乂阿戦記4 第二章 紫の絶対無敵アイドル ブリュンヒルデの恋バナ相談-9 11人委員会の陰謀
世界を裏で操る者たち、その狙いは“魔法少女の心臓”。裏側で始まった反逆のスリル、開幕!
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学園試合の裏で、静かに、そして着実に――邪悪な陰謀が進行していた。
魔法少女たちを誘拐し、“神の遺物”として暗黒オークションに売り飛ばす――。悪名高き《ジュエルイーター》の魔手が、無音のまま世界を蝕みつつあった。
第4試合の再開と時を同じくして、舞台裏では不穏な空気が漂い始めていた――。
***
ここは、とある超上流階級の権力者のみが入れるホテルの一室。
豪奢な会議室には重厚な円卓が設置され、そこには十一の椅子が並ぶ。
周囲には屈強なボディガードたちが沈黙のまま警戒を続けていた。
その円卓において、もっとも威圧的な雰囲気を纏う男が口を開く。
「集まったようだな。では、これより人類管理十一人委員会の会議を開始する。……異論は?」
「ええ、第一席マチハス・ソロモン様。進行、よろしくお願いいたします」
ソロモンに応じたのは、“伯爵”の異名で知られる男――神羅やブリュンヒルデを狙う誘拐組織の首魁だった。
11人委員会は全宇宙のおよそ6割を支配下に置いている、人類圏最大の超巨大勢力である。
そのトップたる11人の委員会の中には、かつて“神格機”を操作し、惑星ひとつを“再構成”した者もいる――。
「うむ。ところで第七席サンジェルマン伯爵、第二席のエンザ・ソウル殿は、まだ龍麗国で静養中か?」
「はい、覇王・乂阿烈に受けた傷が深く……未だに動けぬようでして」
(ちっ、あの男……まだ生きていたのか)
ソロモンは内心で舌打ちする。だが軽率な発言は他の委員たちの反感を買う。
黙して会議の進行を待つしかないのだった。
そのとき、年老いた一人の男が、鼻を鳴らして声を上げた。
「フン!エンザ……情けない奴よのう! あと一歩でエクリプスを取り逃がし、猪武者の阿烈に敗北するとは……」
その声の主――第六席、老科学者レコンキスタ。見た目はただの老人だが、纏う威圧感は尋常ではない。
「まぁまぁ、レコキスタ殿。戦いとは時の運もある。阿烈は確かに蛮勇の士だが、あれには頭の切れる側近がいる。油断すれば痛い目を見るぞ?」
第四席・ゼロゼギルトが穏やかに諭す。金髪碧眼の美貌と、涼やかな笑みを浮かべるその姿は、逆に不気味ですらあった。
「フン、相変わらず甘い男だな。まあいい、話を戻そう。我らの議題は――今代のエクリプス、カンキルの語った“要石のシステム”についてだ」
会議の空気が一変する。ソロモンが円卓を見渡し、低く言い放つ。
「――つまり、まとめるとこういうことだ。我々が生き残るには、“地球”という要石を存続させねばならぬ。そしてその鍵を握るのが、ジュエルウィッチハートだ」
各員が頷く中、レコンキスタが声を張った。
「よいか! ここから先は宇宙の命運を左右する絶対機密だ。聞き逃すでないぞ!」
そして、要点が共有された。
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《議題要点》
1.地球は、依然として“全宇宙のバランスを保つ要石”であり、エクリプスの呪いで不安定な状態にある。
2.地球が崩壊すれば、他の全宇宙が連鎖的に消滅する。
3.その崩壊を防ぐ唯一の手段が、龍麗国にある三つの古代遺跡“三聖塔”の起動。
4.三聖塔を動かすには、12の“ジュエルウィッチハート”が必要である。
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《12のハート保持者一覧》
•赤:乂雷華
•蒼:蒼遍
•黄:峰場アテナ
•橙:鳳アリス
•白:白水晶
•黒:クレオラ・フェレス
•水色:イブ・バーストエラー
•紫:ブリュンヒルデ・ヴァルキュリア
•桃:迦楼羅スモモ
•黄緑:ニカ・スカーレット
•銀:ネロ・バーストエラー
•緑:ルシル・エンジェル
───以上が、今代の“ジュエルウィッチハート”にまつわる現状である。
つまり、世界の命運はこの麗しい少女たちに委ねられているという……なんとも皮肉な話だ。
「おお、なんたる運命! 十二の保持者すべてが、ドアーダ魔法学園およびアカデミア学園に縁ある者ばかり!」
レコンキスタが歓喜に震える。
皮肉なことに、選ばれし12名は、いずれも“かつて敵対した者たち”の血や因果を引いていた――。
「全員が揃えば、呪いを打ち破ることも可能じゃ!!」
だが、そこに集う十一人は――世界を“救う”ために動いていたわけではなかった。
彼らの真の目的は、ジュエルウィッチハートの力で“三聖塔”を制御し、世界の法則そのものを“自分たちに都合よく”書き換えることにあった。
創造神にも、破壊神にもなりかわる――全宇宙を統べる“絶対支配者”となるために。
それが、この“人類管理十一人委員会”の正体である。
