乂阿戦記3 終章 最強でQ極のZ対無敵アイドルs‼︎-1 セオスアポロの司法取引
場面は変わりエトナ火山近辺にあるオリンポス研究所……
マルスはと言うと軟禁状態にあったものの、時折訪れる自由時間を利用して研究所内を自由に歩き回ることができたので退屈せずに済んでいた。
(さてと、これからどうするかな……)
マルスは今後の身の振り方を考えていた。
正直いってもうオリンポス王国には愛想が尽きていたからだ。
というのも、彼が脱走してからというものの、毎日のように刺客を差し向けてきており、気が休まるときが無かったからである。
(まったく……勘弁してほしいもんだぜ……ん?)
そのとき、背後から何やら気配を感じたので振り返ってみるとそこには意外な人物が立っていた。
それは他ならぬ兄セオスアポロだったのだ。
「兄貴!?」
「フン、久しぶりだな。息災であっか?」
「ああ、まあそれなりに……」
「そうか、ならば良し」
そう言って尊大に笑うセオスアポロを見て、マルスは会議の行方が気になり尋ねる事にした。
「なあ、ところであの後どうなったんだ? 結局誰がケイオステュポーンの魂だったんだ?」
マルスのその問いにセオスアポロは神妙な顔つきで答えた。
「……そうか、お前もケイオステュポーンの正体を忘れてしまったか……ガープも奴の正体をほとんどを忘れていた……それどころか巨竜王が誰か証明するあらゆる証拠が最初からなかったように消滅しておった……会議に参加した王達のほとんどが巨竜王の転生体がいると言う事実すら知らず、その存在について半信半疑という有様よ……。やはり我や阿烈のような主神級の力を持つ存在でなければアカシックレコードの記録改竄に気づくことすらかなわぬか……」
それを聞いてマルスは驚愕した!
「なに!? アカシックレコードによる記録改竄だと!? 馬鹿な! そんな真似ができるのは伝説の創造神アザトースぐらいなはずだ!!」
「その通り、創造神がその気になればその気になれば、“真実”そのものすら創り変える……奴はかつて、幾千の神話体系を創り、歴史を一夜にして塗り替えた存在だ。」
「まさかそんな……!」
「事実なのだ。あきらかに巨竜王の後ろには奴等の盟主だった創造神アザトースの影が見える……これはまだ言いふらすなよ。今は心にだけ留めておけ……創造神に感づかれたら、また都合よく世界の記録を改ざんされる」
セオスアポロの言葉にマルスは愕然とするしかなかった。
記憶の改竄という催眠術の類いならまだしも、歴史や記録の改竄という神の奇跡を見せられては、今後アザトースに対しどのような対策を立てればいいのかすら分からないではないか!!
もし奴が本気を出せば、味方さえ“敵だった”ことにされかねない……。世界そのものが、嘘で塗り潰される――。
そう思った矢先のことだった……突如警報が鳴り響き始めたかと思うと同時にアナウンスが流れてきたのである。
『緊急事態発生、非常事態発生、敵襲です!!』
その直後だった……! ズガアアアァァァン!!!!凄まじい轟音と共に研究所の天井を突き破って現れたのは巨大なロボットであった。
その姿はまるで悪魔のような姿をしており、背中から生えている六枚の翼はまるで天使を思わせるような美しい造形をしていた。
それを見てマルスは戦慄した。
(あれは……もしや……!?)
そう、その機体こそかつてマルスがかつて封獣アーレスタロスとは別に搭乗していた愛機であり、後に雷帝デウスカエサルの手に渡ったことで破壊兵器へと変貌してしまった戦神機アーレスリカオンだったのである……!!
「フフフ……フハハハハ!!! ああ愉快だ!!実に愉快だぞ!!ギオリックめ、相変わらず良い仕事をしよる!!ギオリックが一晩でやってくれたぞ!!ギオリックが一晩でこのアーレスリカオンを“再構築”したのだ! まったく、あいつの手腕には毎度ながら恐れ入る……!」
セオスアポロは高らかに笑うと続けて言った。
「さあマルスよ、司法取引だ! この機械神に乗ってタルタロスの巨人共の進軍を食い止めるのだ!」
「な……!?」
「報酬は『巨竜血の槍』強奪の不問だ! できぬとは言うまいなオリンポスの戦神マルス?」
「……まったく、昔からお前は“そういう顔”をしてるときだけは本気だからな」
そう呟いたマルスに、セオスアポロはふっと笑みを浮かべた。
「お前が本気を出せば、巨人千体だろうが黙らせられる……そう信じてるぞ、弟よ」
突然のことに困惑するマルスだったが、すぐに平静を取り戻すと言った。
「……いいだろう、乗ってやる!!」
(……まさか、もう一度こいつと戦場を駆ける日が来るとはな……)
「フン、せいぜい功を上げさっさと娘の元に帰ってやるのだな」
ニヤリと笑うセオスアポロ
マルスはこうしてかつての愛機の搭乗し、巨人達が湧き出てくるエトナ火山に向かったのだった。
〜数時間後〜 マルスの駆る機械神は次々に現れる巨人達を次々と撃破していった。
しかし、突如として現れた2体の巨大ロボ、いや特殊巨人デカ・ギーガスを前に苦戦を強いられることになるのだった。
1体は黄金に輝く巨人戦士。
もう1体は黒い装甲に身を包んだ騎士型の巨人である。
2体とも並々ならぬオーラを放っており明らかに今までとは格が違うことが窺えた。
「チッ……まさかデカ・ギーガスが出張ってくるとはな!」
そんなことを考えているうちに黄金の巨人と漆黒の巨人はこちらに迫ってきた!!
ガキィィィン!!!
バチバチバチッ!!!!
一閃、アーレスリカオンの剣が黄金の巨人の胸部を斬り裂く……はずだった。
しかし刃は弾かれ、逆に反撃の拳が肩装甲を砕く。
「ぐっ……っ、なんてパワーだ!」
並の巨人とは明らかに違う。個体ごとに戦法すら違い、まるで――“意志”があるようだった。
ゴオオォォォォッ!!!!!!
両者の剣が激しくぶつかり合い火花が飛び散る中、マルスもまた操縦桿を操作しつつ隙を見て攻撃を仕掛けていった。
だが、なかなか有効打を与えることができずにいた。
(くそっ……こいつら、まるで意思があるかのように連携してきやがる……!)
今も、金色の拳が囮になり、その陰から黒騎士の斬撃が襲いかかってきた――まるで訓練された双剣使いだった。
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