乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-5 ワンパンKO
赤紫の肉塊の巨人 (クレオファゴス ギーガス)
紫の毒の巨人
青い水の巨人 (ヒダティノス ギーガス)
水色の氷の巨人 (パゴス ギーガス)
黄緑の風の巨人
この5体の巨人が合体して生まれた虹の巨人
五体の巨人が咆哮とともに溶け合い、空間が悲鳴を上げる。
焦げるような光が渦巻き、天と地の境界が“毒の虹”に染まった。
――そして現れたのは、属性の理すら塗り替える禁忌の巨影。
虹色の毒嵐巨人。
《アルケイオス・ギーガス》――それは、属性の理を越えた“禁忌の合一”。
あらゆる自然法則の境界を破壊し、生物の理性すら侵す、虹色の災厄だった。
それはただ“美しい”だけだった。
七色に輝く霧が、大気を染め、視界を奪い、理性を狂わせる。
誰もが一瞬、動きを止めた。
異様な“静けさ”が戦場を包む。
――その静寂を最初に破ったのは、怒りの咆哮ではなく、背後からの声だった。
「危ないっ!!」
神羅がその声に反応して振り返ると目の前には偽アーレスタロスの巨大な拳があった。
ユグドラシル機が咄嗟に剣を構えることで直撃は免れたが、衝撃で吹き飛ばされてしまった。
ゴロゴロと地面を転がりようやく止まることが出来たのだが、その時にはもう遅かった。
気がつけば目の前まで迫っていた虹色に輝く巨人の腕が振り上げられていたのだ!
もう駄目だと思った瞬間、突如現れた黄色い壁によって攻撃を防がれたのだ! それはオームの機体ベリアルハスターのサポートだった。
どうやらとっさに魔法盾を展開してくれたらしい。
(ありがとう!)心の中で感謝の言葉を述べると同時に立ち上がると、すぐに体勢を立て直すためその場から離脱した。
すると後ろから声がかかる。
振り向くとそこには先程助けてくれたオームの姿があった。
彼は何も言わずにただ頷くだけだった。それだけで十分伝わった。
今は目の前の敵に集中する時だと理解した神羅は気持ちを切り替えて虹色に輝く敵を見据えた。
一方その頃、別の場所では別の戦闘が起こっていた。
こちらは空中戦を繰り広げており、ナイアが操ってた、赤紫のクレオファゴスが生み出した量産型肉塊巨人の群れを相手に奮戦しているところだ。
「あの赤紫のザコ、ザコだけど分裂して、次から次へと増えていくのが厄介だな!」
中でも特に目を引くのが、無数に生み出されていく触手のような物だろう。
それが本体と繋がっており、そこからさらに増殖を繰り返す性質を持っているらしく、倒しても倒してもキリがない状況に陥っていたのだ。
そんな状況に業を煮やしたのか、雷音が動き出した!
「この数相手じゃ埒が明かねぇ!俺が突っ込むから援護を頼むぜ!!」
そう言って雷音は肉塊巨人の分身達に単身で突っ込んで行く!
慌てて止めようとする者もいたが間に合わない!
あっという間に敵の懐に飛び込むと、そのまま突進していき体当たりをぶちかましたのだ!
雷音は巨人の触手を掴むと、怪力で持ち上げ、そのまま地面に叩きつけた。
一撃、二撃、三撃、四撃――拳が、脚が、肘が、膝が……嵐のように襲いかかる。
無数の肉塊が爆ぜ、血と脂が宙を舞う中、雷音は雄叫びを上げた。
「こっちはなァ……数じゃねぇんだよッ!!」
拳一つで押し返したのは、質量でも戦力でもなく、“魂”だった。
鬼神と化した雷音の咆哮が、戦場の空気すら震わせる。
そして終に肉塊の分身巨人達をすべて平らげたのだった。
そして終に肉塊の分身巨人達をすべて平らげたのだった。
これで残るは2体のみとなった。
あとはこいつらを片付けるだけだと思い、身構えると突然後方から声がしたのだ。
「皆さん!ここは私達に任せてくダサい!」
声の主はもちろん、イブであった。
彼女ともう一人が操るモビーディックラーケンが戦線の前に躍り出た。
立ち向かう相手は合体巨人『虹色の毒嵐』!
その巨大さ故なかなか手こずりそうだ……と思った矢先に事態は一変した!!
空が裂けた。
音もなく、風もなく、ただ“存在そのもの”が天空を貫いた。
降り注いだのは、“神々の裁定”――鋼の氷槍の雨だった。
それはただの攻撃ではない。“氷の勇者”の帰還を告げる、無言の宣戦布告だった。
一瞬後、虹巨人の外殻に無数の白銀の矢が突き立ち、光と霧の爆裂音が戦場を満たす。
これにはたまらず怯んでしまい、隙を晒してしまったところを逃さず攻撃を受けまくる始末だった。
(なんだ!?どこからの攻撃だ?!)
