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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記4 第四章 漆黒の魔王クロウ・アシュタロス-4 封じられし名《イドゥグ》

『サバゲー試合の最中、赤い塗料と時間魔法が交差する空中戦が幕を開ける。だが、決着の鍵を握るのは一つの“名前”だった。』


ブックマーク大歓迎です!

炎の剣で果敢に漆黒の魔王に挑む雷音。

だが、実力差は圧倒的で容易く盾ごと後ろに吹っ飛ばされてしまう。


……その頃、神羅の方では――


神羅は鵺が止めるのも聞かず、自分も前面に出てクロウと闘おうとしていた。

神羅の持つ弓から放たれるペインティング用の矢がクロウめがけて飛んでいくが難なく躱されてしまう。

ならばと今度は銃を取り出し連射する鵺だったがこれも避けられてしまう。

神羅が、クロウからお返しとばかりに放たれた大剣の斬撃をギリギリで避けたその時だった……!


(危ないっ!)と思ったときには既に遅く、斬撃に追随する衝撃波によって弾き飛ばされてしまった。


地面に叩きつけられる寸前、間一髪で鵺がキャッチしてくれたため大事には至らなかったものの、今の一撃で足をひねってしまったようだ……

それでも尚立ち上がろうとする神羅に対しクロウは言った。

『もう諦めろ』と……

その言葉に激昂し立ち上がる神羅だったが、ダメージのせいでふらついており、それを見たクロウは再び距離を詰めてきた。

もうダメかと思われたその瞬間だった! 突如飛んできた何かがクロウを吹き飛ばしたのである!

その正体はなんと、先ほど吹っ飛ばされたばかりの雷音であった!

「なに!?」

実は先程の攻撃を受けた際、盾の裏側には、強力なクッションを仕込んであり、吹っ飛ばされたとしても、最小限のダメージで済むよう準備をしていたのである。

それが功を成しクロウの予想を上回る速さで立て直しを図ることができた。

雷音はその隙を狙っていたのだ!

そしてその一瞬のスキをついて神羅はクロウの背後に回り込み、持っていたペイント矢を撃ち込んだのである!

これによりクロウの体には赤い塗料がつくことになるはずのだが……

なんとクロウは後ろ向きのまま大剣をふるい矢を叩き落としたのだ。

その技量の高さに神羅が目を丸くする。しかしクロウの方も驚愕の表情を見せていた。

なぜなら目の前にいたはずの少女がいつの間にか姿を消していたのだから……

(今宵鵺の姿が見えない?)

そんな疑問を抱きつつも辺りを見渡すクロウだったがどこにも姿が見当たらない。

すると突然背後から殺気を感じ取り慌てて振り向くもそこには誰もいないどころか気配すら感じられなかった。

戸惑うクロウに対して鵺はこう言った……

「……時間停止の世界で後ろに回り込み仕留めようとしたのに………まさかこちらのアクションに反応するなんて……あなたやはり……」

彼女の言葉を聞いて、クロウはなるほどなと納得する。

確かに止まって時間の世界で行動するなら、彼女の瞬間移動めいた動きも納得できる。

だがその能力は人智を超えた自分達武仙を相手にするのならば、決して万能といえる能力ではない。


……時間停止とはいえ、行動には“最初の一歩”が生じる。

それを先読みするのが光速突破の武仙の技──


ほんの数瞬、光より早く動ける上級武仙ならば、光速を突破するわずかな瞬間にカウンターを叩き込む事が可能だからだ。

そしてこのクロウこそは光速突破の奥義を会得した上級武仙


そのことにいち早く気付い鵺達は即座に連携を取り始めることにした。

まず最初に動いたのは雷音の方である。

「神羅、鵺!俺の背中に乗れ!」

飛竜形態に変化した雷音が神羅と鵺を背に乗せ空を翔る!

