乂阿戦記4 プロローグ ドアーダ魔法学園vsアカデミア学園
第四部 変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女はライバル学園対抗戦に出陣
プロローグ
恐るべき巨竜王との死闘から、数日。
学園の日常は、まるで何事もなかったかのように穏やかに過ぎていく。――だが、その平穏の奥底で、ふと心がざわつく瞬間がある。
神羅、絵里洲、獅鳳の三人は学校の授業を終え帰宅する最中だった。
帰り道が一緒のお隣さん家の雷音もいる。
「ギャラクシー・アカデミー対抗試合が?」
「うん、それ何?」
「簡単に言うなら、俺たちドアーダ魔法学園のライバル校であるアカデミア学園と年に1度行う親善試合だよ」
銀河連邦アカデミア学園は全寮制の全学科カリキュラムによる総合エリート養成機関であり全宇宙の魔法、科学、超人学校の最高峰に位置する名門中の名門だ。
そんな本校に対抗する形で存在する私立学園こそ他ならぬ俺達が通っているこの『ドアーダ魔法学園』なのである。
元々両校は創立者ガープ・ドアーダとウィウィヴァ・ホーンの二人が、犬猿の仲であったことから、反目しあい続けて来た歴史を持つ。
両校の溝の深さはもはや並大抵ではなく、一触即発状態が続いているのだ。
だからこそ対抗試合を通し、ライバル関係を続けていく中で、互いに実力を認め合うことが出来ればそれはお互いにとって益となることは間違いないのだが……残念ながらそうはなってないようだ。
今回のことの起こりは、ガープとウィウィヴァにとって孫娘同然である少女、峰場アテナの取り合いが端を発していた。
もともとアカデミア学園出身だったアテナの母メティムが、親愛なるじいやウィウィヴァにポロリと失言を漏らしてしまったのがいけなかった。
「あーあ、どうせならウチのアテナちゃんには魔法の勉強じゃなくて、私と同じ科学の勉強をさせたかったかも……」
ほんの何気ないその一言にアカデミア学園理事長ウィウィヴァに火がついた。
彼はその後、魔法学園理事長ガープに即座に連絡を入れた。
「おいガープ。アテナちゃまはワシのアカデミア学園で預かることにするぞい」
そしてそれに反論したのが祖父のガープであった。
孫のことに関しては一歩も引かない頑固親父として有名な彼である。
即座に言い返したのだ。
「何を言っておるんじゃバカモン!!うちの可愛いアテナちゃんがあんなモヤシ頭でっかちの学校になんぞやれるものか!!」
「なんじゃとこの前時代の骨董品じじいが!魔法なんて古臭い技術がアテナちゃまの将来に役立つだなんて、本気で思っとるのか!?」
「言ったなあ!このクソジジイ!」
こうして双方の主張は全く噛み合わないないまま、不毛な時間だけが過ぎていったのである。
その結果ついに今回の対抗戦において白黒つけようじゃないかという話になったらしい。
それが今日の朝礼前の担任タット先生の話の内容だったのだ。
(なるほどねえ〜そういう経緯があったのか……)
絵里洲は話を聞きながら思わず
「あの爺さん二人マジで自重しろ……」
と呆れてしまった。
いや確かにね?記憶ではアテナちゃんのお母さんメティムさんはアカデミア学園の優秀な卒業生だったらしいよ?
でもね!?
今現在は現役バリバリのエキドナの魔法女神でしょーが!
しかもここでアテナちゃんを手放したらもう魔法学園に戻ってこないのよ!?