とナイアは驚きながらも、咄嗟に虹巨人に防御魔法を展開して守ることができたのだが……。
その時、彼女の耳に一人の男の声が聞こえてきた。!
その人物は、かつての戦いで人類側に多大な戦勝をもたらした最強の戦士であり、ナイアにとっては今回の戦いにおける最大の障害の一人でもある男だ。
「やあ久しぶりですねナイア殿。元気そうで何よりです。かつての同僚のよしみです。大人しく投降していただけませんか? おとなしく降参していただけるなら処遇については私からサタンに掛け合ってあげますよ?」
そう問いかけた先にいたのは、かつての同僚とも言える男である。
「お前はまさか……なぜ? なぜお前がこんなところに?? うそ、うそよ! あんたが出るなんて、いくらなんでも反則じゃない!!」
パニくるナイアを遮るように男は続けた。
「おや? モビーディックラーケンに私が乗っているのがそんなに不思議ですか? 私は今世の氷の勇者なのでこの機体に乗るのは当たり前のことなのですが……」
ナイアルラトホテップは顔を真っ青にして、その男の名を叫んだ。
「ひいいいい!! ス、スパルタクスーーっ!!?」
あの男が戦場に立つ――それは一軍を上回る戦力が降臨したも同義だった。
ナイアの脳裏をよぎったのは、過去の戦いで“敗北”の文字すら消し飛ばした、あの地獄の光景だった。
その男は限定条件下とはいえ、あのデウスカエサルや巨竜王と互角に戦ってみせたドアダ最強の勇者!
先のクトゥルフ戦争でも邪神副王ヨグソトースと五分に戦ったまさしくドアダ軍最強の将軍、盲目の剣闘王スパルタクスその人であった!!
(こ、こいつが来るなんて聞いてないぞおおおおおおおおおおおお!!!!)と内心絶叫しながら逃走を試みるナイアだった。
「に、虹の巨人……! “終わりの毒虹”を放って……この戦場ごと吹き飛ばしなさいッ!! 私は……私はまだ死ねないのよおおお!!」
そう言って彼女は自らの召喚下である虹の巨人に命令を下した。
それを聞いた虹巨人は頷くと、体から強烈な閃光を放ちながら毒嵐の爆発を起こした。
それはまさしく超新星の如き威力を持っており、周囲一帯を吹き飛ばすほどの破壊力を持っている。
そんな毒嵐を纏いながら虹巨人がスパルタクスが搭乗するモビーディックラーケンに掴みかかろうとする。
だがそんな捨て身の攻撃を読んでいたかのように、彼は愛機を操作し華麗に回避するとそのまま上昇していく。
そして偽アーレスタロスと戦っている狗鬼漢児に向けアドバイスを告げた。
「漢児君、今から私は神聖天空拳の奥義でこの虹巨人を倒します! 今から私が繰り出す奥義を目に焼き付けておいてください! 貴方は幼い頃より母ユノ殿から神聖天空拳の基礎を叩き込まれている! 一度目に焼き付ければ、遠からずこの奥義を習得できるでしょう! この技はあなたのこれからの戦いにきっと役立つはずです! これからお見せする技は物理攻撃の効かない敵を切る、いわば切れないものを切る秘剣なのです!!」
そう言いながら、どんどんどんどん空に上昇していった。
それに追従するように虹巨人もまた上昇すると、なんと自らの両腕を刃状に変化させ、モビーディックラーケンに刃先を向けた!
それを見たスパルタクスも同じく大剣を構えるとその切っ先を虹巨人に向けたのである。
両者の距離は急速に縮まってゆき、遂に接触するかと思われたその瞬間!!
「神聖天空秘剣――」
スパルタクスの義眼が閉じられた瞬間、大剣が天を穿ち、絶対零度の光が空間を凍結させる。
それは祈りのようでもあり、断罪のようでもあった。
その剣は、かつて“星辰の呪詛”をも断ったという伝説の象徴。
「破邪・爆発!!」
閃光すら遅れをとるほどの閃撃が、虹巨人の“理の核”を正確に穿ち貫いた。
次の瞬間――巨体は“概念の輪郭”ごと斬り裂かれ、沈黙のうちに砕け散った。
天と地の境界に、ひときわ鮮烈な“虹”が走った。それが終焉の残光だった。
かくして、虹は消え、静寂が訪れた。
それは勝利の静けさではなく、破壊された理の余熱が、なお空に残っているだけだった。
https://www.facebook.com/reel/707943261386727/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
↑イメージしたリール動画




