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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記3  第四章 黄緑の勇者キラグンター・ドラゴニア-2 ナイアルラトホテップの罠

神羅達がオーム達の演奏を聴いた後、そこで見たものは想像以上のものだった。

まず目に飛び込んできたのは大きなスクリーンに映る映像だった。

それは様々なジャンルの音楽に合わせて踊るダンサー達の姿で、その中にはもちろん彼女達の姿もあった。


それは美しく、可憐で、華やかで、情熱的で、そして蠱惑的――妖艶にして大胆、淫蕩でありながら清楚。天真爛漫な小悪魔たちの魅了は、やがて艶麗な流麗さを纏い、果ては堕落的で邪悪な演奏へと昇華されていった。


「っ!? ナイア!!」

この会場におけるオーム達の対バン相手はナイア率いるユニット名:ナイトメアだったのだ。

神羅が驚いている間にも演奏は続く。

まるで津波のように押し寄せる音楽を全身全霊で受け止めるようにして踊り続けるナイアの姿はまさに圧巻であった。

いや、違う。

彼女だけではない。

他の三人の側近サキュバス達も皆一様に凄まじいパフォーマンスを見せていたのだ。


ある者は軽やかな舞で宙に舞い、銀の螺旋を描くターンを魅せた。

またある者は踏み鳴らすステップに妖艶なグルーヴを宿し、ギリギリの品性を保ちつつ観客を翻弄する。

そして最後の一人は、空中を舞いながらタップダンスを刻むという“禁じ手”さえやってのけたのだった。


しかもそれだけではなく曲調が変わる度に衣装のデザインや振り付けにも変化が見られており、観客は大いに盛り上がっていた。

特にラストナンバーである『恋の媚薬』では全員がセクシーポーズをとりつつ腰をくねらせていたものだからたまらない!!

これにはさすがの神羅も幼い妹たちに悪影響が出ないよう慌てて目隠しをしてステージを去るのであった。

(なんなのあいつら?!サキュバスって変態しかいないわけ?!)

正直ドン引きした。

というか気持ち悪いと思ったほどだ。

「お姉ちゃん、どうして目隠ししたの?」

「シルフィーたちもお歌を聞きたかったですう」

「だ、ダメよ!幼いあなた達にはまだアレは早いわ!」

ブータレてる姉妹たちをよそに神羅だけは冷静に周囲を見回していた。

(それにしてもさっきから何か変なのよね……気のせいかしら?)

そう思っていた矢先のことだった。

突然背後から声をかけられたのである。

振り返るとそこにいたのはナイアと側近サキュバス達3人が笑顔を浮かべながらこちらに向かってきていた。

その様子はとても不気味でこれから行われる背徳の演奏会への期待に満ち溢れているようだ。

それを見ただけ神羅は表情を強張らせることになるのだから。

なぜなら…….何故なら………………

なんと彼女らの背後には無数の人影があったからである!

しかもそれらは全員女性であり、いずれも露出度の高い格好をしていたこともあって目のやり場に困るほどであった。

神羅達に向かってナイアは言うのだった。

「あらやだ、可愛い子たちじゃないの♪お姉さん達と遊ばない??」

と…………..。

神羅は唖然としていたもののすぐに我に返り一斉に身構えるのだった!

するとナイアはクスクス笑いながらこう言ったのである。

「そんなに怖がらないでちょうだいな♡私たちは別にあなたに危害を加えるつもりなんてないんだからさ♡」と…………..。

それを聞いた途端、素直な下の子供達三人は警戒しつつも少しだけ肩の力を抜いたのだが次の瞬間とんでもないことを言い始めるのだった!

「ところでおチビちゃん達さぁ〜うちの組織に入んない?」

その言葉に耳を疑った神羅は思わず聞き返してしまった。

「えっ!?」っと…………..。

しかしそれに対して返ってきた言葉は予想外のものだった。

「だからぁ〜……私たちの“愉しい世界”に来ない? 一度入れば、もう戻れないけど……うふふ♪」と……。

それを聞いた瞬間、さすがに我慢できなくなったのだろう神羅が声を荒げて怒鳴ったのだ!

