乂阿戦記4 第四章 漆黒の魔王クロウ・アシュタロス-2 漆黒の魔王の予言
〜現在〜
学園闘技場にてサバゲー試合が継続されることになった。
ルール再説明が終わると早速ゲームが始まることになったのだが……。
敵陣には、殺悪隊のゼットと海月、
ブリューナクからブリちゃん、スモモちゃん、セイラちゃん。
メフィストの陣営は、クレオラ、ティンク、ホドリコ。
他にも、バットーイアイ、ラブチン、織音先生──
雷音は対戦相手のメンツを見ながら思う。
(なるほど……これはなかなか厄介だな)
こっちも向こうも、残りは半分程度。
...
そして気になる黒ずくめの生徒、クロウ。
最大の難関はやはり、フェニックスヘブンの鳳天……総勢13名。
そして自軍で残っているメンバーを再確認する。
(こっちで残ってるのは俺、神羅、アキンド、獅鳳、雷華、オーム、鵺、フレア、アクア、ルシル、エドナ姉、羅漢兄貴、漢児兄貴、生徒会長の露木さん、タット先生の15名)
あちらもこちらも半数近く減っていた。
しかも全員が全員一癖も二癖もある連中ばかりだ。
まず最初に目を引いたのはブリュンヒルデだろう。
最近雷音はブリュンヒルデの歌に惚れ込み、タット先生以外の授業を抜け出してコンサートに行くハマりっぷりだ。
婚約者ミリルにバレて浮気者!と追いかけられるくらい彼女の歌にハマってる。
アキンド、イポスと一緒にオタ芸の練習をしたぐらいだ。
プラズマゼットとの決着もつけたいが、ミリルが退場していない今のうちに、ブリュンヒルデさんにお近づきになってスキンシップをはかりたい!
雷音は試合中どうやって彼女と接触しようか苦悩していた。
次に目に付いたのは鵺だった。
鵺は無口で感情を表に出さないが、その静かな佇まいには、戦場で生き延びた者だけが纏う“気配”があった。
あの目の奥に宿るのは、何者にも折れぬ鋼の意志。
――神羅への想いに突き動かされる、献身の覚悟。
(……鵺ちゃん。君は何を背負って戦ってるんだ?)
胸の奥にわだかまるその問いに、雷音自身も理由をつけられない。ただ、本能が言っている。
この子の中には、命を懸けて守ろうとする何かがある、と。
……そして、もし彼女が心を許してくれるなら――
次は、俺が守る番だ。
この戦いが終わったら――
ぜひ話してみたい。あの心の奥底にある、“本当の理由”を。
さて次は、そうだな……
実はアカデミア学園のメンバーの中に1人胡散臭い奴がいる。
その男は漆黒の服に身を包み、奥から覗く鋭い目つきでこちらを見据えている。
その姿はまさに“死を司る影”――死神と呼ぶに相応しいものだった。
名前は確かーーそう、『クロウ』だ。
クロウという黒ずくめの男だ。
(――重い。こいつの“視線”だけで空気が変わった……まるで闇夜そのものが人格を持ったみたいだ)
奴の視線は危険だ。
しかも前の試合からじっと神羅を見ている。
直感が告げている。
あのクロウという男、神羅対し今日何か仕掛けるつもりだ……
ただの勘だから兄貴達にはまだ相談出来ない。
俺が倒すと言いたいところだが多分あのクロウって奴、魔王、もしくは武仙級の戦士だ。
戦いの相棒が欲しいとこだし、この際鵺ちゃんに話しかけてみようか?
いや待て……下手に声をかけて警戒されたら困る。
もう少し様子を見てからにしよう……
とりあえず今は様子見だな……
そんなことを考えながら、今日の試合は始まろうとしていた。
そして、試合前意外なことが起きる。
なんと鵺の方から雷音に声をかけてきたのだ。
「雷音、助けて欲しい。ユキ……神羅を守るため、あなたの力が必要なの」と言ってきたのである。
一瞬なんの事だかわからないまま立ち尽くしていると、背後から突然声がかかる。
振り向くとそこには黒いローブに身を包んだクロウが立っていた。
クロウは雷音ではなく鵺に声をかけたのだ。
「健気なモノだな時の魔女……いまだユキルの救済を夢見るか?……」
鵺が唇を噛み締めクロウを睨みつける。
「だが断言しよう。いかなる奇跡を望もうと、“彼女”はまたしても“世界の礎”となる」
鵺のか細い拳がギュッと握られる。
「アイナクィンの環はすでに回り出した。黒天すら、灰燼の覇王すら、その連環には抗えぬ」
その言葉に鵺がビクリと顔を青ざめさせた。
「女神ユキルは今生も世界を救い殉死する………」
「お前たちでは、何も変えられない」
となりで聴いていた雷音が顔色を変え殺気のこもった視線をクロウにぶつける。
「おい、テメー、今なんっていった?ユキルって神羅の事だよな?神羅が殉死?どういうことだ?」
するとどこからともなく声が聞こえてくる。
「今のはボクも聞き逃せないな……クロウと言ったか? お前神羅の何を知っている?」
その声の主は他ならぬ神羅の婚約者オームであった。
クロウは雷音、オーム、鵺にただ沈黙をもって答える。
雷音達とクロウは互いに睨み合う形で対峙している中、その様子を観客席から眺めている者がいた。
緑の瞳をした金髪の美女だ。
彼らは気づかなかったが、その者はずっと前から勇者と魔法少女達の行動を監視しており、今回も試合の度にこうして観戦していたのだ。
そしてその人物はただ一度瞼を閉じると踵を返し姿を消したのだった。
ただ一言
「ラグナロクの鼓動が近づいている……三聖の塔が開かれし時、世界はまた岐路に立つ」
「あの子たちは選べるのかしら。“滅びの運命”ではない、もう一つの未来を──」
「……そう、かつて私が選べなかった未来を」
そう呟き、その場から消えたのだった。
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