乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-17 決着の刻来たる!
一方、阿門達から離れたところにいたリーン・アシュレイもまた神羅達の歌声に魅了されていた。
「懐かしい歌だ……この美しい声は……?……ユキル?」
それはまさに天使の歌声だった!
聞くものすべてを虜にする天上の音楽……いや至上の音楽と言ってもいいだろう。
十二人の魔法少女達……否、最強でQ極のZ対無敵アイドル達が歌う、その歌は解放の歌だった。
そう、それは巨竜王の支配を打ち砕く自由の歌。
それはまさしく自我の目覚めを導く人を解き放つ歌であった。
その歌声はどこまでも力強く、それでいて美しく響いた。
その美しさのあまり巨人達は戦意を喪失し、膝をついてしまい、人の心を取り戻し、人間の姿に戻っていく。
……だがそれでもなおナイアは戦おうとしていた。
「負けない!ユキル、お前には!」
だがそんなナイアをリーンがテレパシーを送り引き止める。
「……ニャルラ、今は“勝つ”時ではない。“生き延びる”時だ。作戦は予定通り成功した。ケイオスマテリアルは無事にわが手に入った。ここで退かなければ、全てが水泡に帰す。……聞け、これは命令だ。」と。
「ハハッ! 我が主、御身の仰せのままに!」
その言葉に我に返ったナイアは慌てて転移魔法でその場から姿を消したのだった。
こうして本陣での戦闘は終わったのである。
………………
残る敵は巨人達の王ケイオステュポーン
ただひとりとなった。
しかし彼の力は強大無比であり、その力はもはや人知を超えている。
果たして戦いの運命は如何に?
エトナ火山にあるオリンポス研究所ではセオスアポロがケイオステュポーンの到来を待ち構えていた。
彼はケイオステュポーンを確実に消し去る準備をしていたのだった。
そんな折、突然通信が入ったので応対する。
相手は何と意外な人物だった!
「久しぶりだな。セオスアポロ」
「……フン久しぶりだな、、ラスヴェード、いや、今は乂羅刹だったな」
「もうじき私たちの誘導でケイオステュポーンがそこに到着する。さっさとそこから立ち退くことをお勧めするぞ?もしそうしないのであれば、たとえお前といえどケイオステュポーンの下敷きだ」
「ふん、いいだろう。今回は大人しく退かせてもらうとしよう」そう言ってセオスアポロは去っていった。
去り際セオスアポロは後ろに向かって声をかける。
「では親父殿、後は任せたぞ? 巨竜王には氷像同然に封印されて相当鬱憤が溜まっているだろ? 目一杯仕返ししてやればいいさ……ク、クク、クハハハハハハハハ!!ハッハハハハハハ!!!ハーッハハハハハハハハ!!!!」
セオスアポロが去り研究所は無人と化した。
………いや、思考も行動も出来ぬが研究所には一人だけ人影が残っている。
6年前の第三次ギガントマキナーで凍結封印されたままのオリンポス主神、雷帝デウスカエサルである!
今、この時、世界の命運を賭けた最後の作戦が始まる!!
「ハアハア、遂にここまで来たか」
クトゥグァ機がオリンポス研究所の前に降り立つ。
リーン・アシュレイのおかげでかなり弱体化したとは言え、ケイオステュポーンのスペックは非常に高く、ここに来るまでの間にアーレスタロス機、ケルビムべロス機、ロート・ジークフリード機の3体が撃破されていた。
無論、3機ともむざむざやられたわけではない。
彼らは、相打ち同然の特攻で、ケイオステュポーンに手痛いダメージを与えていた。
それぞれがケイオステュポーンの六本の腕の内四本をもぎとり、片目を潰し、両翼をへし折っている。
時を少し遡り、その様子をここに記そう。
リーン・アシュレイに腹への一撃を受けて以来ケイオステュポーンはただの獣に成り果てていた。
格闘ゲームに例えるなら強力な必殺技をただ無思慮に放つだけのガードもコンボも使えない頭の悪い戦い方をするようになった。
あの恐るべき熟練の防御スキルのいっさいが失われていたのだ!
だから機械神達の攻撃が面白いほど通った。
まずはレッド、フレアが騎乗するロート・ジークフリード機
(ようやくこちらの技を食らうようになったとは言え、ケイオステュポーンの猛攻が脅威などは変わらない。このままじゃまずい……こうなったらイチかバチかやるしかねえ!!次はスリーピングシープ戦の時のような失敗はしない!!)
「フレア!ビーストモードを仕掛ける!力を貸してくれ!!」
「了解だ兄貴!!」
覚悟を決めレッドは操縦桿を握り、フレアはレッドの覚悟に呼応する。
レッドが手に力を込めると、残された力を振り絞るように闘気を機械神に込めた。
その瞬間、突然ヤマンソスドゥヴェルク……否、ロート・ジークフリード機の目が赤く輝いたかと思うと全身から眩いばかりの光を放ち始めたのだ!
