乂阿戦記4 第二章 紫の絶対無敵アイドル ブリュンヒルデの恋バナ相談-1 殺悪隊再び
第二章 紫の絶対無敵アイドル ブリュンヒルデの恋バナ相談
結局あの後、学園対抗戦第3試合は引き分けとなった。
と言うかガープもウィウィヴァも、子守り勝負に関しては勝ち負けの優劣をつけようとは思っていない。
コレに関しては両校の交友と、子守を通した生徒の情緒育成が目的である。
破茶滅茶なじいさん達だが一応彼らも教育者なのだ。
第三試合が終わり残すのは第四、第五試合なのだが、予期せぬ襲撃者の登場によりガープとウィウィヴァは生徒の安全を考え試合中止した。
ところがそれに意を唱えるものが現れた。
ドアーダ魔法学園、アカデミア学園の生徒達である。
最初はイヤイヤ参加していた対抗戦
いざ始めてみたら双方の生徒達は皆ノリがよくあっという間に仲良くなっていた。
そして試合イベントを普通に楽しんでいた。
次のペイント弾を使う第四試合サバゲー対決など特に盛り上がりそうなものだ。
そんなこんなで、いつの間にか交流戦を楽しんでいた彼ら彼女らだったが、ここで突然乱入してきた謎の集団によって試合の中断を余儀されるなど到底許容できるものではなかった。
いやむしろ、このまま試合を続行する事こそが正しい選択だとさえ思えたくらいだ。
雷音、神羅はアンケートを募りガープとウィウィヴァに試合続行を直談判した。だが、二人の答えはノーであった。
「悪いな小僧ども……生徒を危険にさらすわけにはいかん。犯人が捕まるまで対抗戦は中断じゃ。今回は儂らの言うことを聞け」と、いくら抗議しても聞き入れられることはなかった。
仕方なく諦めて帰ろうとする二人に声をかけるものがいた。
それはシルフィスとスフィンクスだった。
スフィンクスは雷音の父である乂舜烈の妹、乂華音の娘である
つまり二人にとっては従姉である。
彼女は「お二人さんよォ……もしかしてまだ試合を続けたいんじゃねェのか?」と言ったのだ!
その言葉に二人はピクリと反応した。「……そうなんです。スフィンクスさん、何とかおじいちゃんたちを説得する妙案はありませんか……?」と尋ねる神羅にシルフィスは首をかしげて尋ねる。
「サバゲーの試合って自分達で勝手に集まってやったらいけないんですか?」
するとすかさずスフィンクスが答える。
「あぁ、ダメダメだね、そんなこっちゃあな。まずルールを把握してる奴が一人もいねェんだろ?だったらまずはルール説明をして、基本的な動き方とかフィールドの説明をして、そんでもって対戦チームを決めて練習しないとマトモな試合にならんだろうが。ちゃんとジャッジしてくれる審判も用意しないと……」ともっともなことを言ってきたので、雷音も神羅も何も言い返せなかったのだった。
そして雷音と神羅は今、学園長室にいる。
そこには二人の老人の姿があった。
老人はお互いに顔を見合わせるとニヤリと笑い、同時に口を開いた。
「お主らそんなに試合の続きをしたいか?」
2人は声をそろえて言う。
『はい!』
そんな2人に老爺たちは答えた。
「よかろう!」と叫んだ次の瞬間、二人の学園長はおもむろに服を脱ぎ捨てた――!!
筋骨隆々な上半身を惜しげもなくさらし、ポーズを決める。
「この肉体に賭けて宣言する! 学園対抗戦、再・開・じゃッ!!」
(……いや、何で脱いだ!? おじいちゃんたち、ボケたの……?)
