乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-2 戦神アーレスvs影と土のデカ・ギーガス
戦神狗鬼マルスの前に立ちはだかるデカ・ギーガス
黒い影の巨人Σκιάς Γίγας (スキアス ギーガス)
茶色い土の巨人Γη Γίγας (ギ ギーガス)
どうやらこの2体は相当の手練れのようだと判断したマルスは一旦距離を取ろうとバックステップを試みるが、なんと相手がそれに合わせて距離を詰めてきてきたのだ!!
しかもその動きはとても素早く一瞬のうちに懐に入られてしまったのである。
「ちっ……!」
驚く間もなく繰り出された斬撃を受けてしまい体勢を崩してしまうマルスであったが何とか持ち直し反撃に転じようとしたその時だった……!!
今度は背後に気配を感じたのだ。振り返るとそこにはいつの間に回り込んだのか黒の騎士の姿があった。
その手に握られた禍々しい大剣を振りかぶり今まさに振り下ろさんとしているところだった!!
(まずいっ!!回避だ!!いや白羽取りで掴んで投げ飛ばす!!)
そう思った瞬間には戦慣れした戦士の感覚が行動をすまし終えていた。
黒巨人は不意に体がふわりと浮いたかと思うと次の瞬間には地面に叩きつけられていたのだ。
見ると投げ技で黒巨人の体の下には大きなクレーターが出来上がっていたのだ。
マルスは間一髪で回避に成功したらしい。
ホッと胸を撫で下ろす暇もなく次なる攻撃がやってきた。
それは目にも止まらぬ速さで放たれた金の拳であった。
咄嗟に腕を交差させガードするが、それでもなお衝撃を殺しきれず後方へ吹き飛ばされてしまった。
ゴロゴロと地面を転がるがすぐさま立ち上がり体勢を立て直す。
そこへ追撃とばかりに再び敵が襲いかかってきた。
振り下ろされる黒巨人の剣を紙一重で躱すとそのまま体を回転させて蹴りを入れるがこれも受け止められてしまい逆に足を掴まれてしまった。
そして勢いよく投げ飛ばされてしまう。
空中で態勢を整え着地すると同時に地面を蹴り一気に加速して黄金巨人相手に肉薄すると勢いを乗せて殴りかかる。
しかしそれも避けられるとカウンター気味に腹部に強烈なパンチをもらってしまった。
アーレスリカオンのボディのフレームが歪みながらもなんとか踏みとどまり反撃に出ようとするが、またもや黒巨人から攻撃を仕掛けられてしまい防戦一方になってしまう。
その後もしばらく攻防が続きお互い決定打を与えられずにいたが、やがて状況に変化が訪れた。
最初に仕掛けたのはマルスの方であった。
彼の機械神はすかさず剣を鞘に収めると、両手を合わせて祈りを捧げるようなポーズをとった。
するとその手に光が宿り始める。
やがてそれが徐々に大きくなっていき、巨大な光の玉ようなものへと変わっていった。
創世爆撃
マルスの必殺技だ。
彼は分身である機械神を通してこの技を放つことが出来る。
そうはさせじと金と黒の巨人が左右に分かれ、挟み撃ちのカタチでアーレスリカオンに攻めかかる。
それを見てニヤリと笑みを浮かべるマルス
「創世爆撃・双牙!」
彼は祈りの形で組んでいた手を離し、両手を左右に広げ気功弾を放った。
それらは黄金騎士と黒巨人に命中し大きなダメージを与えたようだ。
たまらず起き上がる2体だったが既に満身創痍の状態であり、フラフラになりながらも武器を構えるのが精一杯といった様子だった。
それを見たマルスはトドメをさすべく駆け出していった。
まず先に狙ったのは金色の巨人だった。金色巨人は先程の一撃を警戒してか慎重に間合いを詰めてくるがもう遅い、すでに射程圏内に入っているからだ!
マルスはそのままの勢いで拳を突き出すとその一撃で相手を破壊、吹き飛ばした。
さらに追い討ちをかけるように黒い巨人に連続で打撃を叩き込んでいく。
最後に渾身の力を込めて放った回し蹴りによって二体の巨体を吹き飛ばしたのだった。
「フン、オリンポスの戦神を舐めるな。タルタロスのデバフさえなけりゃ、てめえら如きこんなもんだ……」
そう言うと、倒れている敵に背を向け歩き出すのだった。
「……ん?」
もう興味はないと言わんばかりに……。
だが、ふと足元に違和感を覚えたので見てみるとそこに小さな影が動いていたのがわかった。
よく見るとそれは小石くらいの大きさの宝石のようなもので、金色と黒色の輝きを放っていた。
最初は気のせいかと思ったが何度見てもそこにあるのは間違いないようで、マルスは訝しげに思いながらも手を伸ばして拾おうとした。
だが二つの宝石はおもむろに空中に浮かび上がると、ブリューナクのライブがひらかれている戦艦アルゴー号に向け飛んでいったのだった。
そしてアルゴー号甲板の上
ブリューナクの演奏を聴くクレオラのもとに黒と金の宝石が飛んで来た。
彼女はそれに気づくと、そっと手に取る。
その瞬間、彼女の頭の中に声が響いた。
((……汝は我を解放するに相応しい資格を持つ者か……?))
突然の出来事にも驚くことなくは返事を返した。
「ええ、そうよ……貴方は誰?」
((我が名は黒い影の巨人 (スキアス ギーガス)なり……))
「貴方がここに来たって事はマルスさんに敗れたのね。さすがはエクリプス大戦の立役者戦神マルス……、契約パートナーがいないとさすがの貴方達もかの勇者には勝てないか……それとも最初から相打ち覚悟で挑んでたのかしら……? 新しい契約を結べるよう、わざと負けて前の主人の契約をリセットしたでしょ? まあいいわ、貴方との契約ができるのは私しかいないものね」
((その通りだ……我と契約を望むならまずは汝の名を示せ……))
「あら、そういえばまだ名乗ってなかったわね」
そう言ってクレオラは自己紹介を始めた。
「私はクレオラ・スカーレット、苗字はスカーレットだけどちゃんと暗黒属性の魔女だからそこのところは安心してね。フェレスの性は偽装よ♡」
それを聞いた瞬間、石の中の影の巨人の表情が変わったような気がした。
まるで何かを思い出したかのように……。
((そうか、やはり貴殿がそうなのか……))
「……やっぱり私のこと知ってるみたいね……」
そう呟くと今度は彼女が質問を投げかけた。
「それでどうするの? 私と契約を結ぶ気はある?」
((もちろんだとも……巨人族の新たな希望となる姫よ!))
「わかったわ。じゃあ改めて名乗りましょう、私の名前は『クレオラ・スカーレット』よ」
次の瞬間、光輝く宝石から黒い瘴気のようなものが溢れ出ると、その中から巨大な腕が飛び出してきて彼女を鷲掴みにし、そのまま彼女の胸の中に吸い込まれていった。
それと同時に船体が小さく揺れ始める。
そんな中でもライブは続いていた。
クレオラはもう一つの金色の宝石にも手を伸ばす。
「……貴方の名前は?」
「我が名は黄色い土の巨人 (ギ ギーガス)」
「少しだけ待っててね、すぐに貴方に相応しい契約者を紹介してあげるわ」
そう言ってクレオラは妖艶に微笑む。
「さて、オレンジの雷の巨人 (ケラフノス ギーガス) は私がリセットしてスフィーに渡したし、赤い炎の巨人 (ピュリノス ギーガス)は-----------------------から残るデカ・ギーガスはあと6体ね……」