「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」
雄叫びを上げながら一気に加速すると、猛然と敵に向かっていく紅い機械神
その動きはまるで獣のようであった。
「何なんだあの速さは!?まるで野獣じゃないか!!」
あまりのスピードに驚愕する狗鬼漢児。
ケイオステュポーンに向かって容赦なく斬りかかる紅い機械神
その一撃は凄まじく、一撃で敵機の右肩を破壊してみせたほどだった。
しかしそれで終わりではない。
続いて左脇腹を狙って横薙ぎの一閃を浴びせる。
それでも倒すには至らないが、諦めることなく連続して斬撃を浴びせ続けるレッドであったのだが、次第に息が上がってきてしまっていたようで動きが鈍くなり始めていた。
獣のような動きを誇るビーストモードは短時間しか運用できない。
六本の腕の内、サブで運用する4本の腕を切りを落とすことに成功する!
制限時間を過ぎ膝をつく紅き機械神
ロート・ジークフリード機はもはや動けない。
怒りくるったケイオステュポーンが必殺奥義アルティメットクラッシャアタックルで突撃してくる。
だが、その必殺奥義が当たることなくレッドの機体は戦場から姿を消した。
アキンドがアポートで本陣に退避させたのだ。
必殺技の空振りで体勢を崩し地面に膝をつく巨竜王
「鮫島の嬢ちゃん!俺の無謀に付き合ってくれるか!?」
「もちろんです漢児先輩!!」
狗鬼漢児、鮫島アクアが駆るアーレスタロス機が真っ向からケイオステュポーンに向かっていく!
敵が放つ無数のフリッカージャブをすり抜けるように躱しながら間合いを詰めていき、ついに懐に飛び込んだ瞬間、全身の力を使い刀を振り抜く!
「神聖天空秘剣『破邪・爆発』!!」
斬ッ!!!
巨竜王の翼が千切れ飛ぶ!
だがそれでもこの恐るべき巨竜王は止まらない。
「ブルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ケイオステュポーンは怒りの咆哮を上げアルティメットヴォールを生成しアーレスタロスに叩き込む!
アーレスタロスが大破爆発を起こす前に狗鬼漢児はアクアを抱えコックピットから脱出する。
アーレスタロス機から飛び出した漢児達をアキンドがアポートで回収する。
「「巨竜王おおおおおおお!!」」
羅漢、羅刹が搭乗するケルビムべロス機が大剣を構えケイオステュポーンの頭部に切り掛かった!
その一撃は巨竜王の片目を潰すことに成功した。
だがなんと言うことか!
巨竜王の両手はケルビムべロスの胴を貫き、中から羅漢、羅刹の2人を握りしめ引きずり出していた!
「ぐうう!」
「あああ!」
苦悶の声を上げる羅漢と羅刹
ケイオステュポーンが2人を握り潰そうとした時、羅刹が叫んだ。
「クソ親父ーーーーーーーー!!!」
何故だろうか?
その叫びでケイオステュポーンの動きが止まった。
ケイオステュポーンは手の中にいる前世の我が娘を無機質に見つめている。
獣同然の思考の中、トドメを刺すことなく、ただ固まったように羅刹を見ていた。
(何故トドメを刺さない?まさかこの外道に親子の情が残ってるとでも? は、ありえない! あり得てたまるものか!!)
羅刹は心の中で、そう毒づき気を失う。
羅漢がケイオステュポーンの手のひらから抜け出し、羅刹を救出して抱き抱えながら宙を飛んだ。
羅漢、羅刹をすかさずアキンドがアポートで本陣に手繰り寄せる。
かくして3機の機械神は破れ去る。
羅漢、羅刹、狗鬼漢児、レッド
彼らにはまだ劣るがフレアとアクアもいた。
だがそれでも、当代最高峰の若手実力者がこれほど揃ってなおケイオステュポーンは止められなかった!
残ったのは雷音とミリルが乗るクトゥグァ機のみ
正直言って機体性能だけなら最強だが、先にやられた三体に比べ未熟な雷音達が乗るこのクトゥグァ機が1番弱かった。
それが故、最後まで見過ごされていたとも言える。
他の3機と比べ、なすすべなくやられるであろうことが現状だ。
しかしそれでも三機の奮戦のおかげで、ここまで、オリンポス研究所の近くまで辿り着くことが出来たのだ。
もう、後には引けない!
「ブルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
怒れる咆哮をあげ、60メートルのケイオステュポーンが20メートルのクトゥグァ機を破壊せしめんと詰め寄ってくる。
ボロボロになっても巨竜王の脅威はいまだ天井しらずだ。
さすがに怖いのか後部カプセルのミリルが雷音に抱きついてきた。
恐怖から震えているのがわかる。
それはそうだろう。
いくら魔法少女の訓練で鍛えられているとはいえ、実際に命を賭けて闘うとなるとやはり違うのだろう。
「大丈夫だミリル、俺がついている」と彼女を安心させるように語りかける雷音だったが、内心は自分もかなりビビっていた。
まるで蛇ににらまれたカエルだ・・・
こちらを睨むケイオステュポーンの目が訴えていた。
『軟弱者は消えうせろ!死ぬかぁ!?消えるかぁ!!それとも土下座してでも生き延びるのかぁ!?』
ゴクリと思わず唾を飲む。
ああ、そうさ、俺はお前が怖い!
