乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-4 デカ・ギーガスvs機械神
ナイアの『巨人の進撃歌』を止めるべく駆けつけたのは5体の機械神
雷音と雷華が乗る赤のクトゥグァ
狗鬼漢児と絵里洲がのる蒼のアーレスタロス
オームとエドナが乗る黄色のベリアルバスター
神羅と龍獅鳳が乗る赤紫のユグドラシル
イブと、まだ名が明かされていない“もう一人”が乗る、水色のモビーディックラーケン
その姿には、どこか既視感があった。
「見つけた!やっぱりこのポイントにナイアがいやがった!!」
封獣機クトゥグァに乗る雷音が忌々しそうに舌打ちする。
他の4体は、すでに戦闘態勢に入っているようだ。
「来たな勇者どもめ!」
それを見たナイアは愉快そうに笑う。
「……いいねぇ、いいね〜! じゃあまずは小手調べだ!かかって来やがれ〜!」
挑発されたと感じたらしいナイアは怒気を露わにして六体のデカ・ギーガスに撃退命令を下す。
青い水の巨人 (ヒダティノス ギーガス)
水色の氷の巨人 (パゴス ギーガス)
赤紫の肉塊の巨人 (クレオファゴス ギーガス)
紫の毒の巨人
黄緑の風の巨人
白い鏡の巨人
この六体である。
「いくぜお前らぁ!準備はいいか!?」
「もちのろんやで!」
「いつでもどうぞ〜」
「了解デス」
「OK兄貴!」
「問題ないわ」
全員、やる気十分のようだ。
それぞれの戦線が激突する。
――雷音と雷華の《赤のクトゥグァ》vs氷巨人。
――絵里洲&狗鬼漢児の《アーレスタロス》vs水巨人。
――神羅&獅鳳の《ユグドラシル》vs風巨人。
――オーム&エドナの《ベリアルバスター》vs毒巨人。
――イブ&正体不明の“もう一人”が操る《モビーディックラーケン》vs肉塊巨人。
すべてが一点に向かう、戦争のような戦闘だった。
まず最初に飛び出したのは赤いクトゥグァに乗った雷音だ。
「オラァァァッ!!!」
クトゥグァ機が炎を纏った拳で殴りかかるが、その相手は氷の巨人だったので効き目が薄い。
続いて今度は絵里洲と狗鬼漢児が操るアーレスタロス飛び上がり攻撃を開始する。
しかし、相手のヒダティノス・ギーガスは、身体を水状に変化させてあらゆる物理攻撃を受け流す厄介な性質を持っていた。
格闘主体のアーレスタロスにとっては、まさに最悪の相性だった。
そして次は神羅と龍獅鳳のペア。だが、相手は俊敏な空中戦を得意とするアネモス・ギーガス――風属性の巨人だった。
打撃をすり抜け、斬撃を舞い躱すその動きに、神羅たちは機体を振り回される形で苦戦を強いられていた。
最後に残ったのはイブ達だったが、二人は特に功を急がず肉塊の巨人を相手に、ミサイルでの距離攻撃を繰り出していた。
モビーディックラーケンのミサイルは見事に命中していたが、ダメージはほとんどないようだった。
そんな様子を遠くから見ていたナイアは思わずため息をついたのだった。
「……はぁ〜……勇者共め、まさかここまで来るとは……」
そう言いながらも彼女は楽しそうに笑っていた。
どうやらこの状況を楽しんでいるようである。
(とはいえこのまま放置しても面白くはないよなぁ……)そう思ったナイアは再び指示を送ることにした。
「よーし、お前達はそのままそいつらを足止めしておけ!その間にアタシがやるっきゃないわな」
そう言うとナイアはおもむろに魔本『巨人の進撃歌』に手を伸ばす。
彼女の手に握られていた魔本が黒い光を放ち始めた。
そしてその光が収まった時、そこには白い鏡の巨人がブルブルと震えだした。
「デカ・ギーガスの中でも特に特異な能力を持つカフレフティスの力……とくと思い知らせてやるぜぇ!!」
そう言ってニヤリと笑うと、ナイアは白い鏡の巨人に命令を下した。
その瞬間だった!
突然白い巨人の姿が消えたかと思うと次の瞬間には、いつの間にか機械神アーレスタロスの姿がそこにあった。
「なっ!?こいつ!?」
味方がもう一機いたかと錯覚するほどの完璧な擬態。誰もが一瞬、視線を奪われた。
驚く一同をよそに、偽アーレスタロスはすかさず両腕を振り上げる。
そこから発射されたのは、オリジナルと全く同じ動きで放たれた水属性の弾幕。
「……やべぇ……性能まで完全にコピーしてやがる……!」
狗鬼漢児が絶句するほど、模倣は精密だった。
見た目だけでなく、出力も戦闘スタイルも完全に再現している――まさに最凶の擬態兵器だった。
さらに水弾の数からして、オリジナルには存在しない“追加武装”すら備えていた。まるで本物を凌駕する勢いで、進化しているかのように――。
水弾数は数百を超えており、とてもじゃないが全てを避けきれるものではなかった。
(ま、まずいぞこれは……!)
