乂阿戦記3 第六章 水色の初代魔法女神イサカ・アルビナスとクリームヒルト・ドラゴニア-8 赤い炎の巨人 Πύρινος Γίγας (ピュリノス ギーガス)
〜〜〜〜〜〜数分後〜〜〜〜〜〜〜 一行が案内された部屋は豪奢で煌びやかな装飾が施されていていかにも高級ホテルといった感じの部屋だ。
部屋の中央には大きなテーブルがありその上には豪華な食事が並んでいる。
どれもこれも美味しそうに見えるのだがなぜか食欲がわかないというかなんというか……とにかく不気味としか言いようがない光景だった。
そんな部屋の中心にいるのは彼ら一行とクロノスが立っていた。
クロノスが口を開く前に阿門が一歩前に出ると深々と頭を下げながら言った。
「突然の訪問にもかかわらずこうしてお招きいただき感謝の言葉もありません」
その態度に釣られるように他の者達も同じように頭を下げる。
クロノスは無言のまま、ほんの一拍遅れて頷いた。
「……うむ。苦しゅうない。楽にしろ」
その言葉の抑揚はほとんど機械のようで、どこか人間味を欠いていた。
その声音は穏やかだった。だがその裏には、理解不能な“静かな狂気”が潜んでいるように思えた。
その言葉に従い全員が椅子に腰掛けるのを見てから話を始めた。
まずは自己紹介からだ。
最初に名乗ったのは阿門だった。
「暗黒時空神クロノス殿……いや今は外なる神の副王ヨグソトース殿とお呼びすべきか……わが名は阿門、またの名をアモン・ズーイ、天下の名将楚項烈が長兄にして、最悪の魔女エクリプスが長兄……、貴殿が持つ『ユミルの楽譜』を譲って頂きたく参った次第でございます」と慇懃な態度で言った。
それに対してクロノスは何も答えない。ただじっとこちらを見つめているだけだった。
その様子を見て不安になったのか今度は隣にいた少女がおずおずと手を上げて発言した。
「あのぅ〜」と言うとおどおどしながら言葉を続けた。
「えっとぉ〜、私はメティムと申しますです。こっちは仲間のシグルド、それとそこにいる子は私の弟分でギルトンと言います、それと夫のマルス、友人のテイルです。以後よろしくお願いいたしますです」と言ってぺこりとお辞儀をした。
「……知っている。マルスは我が息子にして怨敵であるデウスカエサルの後継者、つまりは私の孫だ」
そう言ってクロノスはマルスを指差した。
「えっ!?」
驚いて声を上げる彼女にクロノスは淡々と話を続けた。
「お前たちがここに来るのはわかっていた。ただ望みのものを渡す前に1つ私の頼みを聞いてもらう。それを叶えてくれればすぐにでも渡してやる」と言った。
それを聞いて阿門は即座に返事をした。
「わかりました。何なりとお申し付けください」と頭を下げた。
それを見て他の者たちも同様に頭を下げた。
それを見て満足したのか彼はゆっくりと話し始めた。
「なに簡単なことだ。今私はあの鬼子デウスカエサルめに封印されタルタロスから出られない。だから私の力を封じているタルタロスの門番を倒して欲しいのだ。そうすれば私も晴れて自由の身になれる。門番に勝てたら約束通りこれを与えよう」
といって一枚のカードを差し出した。
それを受け取った阿門は確認するように問いかける。
「これが『ユミルの楽譜』ですか?」
「そうだ、我が妻ガイアが作りし巨人を従属咆哮から解放する巨人族の安全装置。これを読み解くことができればお前達の望みは叶うだろう。」
と言われた瞬間、全員の視線が一斉にそちらに向けられた。
その視線に気づいたのかクロノスはニヤリと笑いながら言った。
「門番は全部で十体いるが一体でいい。10の巨人デカ・ギーガスの内一体が倒れれば私は封印より解放される。
赤い炎の巨人 Πύρινος Γίγας (ピュリノス ギーガス)
青い水の巨人 Ύδατινος Γίγας (ヒダティノス ギーガス)
オレンジの雷の巨人 Κεραυνός Γίγας (ケラフノス ギーガス)
水色の氷の巨人 Πάγος Γίγας (パゴス ギーガス)
黒い影の巨人 Σκιάς Γίγας (スキアス ギーガス)
赤紫の肉塊の巨人 Κρεοφάγος Γίγας (クレオファゴス ギーガス)
紫の毒の巨人 Ιός Γίγας (イオス ギーガス)
黄緑の風の巨人 Άνεμος Γίγας (アネモス ギーガス)
白い鏡の巨人 Καθρέφτης Γίγας (カフレフティス ギーガス)
黄色い土の巨人 Γη Γίγας (ギ ギーガス)
お前たちはそのうちの一体、“気に入った色”でも“手近な脅威”でもいい、好きに選んで挑むがいい」
そしてクロノスはにやりと笑った。
「ただし――タルタロスでは、貴様らの“存在そのもの”が矮小化される。
魂の出力は本来の十分の一……思考速度も、反応も、術式の発動も、すべてだ。
――これは、神が与える“対等な遊戯”だ。誇り高き者ほど、より深く屈辱を味わうだろう」
それを聞いた阿門はすぐに行動に移った。
まずタルタロスのエリアの中で一番近くにいる赤色の炎を纏った巨大な人型の怪物に向かって突撃していったのだ。
それを見た他のメンバーたちも慌てて彼に続いていったのだった。
ちなみに赤を選んだ理由は、1番近くにあったのもあるが、彼の気に入らないライバル、ギルトンが赤のイメージカラーだからである。
そんな事情はともかくとして、戦闘が始まったようだ。
まずは前衛を務めることになったテイルが先制攻撃を仕掛ける事にしたらしく、勢いよく飛び出すと相手の懐に飛び込んだ。
そしてそのまま拳を叩き込もうとしたが、その攻撃が届く寸前に相手は後ろに下がって回避してしまった。
20メートル近い巨体とは思えない俊敏な動きだ。
その後再びこちらに向かって突進してくるのが見えたので、彼はとっさに身を屈めて避けようとしたのだが間に合わず、攻撃を食らってしまった。
「ぐはっ!!」という呻き声とともに吹き飛ばされてしまう。
その様子を見ていた仲間たちは慌てて駆け寄った。
幸い致命傷には至らなかったようで起き上がることが出来たようだが、ダメージはかなり大きいようだった。
何とか立ち上がろうとするもふらついており、とても戦える状態ではないように見える。
このままでは不味いと判断したのか、一旦退却することになったようである。
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↑イメージリール動画