お前はやばい奴だって肌身でわかる!!
だがそれでも!!!
逃げてたまるかよ!!!!
俺はお前よりもっと怖い世界最強の漢、乂阿烈に鍛えられた勇者様だ!!!!!
(タイミング勝負だ! 頼むぜ。…………アキンド!!)
雌雄を決するときが来た!
巨竜王が両手を前に突き出しフワッと宙に浮かぶ!
大咆哮が轟き、そして錐揉み回転で突進してくる!
「ブルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ケイオステュポーンの必殺奥義アルティメットクラッシャアタックル!!
(来たっ!!)
クトゥグァ機は大剣形態の魔剣クトゥグァを盾のように構え受け止める体勢を取る!
(ここで受けそこねたらおしまいだ!なら、防御の力をタックルを受けてる部分に1点集中!!)
2つの強大な力がぶつかり合い拮抗する。
だが徐々に押し込まれていく。
(ぐっ、やっぱり無理なのか!? いやまだだ、諦めるにはまだ早い!アキンド〜〜〜まだかああああ!!?)
「今だ! アポートーーーーー!!!!」
アルゴー号にて雷音の親友アキンドがモニターに写っているクトゥグァ機に向けてアポート能力を発動する。
クトゥグァ機がオリンポス研究所前からアルゴー号のそばに転移してくる。
勢い余ったケイオステュポーンの必殺奥義はオリンポス研究所に直撃する。
だがそれこそが作戦通りのトラップである。
そう、巨竜王の渾身の一撃は、その中に佇んでいる雷帝デウスカエサルに直撃してしまったのだ。
そして雷帝デウスカエサルの技が発動された。
オリンポスを拳の力でまとめ上げた雷帝デウスカエサルの超奥義が炸裂する。
『神聖天空拳超奥義 当身返死雷霆門!!』
ケイオステュポーンはデウスカエサルに触れた直後に投げ飛ばされ、ワンバウンドして宙に浮かぶ。
宙に浮かんだ巨竜王目掛け雷帝が宇宙を揺るがす雷撃を放つ!
喰らってはいけない神の雷をモロに喰らってしまう!
「ブルグアアアアアアアアアァァァァァアアアアアアアアああああ……!!」
虚空に巨竜王の断末魔の叫び声が轟く!
弱体化した今のケイオステュポーンにこの究極ともいえる奥義に耐える体力は残っていなかった。
オリンポス最強の雷帝神が放つ雷霆の一撃により、ついに最強の巨人王が消し炭となる!!!
その光景を見たミリルは興奮していた。
「す、すごい!あの巨竜王を倒しちゃったのだ………!?」
確かにこれは凄い。
しかし雷音は別のことを考えていた。
(え?あれ?デウスカエサルって6年前の戦争で凍結封印されたままじゃなかったのか?……)
いろいろ疑問が残ったが、とりあえずまあ勝てたから、まぁよしとしよう……
それよりも疲れた。
どうしようもなく疲れた。
もうダメだ。
眠たい。
――ああ、終わったんだ。
もう、戦わなくていい。
勝ったのに、心は何か満たされず、ただ、ぬくもりを求めていた。
ミリルの柔らかな香りに包まれた瞬間、全身の力が抜けていく。
「ひゃうっ!? ら、雷音……?」
安堵と共に意識は闇に沈んだ。
それはまるで、長い悪夢から解き放たれた子供のように――。
雷音達とは違う場所では、ロキが雷音と同じ疑問を抱いてリーンに説明を求めていた。
「あぁ、確かに雷帝は凍結封印され、思考することも行動することもできない。だが凍結封印ごときじゃ彼から闘争を奪い去る事はできないんだよ。6年前凍結封印に成功したアングがなぜデウスカエサルにトドメを刺さなかったかわかるかい? 彼は封印直前にカウンター技を発動していたんだ。雷帝は喰らった攻撃を倍返しで弾き返すカウンター技の名手。雷帝の時間を止め、雷帝を殺そうとしたヨグソトースも彼のカウンター技により6つに引き裂かれた。だから凍結封印後、誰も彼を傷つけることができなかったのさ」
「なるほど、つまりその特性を利用すれば……」
「そうだね、今見た通りカウンター奥義が発動し、ケイオステュポーンを倒せる。」
「……だからといって自分の親をトラップに利用するかあ? 全くとんでもない奴だなあ。あのセオスアポロは!」
ロキの言葉にリーン・アシュレイも苦笑した。
ともあれこうして戦いは終わった……
地球は巨人たちの脅威から救われたのである!!
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