思わず誰もがツッコみたくなるような再開宣言であった。
神羅達がその発表をクラスのみんなに伝えると拍手喝采が巻き起こり、みんなはアカデミア学園との再戦を喜んだ。
もちろんその中には上級生もいるわけで彼らは口々にこう言った。
「やるからには負けるつもりはないぜッ!!!」
と言うものや、中には
「今度こそあのアカデミア学園に勝つぞ!倒すぞ!!!」
こう言ってくる者もいたりするわけである。
こうしてまた一つ新たな伝説が生まれることになったのである!! ------
クラスメイト達はその後しばらくサバゲー試合の対策について話し合っていたが結局何も思い浮かばなかったのでとりあえず今日は解散することになった。
(ちなみに帰る方向が同じだったので途中まで一緒に歩いて帰った)
クラスの皆と別れたあと、雷音は一人で家路につくことにしたのだが途中ふと路地裏の方に目を向けると何やら怪しい人物が辺りを警戒しながら歩いている姿が目に入った。
しかもそいつは黒いローブを羽織っており顔をフードで隠しているという徹底ぶりだった。
魔法少女襲撃騒動もあったあとだ。
怪しい男を見てなんとなく嫌な予感がしたので気づかれないように尾行することにした。
すると奴は街はずれにある倉庫に入っていったのだ。
そこで何か取引をしているようだったので、そっと近づいてみることにしてみたがどうやらまずかったらしい。
気づかれその場にいた男たちに囲まれてしまった。
男たちは一斉に銃を構えてきたかと思うといきなり発砲してきたのである!
とっさに回避しようとしたものの間に合わず左足に当たってしまう……!
激痛が走る中必死に逃げようとしたその時一人の男が言った一言を聞いてしまった……。
それは聞き捨てならない言葉だった……………………
奴等は雷音の正体を確認すると
「乂家のおぼっちゃまだ」
「捕まえて人質にすれば魔法少女共をおびき寄せる餌に使えるぞ!」
と会話を交わしていた!!!
「……仲間を……家族を……道具扱いしてんじゃねぇぞ……」
怒りが、頭ではなく心臓から噴き上がった。
雷音の視界が赤く染まる。気づけば、もう体は動いていた──!
そして気が付くと目の前には血だらけの誘拐犯どもが転がっていた……。
「はぁ、はぁ、くそったれめ……!」
雷音は息を切らしながら呟いた。
なんとかその場から逃げ出したはいいが足を撃たれているため走ることができずにいた為、途中で力尽き倒れ込んでしまったのだ……。
もう駄目かと思われたそのとき見知った男に助けられたのである!
「フ、久しぶりだな乂雷音」
「プ、プラズマ・ゼット!」
その男はかつてクトゥルフ戦争の折、雷音と激闘をかわした深き者族屈指の猛者だった。
ゼットは傷付いた雷音を肩でかかえて、安全な場所まで運んでくれた後、治療を施してくれた。
おかげで雷音何とか一命をとりとめたようであった。
それからしばらくしてようやく動けるようになったところでお礼を言おうと思った矢先、彼が先に話しかけてきた。
「……どうしてあんな無茶なことをしたんだ」
と聞かれたので正直に答えることにした。
「あいつらは俺の家族と仲間を狙っていたんだ……」
そう話すと彼は驚いた表情を浮かべた後でこう言った。
「なるほどそういうことだったのか……それなら納得がいくぜ、それにしても随分と厄介な連中に襲われたみたいだなお前は」
と言ってきた。
確かにその通りだと思い頷いたところで今度はこちらから質問してみることにした。
「そういうあんたこそこんなところで何してるんだよ?」
と聞くと彼はこう答えた。
「俺は見ての通りパトロールの最中だよ、最近この辺りでジュエルウィッチイーターって言う、魔法少女狩りのマフィア共が妙な動きを見せていてな、俺たちはアカデミア学園の有志を集い調査に来たってわけさ」
と答えた後に続けてこうも言った。
「まぁ、今のところ何も起きていないみたいだがな……それよりお前の方は大丈夫なのか?足を撃たれたみたいだが……?」
と言われてしまう始末であった。
そんな彼に神羅達から聞いたマスター・ワンや、伯爵、テバクなど、誘拐グループについての情報を話すと、興味を持ったようで色々聞いてきたり協力してくれることを約束してくれたりと色々と世話を焼いてくれるのだった。
そして別れ際にはこんなことを言われたりもした。
「何かあったらいつでも言ってくれよ、力になれるかもしれないからな」
と言って去っていってしまったのでひとまず安心することができた。
と同時にかつての強敵に対し感謝の気持ちでいっぱいになった……。
「……そういえばアイツ、アカデミア学園の生徒だったんだな。………まさかとは思うが……殺悪隊四天王──
プラズマ・ゼット。海月キロネ。浜田車虎。クラブ・キャンサー。
あの“悪夢の四人”が再び戦場に現れるなんて……ありえるのか……!?……)
そう考えた瞬間、雷音は本気で震えが止まらなくなった……。
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