乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-6 復活!ケイオステュポーン
スパルタクスに恐れをなしたナイアは、もうとっくに逃げて姿を消している。
残る敵はアーレスタロスに化けた鏡の巨人だけである。
狗鬼漢児は仲間達を手で制し偽アーレスタロスに向かいあう。
男、狗鬼漢児は偽物に対し1対1でケリをつけるつもりのようだ。
そしておもむろに構えを取ると、全身全霊の力を込めて突進し、渾身の一撃を偽アーレスタローに叩き込んだ!
ガキンという音と共に、まるで巨大な鉄球同士がぶつかったかのような衝撃波が周囲に広がる。
だが流石はアーレスタロスと全く同じ姿と実力に変化してるだけあって、全くダメージを受けているようには見えない。むしろ生身の人間のパイロットがいる本物の方が、操縦者が痺れた手をブラブラしている有様だ。
「くそ、俺の機体と同じでやっぱり硬ぇなぁ……。けどまあ、おい、みんな、コイツは俺が1人でやっつけるから手を出すなよ。スパルタクスさんが見せてくれた技を参考にやってみたいことがあるんだ!!」
漢児はそう言って、再び偽アーレスタロスに立ち向かった!
今度は先ほどのように正面からではなく、瞬歩無拍子で背後に回り込み、背骨にそって一気に駆け抜けるようにして斬撃を浴びせる。
当然、背中を斬りつけられるわけだが、相手は装甲が厚い上に素早く前方に移動したらしく、ダメージはあまりないようだった。
だがそれでいいのだ。
何故ならこれはあくまで陽動だからである。
漢児は体を回転させる勢いを利用しつつ、刀を下から上に振り上げると同時に飛び上がり、空中で刀を両手持ちに持ち変えると、さらにそこから落下速度を利用して脳天に向けて斬撃を放つ!
狙い通り相手の額を貫くことに成功するものの、やはり大したダメージにはならなかったようで、すぐに反撃してきたため慌てて距離を取った。
その後も様々な角度から攻撃を加えていくのだが、どれも決定打にはならず、逆に敵の猛攻にさらされる羽目になってしまった。
それでも何とか致命傷を避け続けているうちにだんだんと目が慣れてきたのか、敵の攻撃パターンが何となく読めるようになってきた気がする。
自分の分身だから、ある意味読みやすいのだろう。
(よし、行ける!)
漢児はそう思うと、あえて敵に真っ向勝負を挑むことにした。
敵が放つ無数の斬撃をすり抜けるように躱しながら間合いを詰めていき、ついに懐に飛び込んだ瞬間、全身の力を使い刀を振り抜いた!
「神聖天空秘剣『破邪・爆発』!!」
斬ッ!!!
確かな手応えと共に、肉を断つ嫌な感触が伝わってくる。
見ると、胸から腹にかけて大きく斬られた状態で、よろめくように後退していく偽アーレスタロスの姿があった。
偽アーレスタロスは元の鏡の巨人の姿に戻ると爆発して消え去った。
「ウッシャー!」
狗鬼漢児が雄叫びをあげる。
どうやらうまくいったようだ。
喜びのあまりガッツポーズを決めようとしたその時だった!
突然、轟音とともに足元が大きく揺れ始めたかと思うと、地面から岩でできた巨大な腕が飛び出してきたのだ!
それはそのままアーレスタロスを掴み取ると、地中深く引きずり込んでいってしまった。
「「「!!!?」」」
それと同時に地響きも収まり、周囲には静寂が訪れる……。
雷音はしばらくの間呆然と立ち尽くしていた。
一部始終を見ていたスパルタクスは呆然とした声でつぶやく。
「ば、馬鹿な!復活してしまったのか?ケイオステュポーン!?」
そう、アーレスタロスを地中に引きずり込んだその手は巨竜王ケイオステュポーン本体の腕だったのだ!!しかもその腕は一本ではなかった! 次々と現れた計六本の手はそれぞれ独立して動き出し、残りの勇者たちも地中に引きずりこもうと手を伸ばす。
(まずい!このままだと全員やられるぞ!?)
雷音がそう思った時だった!突如上空から飛来してきた真紅の光が、まるで隕石のように地面に突き刺さり、激しい衝撃と爆風を巻き起こした!
そして次の瞬間、そこには一本の槍が深々と刺さっていたのだった!
