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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記3  第五章 巨竜王ケイオステュポーン復活計画-10 それは無かった事になった

\超展開✖️熱血変身バトル✖️ギャグ✖️神殺し/


→ ブックマーク&評価、大歓迎です!


敵の要塞――スペースピラミッド。

そこでは今、ハクア・プロジェクトに参加していた歌い手たちが囚われ、強制的に歌を歌わされていた。


なんと、あの要塞にもアルゴー号と同型の《リトル・ユグドラシル》が存在しており、歌を使って反物質エネルギーを精製する仕組みが整っているという。

現在、ブリューナク、ミネルヴァ、カオスカオス、マジェスティ、センチュリーといった各ユニットのメンバーがその場に拘束されており、歌唱に利用されているのだ。


だがさらに悪質なのは、ナイア率いる《ナイトメア》のメンバーたちが“誘拐されたふり”をして一般人メンバー――カ、マ、セ達をそそのかし、敵側の歌唱に加担させているという事実だった。


この報せを聞かされ、黙っていられるはずがなかった。

すぐにでも助けに行こうとした鵺だったが、仲間たちに止められ、やむなく踏みとどまることになる。


(……でも……今の私の力では確かに厳しいかも……だけど……ユキルが囚われてるっていうのに、このまま何もしないなんて、できるわけない……!)

葛藤する彼女に、不意に背後から声がかかる。


「よかった。無事だったんだね、鵺さん」

振り向いた先に立っていたのは、冷静な眼差しを携えたオームだった。

「神羅を助けるのに、貴女の力を貸してほしい。空間転移の力を持つ《封獣エリゴス》が必要なんだ!」


その言葉に鵺はわずかに目を細める。


切れ者のオームは、すでに敵の内部情報を掌握していた。

――そう、敵要塞にも《リトル・ユグドラシル》が存在し、そこで“巨人の進撃歌”なる魔本の力を通して、ケイオステュポーンとギガス・オブ・ガイアの封印を解くための歌エネルギーを精製しようとしているのだ。


アルゴー号に蓄積されていた全ての歌エネルギーは吸い取られ、今やスペースピラミッド側のリトル・ユグドラシルに移されているという。

《巨人の進撃歌》が発動するのは時間の問題だった。


しかも、戦闘力の高いブリューナクやミネルヴァのメンバーでさえ、一般人の人質がいるせいで抵抗も脱出もできない状態にあるらしい。


(なるほど……私たちは、まんまと嵌められたってことね……)


鵺は唇を噛みながら言う。


「……で? どうしろと? 言っとくけど、エリゴスで転送できるのはせいぜい一桁よ?」


するとオームは、静かに――だが確信をもって告げた。


「……不幸中の幸いだけど、今ミネルヴァのメンバーの近くにアキンド君がいるんだ」

「……!! なるほど、読めてきたわ」


オームはそこで作戦の全容を説明し始める。


そして数分後。

鵺、オーム、エドナの三人は、封獣エリゴスの空間転移能力を使い、スペースピラミッドへの潜入を開始するのだった――。



神羅が目を覚ましたのは、薄暗い牢だった。

両手は鎖に繋がれ、壁に固定されている。

目の前には見知らぬ男が椅子に腰掛け、ニヤニヤとこちらを見下ろしていた。


挿絵(By みてみん)


メフィストギルド総帥――メフィスト・フェレス。


「ようやく目を覚ましたな、小娘」


「……ここは?」


「ん〜……そうだな。お前みたいな厄介者を収容するための“特別室”さ」


「……厄介者? 私が何をしたっていうの?」


フェレスの目がギラリと光る。


「自覚がないのか? このボクの計画を――台無しにしてくれたってことさ!」


理不尽な怒りに、神羅は目を瞬かせた。


「……私のせいで、計画が?」


「そうだとも! お前が余計なことをしたせいで、ボクの大事なプランは滅茶苦茶なんだよ!」


神羅は呆れたように溜息を吐き、冷静に問う。


「……で、具体的に私が何をしたのか、説明してくれませんか?」


フェレスは一瞬、言葉を失った。

怒気は残っているが、論理が伴わない。まるで何かに戸惑っているかのようだった。


「まさかとは思いますけど……意味もなく、私に八つ当たりしてるわけじゃないですよね?」


「違う!!」

フェレスは絶叫した。そして叫びの勢いそのままに、口を滑らせるように怒りの核心を吐き出し始めた。


「女神ユキル……お前の、歌声のせいだ!!」


「……?」


「お前の歌を聞いたとき、ボクは……ボクは、あろうことか人間と……対話したいなんて思ってしまったんだ!! 巨人族の誇りを、この身に刻んで二百年……ボクは誰よりも巨人の栄光を信じて生きてきた! それなのに、お前の歌が……このボクを、変えようとした!!」