いくらなんでもそりゃ無いでしょうよ……
「はぁ……」
絵里洲がため息をつく横で、今度は雷音が口を開く。
「……それで具体的には何をするんだ?」
その質問には絵里洲が答えた。
「えーと基本的には各校お互いの代表選手同士で戦って勝ち負けを決めるみたいね。あとは事前に決められたルールの中で戦うって感じみたいよ」
そこまで聞いて俺も疑問をぶつけてみることにした。
「へぇ、じゃあ勝敗によって何か景品とか出るんか?」
その言葉に答えるように神羅が答えてくれた。
「うん、まあ色々とあるわけだけど、まずは優勝者への賞品。これは毎年変わるんだけど今年はコレ!」
そう言って一枚の紙を取り出した。そこには大きな文字で『勝者へ贈られるもの』と書かれている。その内容は次の通りだった。
1、副賞として一年間、アルテミス女学園の生徒として好きな時に通うことが出来る権利 (男子も可)
2、勝った側が負けた側に対し一つ言うことを聞いてもらえる権利 (ただし常識の範囲内)
3、勝った側は敗者側の代表1名を生徒会役員に任命する権利 (無理にしなくても可)
4、敗けた側は相手の言うことをなんでも聞く (ただし常識の範囲内)
5、その他要望があれば可能な限り検討します
以上の内容で問題ない場合は署名欄にサインしてください。以上です!』
「……って、これほぼ罰ゲームじゃねぇかああぁっ!!」
雷音は絶叫した。だが、誰だってそうなる。
なんで爺様どもの老害バトルに、学生の俺らが付き合わされなきゃならねぇんだ……!?
雷音はため息をつく。
(……ったくよぉ)
まあ、これも社会勉強か。
それにしても、だ。
「……ガープの爺ちゃん達って馬鹿じゃねぇの?」
「うっさい! 黙れ小僧!」
帰宅途中、狗鬼家に立ち寄った雷音は、たまたま狗鬼家で出くわした魔法学園理事長ガープに、ド直球で今回の対抗試合の事を突っ込んだ。
そして当然ながら頭をゴツんとしばかれた。
「痛てぇ……何すんだよ!」
抗議するが相手はどこ吹く風といった様子で聞き流している様子であったので仕方なく諦める事にしたのだが──問題はここから先なのである。
それはなぜかと言うと……。
っ!?ふざけんなぁあぁっ!
なんで俺が対抗戦選抜メンバーにエントリーされてるわけ?
俺自慢じゃ無いけど体育以外の成績はからっきしだよ!?
そう叫びたかったが残念ながら声に出すことは出来なかった。
だって怖いもん。
ガープ爺ちゃん俺より格段に強い達人だし……
しかし、そんな様子の雷音に構わず目の前の老人は話を続ける。
どうやらこちらの意見を聞くつもりはないらしい。
そんな態度に腹を立てつつも話を聞くことにする。
一応この爺さんはウチの親戚筋で、偉い人で、大伯父なのだ。
敬老精神上無視するのもどうかと思ったからだ。
「なんじゃ、文句があるのか?」
「いや、そりゃありまくりですよ」
即答すると、さらに捲し立てるように文句を言われた。
正直言って勘弁して欲しい。
俺はただ単に事実を言っただけなのに何故こんな目に遭わなければならないのか……理不尽すぎる。
「大体なぁ、儂らはこの戦いに勝たねばウィウィヴァのクソジジイに可愛い孫を持っていかれてしまうんじゃぞ?何を言っとるか貴様は!?」
ああ言えばこう言うとはまさにこの事かと思うくらい口が減らないジジイだこと……まぁそれはそれとして今は置いといて本題に入るとしよう。
「えーと、対戦はお互いの学園から預かり保育園から高等クラスまで50人の代表を選出して、五つの種目を競って
勝者を決めるんですよね」
雷音は競技内容を確認した。
「えーっと確か最初は1.知力のテスト勝負、2.音楽の歌勝負、3.仁徳の子守り勝負、4.体力のサバゲー勝負、5.総合力の巨大ロボバトル勝負をして得点を稼ぐんだっけかな?……それから最後に総合順位が高い方が勝ちっていうシンプルなルールなんだよね、うん知ってる。それくらいは流石に覚えてますよ! はいはいはいはーい!! よし大丈夫だ。これで問題はないはずだっ!!…………多分だけどな!」
かくして――雷音を筆頭に、ドアーダ魔法学園の(超)問題児軍団は、問答無用で対抗戦にブチ込まれることになった。
かくしてドアーダ魔法学園vs大銀河アカデミア学園の仁義なき対抗戦が始まるのであった。
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