そしてそのそばの地面からは一本の腕が突き出ている。
機械神アーレスタロスの腕だ。
「……あれは……まさか!!」
そこに現れたのは全身を真っ赤な鎧に身を包んだ竜の如き機械神であった。
彼はゆっくりと立ち上がると、こちらに向かって歩いてきた。
「アーレスタロス、俺以外に不覚を取るなぞ許さんぞ」
そう言うと手を差し伸べてくる。
アーレスタロスがその手を取ると、その赤い竜騎士のロボは地中から彼を引っ張りだし助けあげた。
「ロ、ロート…ジークフリード!!……」
アーレスタロスを助け出したのは、狗鬼漢児の好敵手にして、赤い乂獣機ロート・ジークフリードを駆るレッドであった。
「うおお、すげ〜! レッドの兄ちゃんちゃんと少年漫画のテンプレ通りに『お前は俺が倒す!』ってキャラをやっているよ!」
「おい、兄よ! 戦闘中に何をアホなことを言っている!!」
クトゥグァ機の中で雷華が、わけのわからないことで感動している雷音をたしなめる。
「ああ、すまん、つい興奮してしまって。しかしあの6本腕のドラゴンみたいな奴は一体なんなんだ?」
「うむ、おそらく奴が噂の巨竜王の本体ケイオステュポーンだろう!」
「そうか、ならばとっとと攻め落としてやるぜ!」
そう言って駆け出そうとする狗鬼漢児だったが、すぐに立ち止まることになった。
なぜなら目の前のケイオステュポーンがアーレスタロスの闘志に反応し構えをとったからだ。
「っ!? なんだコイツは! ……上手く言えねーがヤベー! クトゥルフなんざ可愛く見えてくる位やべえ!! 思考力とか感じない無いはずなのに構えに隙がねえ!! ……なんつーか乂阿烈やカオスクトゥルーみたいなヤバさを感じる!!意志がないはずなのに……ただ“戦う”という存在だけが、目の前に立ってるみてえだ……」
「よくぞ気が付きました漢児君。あの巨人こそは幾多の戦場を渡り歩いた百千錬磨の巨竜王の肉体! 魂はなくともその体の細胞一つ一つに闘争の歴史が刻み込まれています。 安易な突撃は死を招くいたでしょう!」
「へっ、たしかに……こうして睨み合ってるだけで、ビリビリと感じやがるぜ! 目の前のアレのヤバさがよう……」
両者は睨み合う形となり膠着状態に陥る。
そんな中、雷音達はその光景を見ながら話し合いをしていた。
「うーん、これはちょっと俺たちだけで手を出すにはきつい相手だな〜」
「そうだな、ここは一旦退くべきか?」
「いや、このまま奴を放置しておけばいずれ世界が滅ぶことになるかもしれんからな」
そんな会話をしていると、不意に声が聞こえてきた。
「まったく情けないですね〜、これだから男はダメなのですよ」
声がしたので通信モニターの方を見るとそこには黄緑の髪を長く伸ばした美しい女性が立っていた。
年齢は二十代前半といったところだろうか?
肌の色は白く顔立ちも整っているため一見すると日本人に見えるが、北欧系の顔立ちだ。
「どうもーはじめましてー♪ うちのフレアちゃんがいつもお世話になっていまーす。私フレアちゃんのママのクリームヒルトといいます☆」
「「お母さん!?」」
「「母ちゃん!?」」
「「母上殿だと!?」」
一同が驚くのも無理はない。
何せ見た目がとても子持ちの母親とは思えない外見だった。
「あーもしかして私がフレアちゃんの母親だなんて信じられない? まあ仕方ないわよね、だって今の私はイサカ先輩に体を貸してもらっている幽霊みたいなもんだから。でも安心していいわよ、私が来たからには戦わずしてケイオステュポーンを黙らせる方法があるんだから!」
そう言って自分の体を指差すクリームヒルトさん。
クリームヒルトさんはさらに続けてこう言った。
「ほら、私の後ろにいる可愛い娘達の歌声を聴きなさい!みんなから溢れる無限のエネルギーこそがこの世界の平和を守る鍵となるのよ!争いを止める力はね、拳じゃなくて――愛を託す“声”なのよ」
そう言われたので後ろを見てみるとそこにはモニターがあり、そのモニターに映っていたのは銀髪ロングヘアの小さな女の子であった。
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