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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記3  第六章 水色の初代魔法女神イサカ・アルビナスとクリームヒルト・ドラゴニア-2 巨人の進撃歌

「ついにこの日が来たわね……」

クリームヒルトは目の前にそびえ立つ巨大な飛行船を見上げつつ呟く。

その姿はまさに圧巻であり、見上げると首が痛くなりそうな大きさだった。

かつて女神ユキル所属していた伝説のアイドルグループ『五元の女神』が所有していた巨大宇宙船アルゴー号は全長330メートルにも及ぶ巨体であった。

そんな船が丸ごと一機、タオルミーナ上空に浮かんでいるのである。

「まさかこんなに早く現世に戻ってくる事になるとはね……。それもこれも全てあなたのお陰だわ。ありがとう、イサカ先輩…………」

そう言って彼女は自分に肉体を貸してくれているイサカに対して心の中で微笑みかけた。

イサカは今や彼女の最大の協力者である。

彼女は脳内のイメージの世界で不敵な笑みを浮かべてこう答えた。

「その話はあと! もうじきケイオステュポーンとギガス・オブ・ガイアの軍勢が復活する。復活は止められないけど、暴れないよう鎮める事は出来る……。あなたの亡くなった旦那さんはそう話していたのよね?だったら私達は全力で協力させてもらうわ!」

その言葉に頷きながら、彼女は改めて決意を固めるのであった。

(もうすぐ約束を果たすことができる。待っててね、あなた……)

***

***

一方その頃、神羅達はというと、彼らが乗船しているアルゴー号の中で慌ただしく脱出の準備を進めていた。

ブリューナクの協力を取り付けたメフィストギルド……というかクレオラ・フェレスは潔く神羅達の解放を認め彼女達は自由を約束されたのである。

「……あのクレオラって嬢ちゃん大したタマだな……ぶっちゃけメフィストより大物かもしれん……」

与徳が思わず関心の声を漏らす。

「……地球防衛軍の指令部に連絡が来たそうだ。今回メフィストギルド……いや、巨人族自治区警備組織インビジブルオーガが動いたのは、連合側の各軍勢力がこちらの許可を通す事なく戦艦アルゴーや軍関係者を一同に集め、武力的な威圧をかけてきたからとった自衛手段だと……相互の誤解も解け、ハクア・プロジェクト社から同胞解放の協力も得たので、人質を段階的に解放しますだとよ……」

その弁にアタラが呆れる。

「なんじゃと!? 連中め、軍を率いて攻め込んでおいて無罪を主張しとるのかや? これだけの騒動起こしてそんなの通るわけが……」

「サタン兄貴から連絡来たんだが通りそうですよ……どうもインビジブルオーガ側から軍事中止の警告が何ヶ月も前から来てたらしいんです。地球防衛軍はそのメッセージを無視し続けてたようなんです。おまけに巨人族自治区一般市民による軍事威圧反対のデモも起きてたらしい……これ、だいぶ前から襲撃の正当性を主張できるよう根回しがされてます……地球防衛軍は人質の即時解放を条件にインビジブルオーガと交渉会談のテーブルにつくことを約束したそうです」

「なんと!……」

「無駄に敵を作り過ぎず組織が生き残る道をキチンと作っている……。こんな根回しは自己中心主義者であるメフィストやアング達じゃあ出来ない……あのクレオラって嬢ちゃんとんでもないやり手だぜ。便宜上インビジブルオーガはメフィストギルドとは別の組織と言うことになっている。巨人族の自治を防衛する正義の自警団って扱いだ……」

「……あのクレオラの小娘がいる限り、メフィストギルドをただの犯罪組織と侮ることは出来ぬのう……むうう、というか、インビジブルオーガなる兵士達の練度は普通ではなかったぞ? 光学迷彩の装備も脅威じゃが、鮫島鉄心殿率いる殺悪隊並の精鋭部隊じゃった! やつらただの1人も人死にを出さずアルゴー号を鎮圧しおった! まず作戦指揮した隊長が只者じゃない!……」

「アタラさん……インビジブルオーガの隊長、たぶんですけどプオム・ホランイ大将軍ですよ……、俺の爺ちゃんが妖魔帝国皇帝ヨーの影武者をやってた時代に見かけたことがあります。彼は妖魔帝国ズーイの大将軍を務めたことのある武人で、主君の間違いをズバズバ指摘する高潔な人柄だった。その気性を妖魔皇帝ヨーに煙たがられ僻地に左遷された気骨ある人物だ。つまりヨーと同タイプのメフィストやアングみたいな専横君主に仕える人じゃない……って事は彼が仕えてるのは……」


挿絵(By みてみん)