誰もがそう思い身構えた瞬間、皆を庇うように現れたのは少し離れた場所にいた狗鬼漢児操る本物のアーレスタロスだった。
「くっ……!」
アーレスタロスの回し受けの防御で水の魔法弾は全て弾かれてしまう。
だがそれを見た偽アーレスタロスはこちらに向けて突進してきたではないか。
慌てて逃げようとするがもう遅い。
あっという間に距離を詰められてしまった。
そのまま押し倒されそうになるが、間一髪で避けることができた。
しかし安堵したのも束の間、なんと今度は両腕を振り下ろしてきたのだ。
「うわっ!?」
何とか回避できたものの、地面には大きなクレーターが出来上がっていた。
まともに食らっていたら間違いなく即死していただろう。
それを見て冷や汗を流す雷音に対して、狗鬼漢児は冷静に指示を出した。
「……こいつは任せろ」とだけ言うと、再び前に出て構えをとったのである。
その様子を見て安心したのか他の仲間達もそれぞれ武器を構えて残り五体の巨人に対し攻撃態勢に入るのだった。
そんな彼らの様子を遠目で見ていたナイアは楽しげに笑った。
「あはははっ!いいぞぉその調子だ!!もっともっと暴れ回れぇ!!」
そう叫ぶ彼女の表情は実に楽しそうだ。まるで無邪気な子供のようであった。
勇者達が苦戦するのを見ながら恍惚とした表情を浮かべている様は、まさしく狂気と呼ぶに相応しいものであった。
そしてついにその時が訪れる。
ナイアが召喚した巨人達のうち四体は倒されてしまっていた。
残る二体の内一体はボロボロになりながらもまだなんとか戦える状態であり、もう一体に至ってはほぼ無傷であった。
無傷の巨人は鏡巨人が化けた偽アーレスタロス
ぼろぼろの巨人は赤紫のクレオファゴス ギーガスだ。
対する勇者たち――
赤のクトゥグァは、両腕部から蒸気を噴き出し、フレームの継ぎ目から火花が漏れている。
黄色のベリアルバスターは片脚を損傷し、まともに立てていない。
赤紫のユグドラシルも外殻の一部が剥がれ、内部構造がむき出しになっていた。
それでも三機は、必死に倒れた巨人たちを打ち倒し、ここに至っていた。
だがその姿は、もはや“限界”を通り越した“執念”の塊だった。
その様子を見たナイアは満足そうに頷くと、最後の切り札を使うことに決めたようだ。
ナイアは笑っていた。
仲間を喰い合い、死骸をつなぎ、世界を蝕む巨人たちに。
まるで、それが“この世で一番愛おしいもの”でも見るかのように。
「さてと、それじゃあそろそろ終わらせてやろうかね……♡ 覚悟しなクソガキ共。アタシの愛しき終焉の怪物を、お披露目してやるよッ!!」
ナイアは両手を高く掲げる。その掌には、禍々しい魔道書《巨人の進撃歌》が煌々と黒い光を放っていた。
ページが風もないのにめくられ、詠唱が始まる。
「集え、巨の亡骸……合せよ、咆哮の律動……混ざり合い、螺旋となれ……!」
巨人たちの足元に、地を焼くような紅蓮の魔法陣が出現する。
最後の一節が、空間を震わせるように響いた。
「――終焉編め!進撃合体陣ッ!!!」
瞬間、大地が呻く。
ゴゴゴゴゴゴ……!!!
地鳴りがあたりを包み、雷音たちの視界を、悪夢のような光景が覆っていく。
倒されたはずの巨人たちが、ひとつ、またひとつと、赤紫のクレオファゴスを核にして融合を開始したのだ――。
雷音らの目の前で信じられない光景が繰り広げられていたからだ。
何と倒れた巨人たちが次々と合体していくではないか!!
赤紫の巨人をコアに青の水巨人、水色の氷巨人、黄緑の風巨人、紫の毒巨人が合体していく。
- 巨人達は虹色の毒嵐巨人に変化していた。
- その姿はさながら七色の竜巻のようでもあり、見る者を圧倒するほどの美しさを備えていた。
こうして誕生したのは――
《アルケイオス・ギーガス》。
虹色の光を帯びたその身体は、まるで七色の神嵐。
巨体から立ち昇る瘴気は毒を孕んだ風となって大地を腐らせ、空間を歪ませていた。
恍惚としたように笑うナイアの背後で、合体巨人は一度咆哮する。
それは、神話に名を刻まんとする“終焉の使徒”の産声だった。
――伝承に記された、終末の彩雲。
世界が終わるとき、それは七色に染まるという。
それは動かぬまま、世界を威圧していた。静かであることが、逆にすべてを終わらせる予兆のようだった。
https://www.facebook.com/reel/2558115034395551/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0
↑イメージリール




