乂阿戦記4 第一章 蒼の魔法少女狗鬼絵里洲の子守騒動-6 羅刹の母心
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(一方その頃)
アカデミア学園側の生徒も幼児を子守りする試験を受けていた。
アカデミア学園の代表であるスフィンクス・アルテマレーザーとキラグンター・ドラゴニアは、ドアーダ魔法学園小学部1年生のシルフィス・ドラゴニアのお使いサポートをする事になっていた。
シルフィスは買い物リストの入ったメモ用紙を手に持って元気よく歩く。
「ねえ、キラお兄ちゃま!今日は帰ったら何食べたいです??」
シルフィスの何気ない一言に対して、兄であるキラグンター・ドラゴニアははにかみながら答える。
「別に何でもいいよ、シルフィの好きなものを作ろうか?……」
それを聞いたシルフィスは頬を膨らませながら文句を言う。
「もう!兄ちゃまったらいっつもそうじゃん!たまにはちゃんと考えて答えて欲しいです!!」
「あはは、ごめんごめん
……」
そんな会話を交わしつつ歩いているうちに目的地に到着したようだ。
そこは大きなショッピングモール並の大きさを誇る学園の購買部だった。
その一角にある玩具売場前に到着する。
店内に入るとたくさんの可愛いお人形、が並んでいるのが見えたので目を輝かせていた。
そんな様子を見かねたのか、キラグンターは妹の手を引いて店の奥へ進むことにしたようだった……。
彼らの目の前に現れたのは伝説の超有名アニメ『魔法少女プリティア』に登場するキャラクター達だったのだ……!!
どのお人形も、アニメを見事に再現したクオリティーの高い逸品達だった。
1番くじの景品として作られたぬいぐるみは、全高約40cmのビッグサイズで迫力満点だ……!
さらに、ガチャポンマシンからは次々と出てくるカプセルの中には様々な種類のフィギュアが入っており、中には限定販売のものまで取り揃えられているではないか!!
これはテンションが上がるというものだ。
「きゃーっ♡かわいいですぅ♡」思わず声が出てしまうほど魅力的な光景であった……。
興奮冷めやらぬまま、次はお菓子売り場に向かうことになったのだがここで問題が発生したのである……!
なんと、棚に陳列されている商品がどれもこれも美味しそうに見えるのだ……!我慢出来ずについつい手を伸ばしてしまいそうになる衝動に駆られる……。
だがしかし!今は任務の最中である事を思い出し、ぐっと堪える事にした。
「こ、こら!ダメだぞ、シルフィ!こんなところでつまみ食いなんてしたら……!」
慌てて注意するが時すでに遅し……。
「もぐもぐ……♡おいしいです〜♡♡」
案の定、妹は既に食べていた。
それも両手でしっかりと抱え込むほどの量を平らげてしまっていたのだから驚きである。
まったくしょうがない妹だなと思いつつも、微笑ましく見守ることにする。
その後も色々な店を回ってみたが結局おもちゃは何も買わずに終わってしまったのだった。
まあでも楽しい時間を過ごせたので良しとしようかなと思うキラグンターなのであった。
3人が次に向かった先はフードコートと呼ばれる場所であり、ここでは軽食類を中心に販売しているお店がいくつか並んでいた。
その中でも特に人気があるメニューがあったようで行列が出来ていたので並んで購入することにしたらしい。
注文を受けた店員は手際良く調理を始めると数分もしない内に出来上がった料理を手渡してきた。
どうやら人気ナンバーワンのハンバーガーセットだったようだ。
受け取った瞬間から香ばしい匂いが漂ってきて食欲を刺激する。
さっそく一口食べる事にすると口の中に広がる肉汁たっぷりのジューシーなお肉の旨味を堪能しながら飲み込んだ後すぐに次の一切れを口に運んだところ、今度はシャキッとした野菜の食感と共に爽やかな風味が広がりとても美味かった。
そして極めつけには特製ソースとやらをかけてみるとこれがまた絶品でたまらなかったのであっという間に完食してしまったのである。
(あぁ……美味しかったなぁ)満足そうな表情を浮かべるキラグンターであったがそんな彼の様子を訝しげに見ていた人物がいた……その人物は乂羅刹である……彼女は彼の事をずっと監視していたのだ。
彼女は一体何者なのか……?なぜここに来たのだろうか……?疑問が次々と湧いてくる中で、彼女の方からこちらに話しかけてきた。
「ちょっといいかな、そこのお兄さん……?」
「ん?ボクのことかい?」突然話しかけられたことに驚いた様子を見せながらも返事をする
無理もないだろう……。
「あ、テメーは乂羅刹!なんのようだ?この前の決闘の決着をつけに来たのか!?」
キラグンターの恋人…いや、妻のスフィンクスが鼻息荒く叫ぶ。
「いや、そんな意図は無い。スフィー落ち着いて欲しい。私はお前の敵じゃない。なによりお前は今妊活中だろ?暴れたり怒ったりするのを控えなさい。シルフィスちゃんも貴方のことをみてるわよ?あなたはお母さんになるのだから穏やかに構えなきゃ」
意外なことに乂羅刹は穏やかにスフィンクスを説得する。
まるで母親のような面差しで
その面差しにスフィンクスの鼻息の荒さが鳴りをひそめる。
そして何か照れ隠しでもするかのように自分の髪をいじり出した。
羅刹はそんな様子をみて微笑むと、再び口を開く。
「今日は少し話をしに来ただけだ……。」
と言うと同時に視線をキラグンターに向ける。
その視線にはどこか優しさを感じさせるものがあった……。
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↑イメージリール