しかし、世界はそれほど甘くはない。彼らでさえ、一筋縄ではいかない強者たちが存在することを知っていた。
⸻
《脅威となる覇王・神格者たち》
•乂族の灰燼の覇王・乂阿烈
•龍麗国の蛮王・アン・ユドゥグ
•ドアダ帝国の蛇王・ナイトホテップ
•覇星の使徒・ゴーム・ソウル
•巨竜王・アング・アルテマレーザー
•雷帝・デウスカエサル
•九つ世界の主神・メルコール・ヴォータン
•悪の帝王・ベルゼバブ
•アシュレイ族の神子・リーン・アシュレイ
かつての部下もいれば、盟友だった者、宿敵だった者もいた。
だが、そのいずれもが「世界の支配者候補」なのだ。
ゆえに――彼らは“情報戦”に打って出た。
世界の支配者は、自分たち一強でなければならない。
他勢力に先んじてジュエルウィッチハートを確保し、三聖塔を掌握せねばならない。
そのために編成されたのが、魔法少女狩り部隊――《ジュエルイーター》である。
***
その頃、別の会議室ではジュエルイーター部隊の9名のエージェントたちが、緊急作戦会議を開いていた。
議長の席に座るのは、黒鎧に身を包んだ優男・クロウ――通称“闇騎士”。
「皆、揃ったな。では本題に入る」
彼はかつて暗黒ギルドの最上級暗殺者。今は表向きは冒険者として名を馳せる、戦闘と情報戦に長けたプロ中のプロだ。
その隣に座る少女が、手を挙げて発言する。
「先に言っておくけど――魔法少女たちに傷を負わせるのは絶対にダメよ。あの子たちは、覇王たちの“血縁”ばかり。……命を狙われるのはごめんだもの。あとあの子たち、ちょっとだけ――私の“昔の友達”に似てるから」
なんとそれはアカデミア学園の生徒でレヴェナと呼ばれていた少女である。
彼女に続いて名を連ねるのは――怪盗カイトーランマ、バットーイアイ、ケンジューハジキといった曲者たち。
クロウは薄く笑って頷いた。
「フ、重々承知だ」
その表情の奥に潜む、冷酷さと計算高さ。
この男がただの雇われ仕事人でないことは、皆が理解していた。
クロウは全身黒い鎧に身を包んだ優男で礼儀正しく丁寧な言葉遣いをする男だった。
しかしその見た目とは裏腹にとても好戦的で残忍な性格をしているらしく油断ならない相手だと思えた。
なぜなら彼の纏う空気というか威圧感が並大抵のものではなかったからだ。
「わかっているさ…。我々はただ単に雇われの身。雇用主が、我々の命を守ってくれる保証などない。我々自身が生き残る為に最低限のラインは引いておかないといけないことぐらいちゃんとわかっているさ…」
そう言いつつニヤリと笑うその笑顔はとても不気味に見えた。
「では次の議題に移るとしよう。
まずはこれを見てくれ」
といって取り出した一枚の写真を見て私たちは驚愕した。
そこには見覚えのある人物の姿があったからである。
かつての彼は、“剣の風神”と称され、剣の鬼神パピリオ、剣の龍神ナイトホテップ、剣の雷神リュエルと肩を並べたとささやかれている――。
……某国では、“斬撃ひとつで軍艦を真っ二つにした”という噂すらある。
その人物の名は『織音主水』といい、かつては伝説の剣士と呼ばれる程の実力者だった男だが現在は引退しており、田舎町でひっそりと暮らしていたはずだったのだが……??
いま何故かアカデミア学園で教師をやっているではないか!?
しかも生徒たちからなんだかんだ慕われているようだし一体どういうことだろうか??
謎だらけだったが一つだけ言える事があるとすれば力ずくの作戦実行は、彼を敵に回すのでNGだと言うことだ。
次の作戦の大まかな段取りを決め、会議は一時解散となる。
解散後カイトーたち四人は自前のアジトで自分達だけの打ち合わせを開く。
カイトー達四人は人類管理委員会の手先になるつもりはなく、怪盗としてジュエルウィッチハートを盗むか盗むまいか、判定するため人類管理委員会に近づいただけである。
結局のところレヴェナやカイトーは管理委員会の思惑など知ったことではない。
彼らは世界を敵に回し秘宝を盗み出すスリルが欲しいのだ。
どちらかと言うと、支配者気取りの鼻持ちならない人類管理委員会は痛い目に合わせたいとすら思っている。
それはジュエルウィッチハートを所持している、乂族、アシュレイ族、巨人族、ナイン族、覇星の使徒、ドアダ帝国の独裁者達に対してもである。
つまり、カイトー達が目指す最終目標はただ一つ……。
「正義の味方でも、世界の支配者でもねえ。俺たちは――退屈ってヤツをぶっ壊すために生きてるんだよ」
「奪ってみせるさ。この腐りきった世界のど真ん中から……この世で一番ヤバくて、美しい宝をな!」
「たとえ、世界中の神や覇王どもを敵に回したってな」
そういって高らかに宣言したカイトーの言葉に他の仲間たちは大きく頷くのだった。
かくして怪盗達は動き始めた。
https://www.facebook.com/reel/1030181981823190/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
↑イメージリール動画