その姿になった途端、今まで防戦一方だったにもかかわらず、一転攻勢へと打って出たのだった……

「ちい!」

空中からの攻撃にクロウがおされだす。

「ならば此方も飛竜を呼ぶ!」

クロウが地面に大剣を突き刺し詠唱を唱える。

直後地面から現れたのは漆黒の竜であった。

その名は邪竜アスラドラゴニスといい、かつて龍麗国のゾディグの部隊が妖魔軍を苦しめた伝説の黒竜である。

しかも今現れた個体は通常のものより巨大で、全身が黒く染まっていた。

その姿はまるで黙示録に登場する悪魔竜のような姿だった……

それを見た三人は戦慄すると同時に確信する。

(あれはヤバいやつだ!)と……

クロウはアスラドラゴニスに騎乗し、空中の神羅達を追いかける。


クロウとアスラドラゴニスが猛追をかける中、三人は空中戦を続けていた。


「くっ……!」


雷音の翼が爪に捕らえられ、バランスを崩す。


「きゃあっ!?」


神羅が落下。だが――


「……時間加速!落下速度、制御する!」


鵺が即座に時間魔法を展開、雷音の速度を引き上げ、墜ちる神羅をギリギリで拾い上げる。


直後――


バサァアアァッ!!!


空を割るようにして、“それ”が降ってきた。


巨大な塗料の塊。


「……っ、今だ!」


鵺の魔導術式が展開される。


『ペイントバケツ・投射準備完了。時間転送座標固定、五分後に再転写。対象誘導──開始。』


その塗料は五分前、空中に放り投げられたもの。

そしていま、未来の時間軸から”現在”に転送されたものだ。

彼女たちはクロウを塗料落下点に誘導し、その上で時間指定された未来を現在に再呼び出すことで“空からの奇襲”を成立させたのだ。


「なっ……!? ぐっ……!」


頭上から一気に降りかかった塗料に、クロウが一瞬動きを止める。

その隙を逃す鵺たちではない。


「雷音、今ッ!!」


飛竜形態の雷音が、爆炎を纏って急加速。鵺は魔術強化、神羅は空中から矢を雨のように放つ。


そして――


黒竜は地へと落ちた。


クロウとアスラドラゴニスが、地面に叩きつけられる。


上空から落下したクロウは頭から血を流していたものの致命傷ではない。

血ではなく赤い塗料なのだから。

即座に立ち上がり臨戦態勢をとるクロウに対して、神羅達も構えを取る。

雷音は全身に炎を纏い、神羅は光属性の魔法弓を構え、鵺は魔力で生み出した槍を構える……

ルール上クロウの敗北は決定したが、まだ油断はできない。

なぜなら失格の十秒以内の攻撃は有効とルールで認められてるから

クロウはその10秒の時間内に引き分けを狙う模様だ。

雷音は気のせいかクロウの殺し屋らしい氷の瞳に、今熱さが宿ってるような気がした……

そう、彼は今武人として火がついていた!

クロウは最後の力を振り絞り、大剣を構える。

残された10秒の時間に、この3人を倒してくれよう!


雷音は全身を炎で覆い、神羅は光属性の魔法弓を再構え、鵺は魔力で編んだ槍を携える。だが――


「――ふっ……」


……だが、共鳴時間はすでに限界に達していた。

強敵との激闘による魔力消耗と、魂への負荷がピークを越えていたのだ。


「ッ、しまった……!」


膝をつく神羅と鵺。顔は蒼白、呼吸は荒い。


共鳴解除。


その代償はあまりにも大きい。


魂の半身を繋げるが故に、共鳴が切れると、残滓の反動が肉体と魔力を焼く。


「……もう、動けない……」


その姿を見た雷音が一歩、前に出る。


「……ここからは俺がやる」


挿絵(By みてみん)


クロウに残された時間は、あと5秒

「行くぞ!」

気合の声と共に接近し斬りかかるクロウ!

迎えうつ雷音!

残り4秒!

振り下ろされるクロウの刃

躱す雷音

カウンター気味にクロウに切り掛かる!

だが!