与徳はちらっとクレオラの方をみた。


「……あなどり難しじゃな……クレオラ・フェレスか……まるで若き日のエメサキュバ……あるいは、革命期のユキルの母カンキルを見ているようじゃ……」


アタラは警戒と敬意の混じった視線を女傑クレオラに送った。


脱出を急ぐ神羅達だが、やることはほとんどないので、後は脱出艇の搭乗席に乗り込んでシートベルトを締めて発進を待つのみである。

しかし乗り込んでいるのは彼らだけではない。

彼らの周りには十数名の船員達も乗っているのだ。

ちなみに今回の航行には神羅達だけではなく、フェスに招かれた各国の首脳陣も同行していたりする。

軍関係者の拘束は依然と続くが、インビジブルオーガ側が世論の印象を考慮して、各国のメンツを立てた体である。

「いよいよ脱出ですね……皆さん準備の方はよろしいですか?」

そう言いながらとある二人組が神羅達の方に歩み寄ってくる。

オームと鵺だった。

「え!オーム君、鵺ちゃん、どうしてここに?」


「……君を助けようとスペースピラミッドに乗り込み……なんか助けるまでもなくなってね……」

「けど、結果的には良かったのかもな。こうしてまた君と並んでいられる」


オームは恥ずかしそうに頬を掻いた。

「まさか連中が自発的にユキル達を解放するとは思わなかったわ……」

鵺はため息をついている。

「たぶんあのクレオラって人、単純な悪人とかそういうのじゃ無いんだと思うな……」

神羅はステージの上でテキパキ指示を出すクレオラを見ていた。

彼女は一緒にライブを開いたスフィンクス、ティンク、ホドリコ、キラグンターに対しては気さくな姉の様に接していた。

そんな彼らの様子を一人の男がじっと見つめていたことに誰も気づかなかった……その男メフィスト・フェレスは口元に笑みを浮かべながらこう呟くのだった……

「さあ始めようか……楽しい楽しい宴の時間だよ♪♪」


【エトナ火山・封印地点】

〜数時間が経過した。戦艦アルゴー号より出発した軍用ヘリはついにエトナ火山のとある目的地へと辿り着いたようで、軍用ヘリはそこで停止したようだった。


どうやらここが彼らの目的の場所らしい。

そこは辺り一面何もない荒野のような場所で周囲には何も見当たらないような場所だった。

まるでそこだけ切り取られたかのような異様な光景が広がっているように見えるほどだった。

そんな中、軍用ヘリから次々と人が降りてくるのが見えた。

メフィストギルドの……いや、巨人族治安維持軍インビジブルオーガと地球防衛連合軍の兵士達だ。

それぞれが緊張した面持ちで前へと向かって進んでいった。

するとそこで待っていた者を見て思わず息を呑んでしまうことになる。

何故ならそこにいたのは巨大な竜のような巨人だったからだ。

しかもただのドラゴンではないことは一目見ただけで明らかであった。

何故なら凍結し動かないその身体からは、禍々しいオーラが溢れんばかりに溢れ出していたからだ。

そう、巨人こそが究極の巨人ケイオステュポーンである。

それを見た瞬間誰もが思ったことだろう、こんなものが復活したらどうなってしまうのかと……。

しかし彼らはそれでも歩みを止めなかった。

彼らは様々な機材をケイオステュポーンの前に並べ組み立てていく。

ブリューナクの歌エネルギーをケイオステュポーンに送る装置の組み立てである。

この装置は通称”ユミルの楽譜”と呼ばれており、特殊な鉱石で作られたクリスタルによって歌エネルギーを吸収し、そのエネルギーで巨人を自我を目覚めさせる、もしくは眠らすというものだ。

黙々と作業を続ける兵士たちであったが突如異変が起こることになった。

なんとケイオステュポーンの体に変化が現れ始めたのである。

体の表面に亀裂が入りそこから眩い光が漏れ始めたかと思うと、次の瞬間一気に弾け飛んだのだ。

結論からいうと鱗の一枚が剥がれただけである。

しかしそれでもなお、その鱗が剥がれた部位から放たれる膨大な魔力は尋常ではなかった。

その場にいた全員が息を呑む中、その女ナイアが口を開いた。

「……クスクスクス、巨竜王が解放されるまでもう少し………」

そう言って妖艶な笑みを浮かべる彼女の表情はどこか不気味であった。

ナイアは召喚魔法を唱え側近のサキュバス3人を呼び寄せる。

ライト・ブルー、オレンジア・ネーブル、マジ、エンダ

各々が楽器を持っている。

サキュバス達が人皮や人骨で出来た悍ましい装飾の楽器を取り出し演奏を始める。

マジ・エンダがギター、オレンジアがベース、ライト・ブルーがドラム

そしてナイアはドクロのマイクと魔本『巨人の進撃歌』を持っている!


「さあ、ご機嫌なライブの始まりだ! 清らかなだけの歌など、巨人の魂には届かない……。

さあ見せてあげる、堕落と破壊の調律こそが真の音楽だってことをね!」


ナイアの歌声が響いたその瞬間、ケイオステュポーンの指先がピクリと動いた。

音が命を支配している――そんな錯覚が戦場に広がっていった。


「世界を震わせるのは、祈りじゃない――絶望のリフレインよ!」


巨人の眼が、ゆっくりと、ナイアの方向を向いた。

それはまるで――歌に魂を掴まれたかのようだった。


そして邪神は邪悪な演奏を始め、巨人達を操り出した。


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