乂阿戦記4 第一章 蒼の魔法少女狗鬼絵里洲の子守騒動-5 子守勝負にかこつけリア充達はデートを楽しむ
(なるほど、この二人なら戦闘力的にも、あのパワフル幼女の子守は申し分ないだろうな……)
獅鳳のイケメンオーラに若干たじろぎつつも、アキンドはなんとか平静を装い、会話を続けることにした。
ここは一つ情報収集だ。
会話で探りを入れて、相手の出方を見てみよう。
よし、まずは無難な話題から攻めよう。
当たり障りのないところから……うん、決めたぞ!
さあ行くぜ、勇気を出してレッツゴォォォーーーッ!!!
「二人とも、ゲーセンの景品えらいガッポリ持ってるな。さては子守ミッションにかこつけてデートしてたな?」
「「え!? い、いや、ち、違うってば!! か、勘違いしないで!!」」
顔を真っ赤にして慌てる二人。
そんな姿を見たアキンドは、さらに畳みかけた!
「お前もか獅鳳……やっぱり魂の双子・雷音と同じロリコンだったのか!?」
「小学生に手ェ出すとはどういう了見だ!イケメンなら許されると思ってんのかコラァ!」
「悟りを開いた風に見せて……ロリコン“悟リ”ってか!?」
「悟リって……おい、まさか“悟り=小五ロリ”って意味かァァァ!?」
「吐け吐け吐け吐けェッ!!雷華ちゃんとはどこまで行った!? チューか!? 抱き枕か!? 羨ましいぃぃぃぃッッッ!!」
「こっちはお猿の知能しかないダメダメ絵里洲のお守り係なんだぞオオオオオ!!!」
「あ、あの、アキンド君……今の失言、ヤバいよ……後ろ、後ろ……」
ハッ!? 殺気……殺気を感じるだとおおおおおおッ!??
あああぁああああああああああああッッッ!!!!!!
振り向いたその先―― 青筋ブチ切れの絵里洲。
(あ……死んだな、俺)
彼女はすでに、超高威力の水魔法「ウォーターブレインバースト・デルタなんちゃらver2.1(仮)」を詠唱完了していた。
「誰がお猿のダメダメ絵里洲だってぇえええええ!?!?!?」
ごぶしゃあああああああああああッ!!!!!
しまったァァァァァァアアアアアア!!!
やっちまった!!! またしても本音が出ちまったァァァァッッ!!!
もうダメだ!終わった!!終わったああああああああああ!!!!
――その日、とある魔法学園にて、一人の少年が血の海に沈んだとか、沈まなかったとか。
~数分後~
ふう……危うく死ぬところだったぜ。
いや、マジで! 本気で! 間一髪で雷華ちゃんが防御結界を張って、獅鳳が絵里洲をなだめてくれなかったら、本当にあの世行きだったかもしれない。
いやぁ~命あっての物種ですわ。やれやれ助かったぜ……。
ま、それはそれとしてだ。
気を取り直して子守試験の続行といこうじゃないか!
まだまだ先は長いんだからな!
しっかり気を引き締めていこうじゃないか諸君!!!
では競技に参ろう。
――購買部だ!!
そう、購買部に行って、子供たちに渡したメモの品を買わせて、お使いイベントを完遂させるのだ!
購買部につくと先客がいた。
なんとソレは赤ん坊を抱っこした神羅と荷物を持つオームだった。
「あら、あなた達も来たのね?奇遇じゃない!」
「あ、あぁ……そうだな(汗)」
「こんにちはフレア、それにレッド先輩、それにアキンド達も」
「ああ、お前たちも買い物か?俺たちもだ」
「へえ、そうなんですか……」
オームがレッドとたわいの無い会話をしていると、神羅がなにやら赤ちゃんに話しかけ始めた。
「ほーらベイビーちゃん♪オモチャを買ってあげるよぉ〜」
すると赤ちゃんが嬉しそうにキャッキャッと笑い出した。
「きゃっきゃ♪」
「ふふ、可愛いわね♡よしよし♡」
(うーん、確かに可愛らしいが、ちょっと甘やかしすぎじゃないのか……?いや、ソレよりもだ)
アキンド、絵里洲、フレアが一斉に赤子に指をさしてたずねる。
(……いや、ちょっと待て。あれ……赤ちゃんだよな?)
(しかも神羅が抱っこして、オームが荷物持ってて……え? え? えぇ!?)
(ど、どういう状況!? おいこれ……まさか……ガチの……!?)
「ちょっと待って!? 赤ちゃん!? 中1で赤ちゃんなの!??」
思わず叫ぶアキンドたち。3人は顔を見合わせると――
「「「二人とも一体いつの間に赤ちゃんなんか作ったの!? 中1でしょう!! 早すぎるよ!!!」」」
3人は声をそろえて叫ぶように言った
…………神羅とオームは呆然となり、しばらくしてキョトンとしていたが、慌てふためいて言い返してきた……!
「……な、何を言っているのみんな……?この子は私達の子供ではなく……」
「そ、そうだぞ!この子は僕達の子じゃなくて……」
「じゃあ何なのよ?まさか子作りしてもなかなか子供が出来ないから誘拐してきたんじゃ……?
絵里洲の言葉に二人が凍りつく……
なんでそんな発想に至れるんだと呆れている。
そして冷や汗をかきながら弁解し始めた。
「ち、違うわよ!!そもそも私たち子作りなんかしてないし!!」
「そ、そうだ!!僕達はただこの子を預かっているだけだ!!」
「預かるぅ?どういうことなの?」
アキンドが尋ねると神羅達は呆れた風に答えた。
「……この子はアカデミア学園側で参加してる子供に決まってるじゃない!」
「あーなるほどねー」
納得したように頷く三人に対し、レッドだけは違った反応をした。
「おいおい……その子おねしょしてるぞ? かぶれる前に早くオムツを取り換えてやれ」
「えっ!?ウソっ!?本当だわ!ど、どうしよう……!」
慌てて狼狽える神羅を見て、フレアとレッドが呆れたように言う。
「まったくだらしない……世話役のくせに赤ん坊の世話もできないのか?」
「そうだぜ!神羅それでその子のお母さんが務まると思っているわけ?情けないったらありゃしない!」
「う、うるさいわね!誰がお母さんよ!仕方ないでしょ!赤ちゃんの子守は経験少ないんだからぁ~!」
そんなやりとりをしている最中、ふと思い出したかのようにオームが言う。
「……そういえば、さっき聞いた話なんだけど、なんでもこのお使いイベントで最後までクリア出来た生徒は、報酬として好きな幼児向けグッズを手に入れられるらしいぞ」
「ええっ!!ほんとぉ~??わぁい♪やったぁー☆ニカとシルフィスが喜ぶぞー!」
喜ぶフレアとは対照的に、絵里洲やアキンドは不満気な表情を見せた。
「えぇ……そ、そんなの聞いてないわよ。ズルくない?」
「うーわ……俺も知らなかったぞ? ゲームソフトとかなら命かけてでもやったのによ……育児グッズって、俺の人生と全然噛み合ってねぇ……!」
2人が抗議するも、フレアは知らん顔だ。
「まあいいじゃないか。早くクリアしてチビ達を喜ばせてやろうぜ~」
と言いながら赤ちゃんのオムツ替えを済ませて、先を急ぐのだった――
https://www.facebook.com/reel/1164875731415440/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
↑イメージリール