「秘剣燕返し!」

あっ、と雷音が呻く。


彼の剣気は、もはや鋼鉄を斬るのではなく、時間ごと断ち切ろうとしていた──


燕返しは先に刀を振り下ろし、踏み込んできた相手を、刀を瞬時に返して切り上げる奥義

カウンターをカウンターで返される、まんまとクロウの剣術に破れ去る雷音


残り3秒、クロウが鵺に迫る。


「解除──!」


鵺の叫びと共に、空中で静止していたペイント弾群が一斉に放たれる。


だが――


シュバババババッ!


全てが叩き落とされる。


迫る剣閃。鵺、敗退。


残り2秒。


神羅が銃に持ち替え、クロウに立ち向かうが――そのすべてをかわされる。


残り1秒。剣が神羅の喉元を貫かんと振り下ろされた、そのときだった。


神羅が、囁くように、呟いた。


「……イドゥグ?」

クロウの時間が、止まった。

心臓が、冷たくなる。

それは“名前”ではない。

それは──忘れたはずの“罪”の音。



一瞬――いや、ほんの刹那。

だが、その刹那は、彼にとって永遠に等しかった。


あの名を、誰が呼んだ。


その名は封印されたはずだ。自分の記憶の底に、歴史の底に、あの業火の中に。


それが、どうして――今ここに。


――その瞳だ。


その声、その魂。


何度も夢で殺し、何度も夢で抱きしめ、そして何度も……忘れようとした彼女が、そこにいた。


「っ……!」


タイムアップ。


赤い塗料に覆われたクロウが、そっと剣を納め、静かに背を向けた。


(今、何が起きた?)

雷音は剣を構えたまま動けなかった。

神羅が呟いたただ一言に──あの漆黒の魔王が“止まった”。

(クロウ……お前は一体何者だ……?)


一方、神羅は追い詰められ、思わずでた自分の言葉に驚いていた。

「ん?え?あれ?イドゥグ?……イドゥグってだれ?……私なんで知りもしない人の名前を???」


…………姉上


クロウは思わずでかかったその言葉をあわてて喉の奥に押し込める。

まさか前世の記憶が蘇りつつあるのか?

それはマズイ

イドゥグという人間は、いてはならない人間なのだ。

今ここで前世を思い出すことは許されない……

もし思い出したとしても、彼女は混乱するだろう……

ただでさえあの時代のユキルは精神崩壊寸前まで追い込まれていたのだから……

クロウは複雑な表情で、しかし内心ほんの少しだけ喜び、この場を去ろうとした。


その背中に今宵鵺が……否、15年前の時代自分の年上の姪だったアン・ユエが声をかけてきた。

「………あなた……まさかイドゥグ?……信じられない……あの鬼が……あの蛮王ユドゥグが貴方を生かしていた?……ありえない……そんなのありえない……」

鵺も鵺でかなり混乱してるようだった。

クロウは神羅と鵺を無視して闘技場を去ろうとする。

そんなクロウに雷音が声をかける。

「待てよ、まだ決着がついてないだろ」

「……」

「答えろよ、3対1だけど一応俺たちはお前に勝ったんだ。そしてお前は何者だ?神羅が殉死するってどういう意味だ?」

ほとんど負けていたにもかかわらず、まるで勝者のような態度を取る雷音の図々しさにクロウは呆れのため息を吐く。

だが劣勢にも関わらず自分を下してみせた雷音達の闘いぶりに敬意を表して、一言だけアドバイスを残すことにした。


「すべては、創造神と破壊神が紡いだ因果律の中に帰結する。

今代の勇者よ。女神を因果の鎖より解き放たんと欲するならば──

三聖の塔の門を開け。

十二の封獣、十二の改獣、十二の鍵、十二の転生者が揃いしとき、運命の糸は束ねられる。

……その時こそ、選べ。“世界”を、変えるか──壊すかを」


そして今度こそ本当に立ち去っていく。

「ま、待て!お前は一体何者だ!?」

「………俺はただの死人だ」

そう言って今度こそ去っていくクロウ。

その後姿を呆然と見送る3人だった……

ともあれ、クロウ、雷音、鵺の3名は退場となった。




https://www.facebook.com/reel/1251092432970834/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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