘆願する。
「漢児先輩、先ほどはお助けいただき誠にありがとうございます。ですが、これよりはどうか手助け無用でお願いします……私は今、1人の戦士として一対一で彼女に挑みたい!もう二度と、あの瞬間の無力感は味わいたくないんです!やられっぱなしは……イヤです……!!」
それを聞いた途端、漢児の表情は一変し、真剣な眼差しへと変わった。
「いいぜ!かましてやんなルシルの嬢ちゃん!ただし試合ルールだけはしっかり守って戦うんだぜ!マッスルビューティーの姉ちゃんもそうするはずだ」
意外な返答だった。
てっきり断られると思っていただけに意外であったのだ。
漢児はいつもの調子でニヤリと笑みを浮かべながらこう続けた。
「 おいおい、お前さんの闘志にマッスルビューティーも火がついたようだ! みなよスクワットをしている! おお! バンプアップで心臓の血液が筋肉にまわり一回り大きくなりやがった! ぬうう!? 前鋸筋に陰影がついている! 仕上がっている!あの姉ちゃんの筋肉が仕上がっているぜ!! こりゃあ俺も負けじと本気出さなきゃな!!」
そう言うと漢児は全身に力を込め始める。
すると彼の肉体に変化が現れ始めたのである。
全身のありとあらゆる箇所にある大小様々な血管が浮き出し始め、筋肉が一回り膨れ上がったのである……!
これこそが漢児が本気になった証左なのである……!!
そして同時にルシルもまた己の闘気を高め始めていた……。
「ホドリコさん……狗鬼漢児の相手はあっしがしましょう……」
ラブチンが掛けていた分厚い伊達メガネと出っ歯の義歯を取る。
そしてなんと剣を引き抜き両手で前に掲げた。
その剣を見てルシルが驚愕する。
「あ、あれは王者の剣エクスカリバー!!」
「エクスカリバー?」
尋ねる漢児にルシルは答える。
「そう、銀河連邦ランキング三位――伝説のHERO、ナイトアーサーの証です!」
「ほう、ルシルの嬢ちゃんがそこまで言うか。ならば見せてもらうとしようか……」
ロイ・スィーガヌが聖剣エクスカリバーを掲げ、変身の為の口上を述べる。
「我は妖精の湖より生まれし光の使者なり。この身は今ここに降臨せり。今一度汝の力を示せ、さあ刮目せよ!顕現せよ神の威光を誇る裁きの神具よ!真なる姿へと変貌を遂げろ!!いでませ伝説の騎士!変!神!ナイトアーサーー!!!」
その瞬間眩い光が彼を包み込む……!
そしてその光を振り払うかのように現れたのは清浄な水色の鎧を纏った一人の騎士タイプのHEROであった──
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