怒号が空気を震わせた。


「巨竜王様に対する忠誠心、エキドナハートの支配、従属咆哮さえも……お前の歌は全てを打ち砕いてしまう! ボクは、それが恐ろしい!!」


椅子を蹴り飛ばすように立ち上がったフェレスは、目を血走らせて叫ぶ。


「お前なんかがいなければ、ボクはシグルドみたいな“裏切り者”にならずに済んだ! お前さえいなければ、ボクはずっと狂信者のままで……安らかだったんだよぉ!!」


神羅は静かに彼を見つめ、やわらかく微笑んだ。


「……つまりあなたは、“変わってしまいそうな自分”が怖いだけなんですね」


その一言が、フェレスの胸を撃ち抜いた。


「違う!! うるさい!! 黙れ!! 黙れええええぇぇぇぇ!!!」


怒りのままに拳を振り下ろす。

直後、衝撃波が発生し、牢の壁を吹き飛ばすほどの破壊が走った。

瓦礫の中で、神羅はそれでも冷静だった。


(話が通じないわね……でも、恐れているのは――私じゃなく、自分自身だ)


だが次の瞬間、フェレスは彼女に向かって足を振り上げた。

神羅は避けきれず、蹴り飛ばされて壁に叩きつけられる。

頭を打ち、意識が薄れていく中、必死に立ち上がろうとしたが力が入らず、そのまま倒れ込んだ。


「ふふ……やっぱり、君は脅威だよ」


髪を鷲掴みにされ、顔を近づけられる。


「女神ユキル、これは完全にボクの独断だが君には死んでもらう! 君の歌を聴いて確信した。ボク等巨人族にとって最大の脅威は乂阿烈でも、覇星ゴームでも、デウスカエサルでもない! 君だ! 君こそが最大の脅威なんだ!!」そう囁くフェレスに、神羅はそれでも静かに言葉を返す。


「……フェレスさん、変わることを恐れないで……考えが変わったからって、あなたの人生が否定されるわけじゃない。あなたは、あなたのままでいていい……」


その瞬間、彼女の鳩尾に重い衝撃が走る。血を吐き、その場に崩れ落ちた。


その様子を見下ろしながらメフィスト・フェレスは真っ青な怯えた表情で言った。

「やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ! くそ!くそ!くそ!くそ!くそう!! 君がいなければボクはただ巨竜王様だけを盲信する狂信者のままでいられたんだ……! 女神ユキル……君は優しい人だ……そして正しい人だ! だからこそ余計に腹が立つんだ……くそおおおおお!!」


震える手が、神羅に向けて毒呪を詠唱しかけた――。


だがそのとき。

背後から、静かな声が響いた。


「………ユキル」


その声に、フェレスが動きを止める。

振り向いた先に、ひとりの少年が立っていた。


年の頃は十四ほどだろうか。

高い背丈に似合わぬ、どこか中性的な顔立ち。

月光のように白く輝く長髪と、虹色にゆらめく双眸――美しく、けれど底知れぬ闇を湛えた存在感がそこにはあった。


その姿を見た瞬間、メフィスト・フェレスの表情が凍りつく。


「な……なぜお前がここにいる!? アシュレイ族の神子、リーン・アシュレイ……!」


名前を呼ばれた少年は、かすかに唇を歪めて笑った。


「ああ、すまないね。ドクター・メフィスト……“えこひいき”は、妹のミリルだけと決めていたのだが……」


その声音はどこか寂しげで――それでいて、長い歳月の想いを滲ませていた。


「百年が経ち、転生してなお……この感情は、どうしても消せなかった。……やはり、抑えきれなかったようだ」


そう言って、リーンは神羅に視線を向ける。


ただ、それだけのことだった。

けれど――その視線を受けた瞬間、神羅の瞳に涙が浮かぶ。

心の奥底に触れられたような、そんな奇妙な痛みとともに。


「……AZ……」


無意識のうちに、その名前が唇から零れ落ちた。

見覚えも、聴き覚えもないはずの名前。だが確かに、心に刻まれていた。


リーンの表情が一瞬だけ揺れる。

だがすぐに鉄面皮のような静かな顔へと戻り、冷ややかに言い放った。


「ドクター・メフィスト。君は神羅に対して、何の行動も起こしていない。

君と神羅との間に直接の接触はない。君は司令部で部下への指示に専念していたし、神羅もまた、仲間たちと部屋で軟禁されていただけ……」


その言葉が意味するものを、フェレスはすぐに理解した。

同時に、神羅の中にも“既視感”が波紋のように広がる。


(なにこれ……頭が、割れるように痛い……!)

(リーンさんを見ていると……心がざわめく……切なくて……苦しくて……でも、あたたかい……)

(私、どうしちゃったの……?)


思考は混濁し、視界が霞みはじめる。

次第に感覚が遠のき――神羅はその場で意識を失った。


崩れ落ちる彼女の身体を、リーンはそっと受け止める。


その仕草に、暴走しかけていたフェレスの心が、ほんの僅かに鈍った。


だが、それを悟らせることなく、リーンは背を向けて歩き出す。

――静寂のなか、音もなく。


この瞬間、何かが確かに動き出したのだった。


https://www.facebook.com/reel/1626220654869939/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール動画

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