「ふざけるな!!お前たちのような奴らの仲間になるくらいなら死んだ方がマシだ!!」

と言い終わるや否や神羅は子供達を連れ走り去ってしまったのだった……

それから数分後、我に返った神羅達は一息つこうと立ち止まったのだがそこで見た光景に愕然となることになるのだった……。

そこには誰もいなかったからだ。

そう、さっきまでいたはずの溢れんばかりの観客達は忽然と姿を消してしまっていたのだ。

音楽の祭典ハクア・プロジェクトにこんな事はありえない。

嫌な予感を覚えた彼女は急いで客席内を探し回ったがやはり見つからなかった。

それでも諦めきれなかったのか今度はステージ裏へと向かった神羅だったがそこにも誰一人おらず、完全に見失ってしまうこととなった。

「うそ、そんな馬鹿な……」と思いながらも最後の望みをかけて楽屋の方へと行ってみることにした神羅であったが、残念ながらそこはもぬけの殻となっており、結局だれも見つけることは出来なかったという……

(ちくしょう……してやられた!ここはナイアがはった結界の中だ!私達あいつらに捕まってしまったんだわ!)

そう思いながら途方に暮れていると背後から声をかけられたような気がしたので振り返ってみるとそこにいたのは意外な人物であった。

「大丈夫ですよユキルさん。私がここから逃がしてあげます♪」


一陣の眩い光が走った。

神羅たちの前に、まるでステージを割って舞い降りるようにして現れた影があった。

それは、ハクア・プロジェクトが誇る――天下の絶対無敵アイドル、ブリュンヒルデ・ヴァルキュリアだった。


挿絵(By みてみん)

しかも神羅達になぜか妙に親しげに話しかけてきたではないか!

ブリュンヒルデ……!?

世界を熱狂させる超人気アイドル、その本人が、今この瞬間、目の前で微笑んでいる――!

神羅は息を呑み、全身が一瞬で硬直した。

夢か幻か。だが、この奇跡は現実だったのだ。

「え?あ、あのあなたは一体?」

すると彼女はニッコリ微笑みながらこう答えたのである。

「私はブリュンヒルデ・ヴァルキュリア。ハクアが誇る、正義の味方♡ あなたたちを救いにきたわ!」と言ってウインクをする彼女に同性ながら思わずドキッとする神羅だったがすぐに気を取り直してこう言った。

「でもどうやって?それにここを出るにしても出口が分からないんじゃどうしようもないわ」と返す神羅に対してブリュンヒルデは余裕たっぷりの表情のまま答える。

「ふふふ、その点に関してはご安心❤︎ 既に手は打ってあるんだから♪ それよりも今は一刻も早くここを脱出することが先決よ……」

それを聞いて安心する反面、不安な気持ちもあった。

それはさておき、どこからかナイアの声が聞こえてきた。

「ちい!私が張った淫獄結界に侵入者だと?……」

そう言うと同時に突如現れた紫色の魔法陣の中から何者かが出てきたかと思うとそれはなんとナイアだったのである! それを見た神羅は驚愕のあまり言葉を失ってしまったが、対するナイアは驚く神羅達を愉快そうに見下ろしていた。

「あーっ❤︎ 神羅ちゃんみーつけた☆」

魔法陣からはナイアだけでなく彼女の三人の側近サキュバス達、さらに様子のおかしかった露出度の高い女観客たちが次々と現れでてきた。

彼女たちは虚ろな目をしたままその場に立ち尽くしていた。

そんな異様な光景を前にして恐怖におののく神羅を尻目に、ブリュンヒルデが一歩前に出てナイアに向かって呼びかけた。

「貴方がナイアね? 話には聴いてたけど悪趣味な性格してるみたいね」と……。

それに対しナイアは不機嫌そうに顔を歪めると怒りのこもった声で怒鳴りつけた。


「誰よアンタ……!?あたしの舞台に割り込んで……全部ぶち壊す気なの!? 許さない……絶対に、許さないっ……!!」


と言いながら下僕の女達に襲撃の命をくだした。

命令を受けた女達が襲いかかってきた。しかしそれを予期していたかのようにブリュンヒルデが動いたかと思うと目にも止まらぬ速さで剣を抜刀し瞬く間に全員斬り伏せてしまったのである。

「切り捨てごめん!……なーんて気絶させただけなんだけどね☆」

血が流れてないところを見ると、本当に意識を奪うだけの当て身だったようだ。

あまりにも一瞬の出来事だったため何が起きたのか理解できなかった神羅であったが、しばらくしてようやく正気を取り戻し「どうしてあなたがここに……?」と、尋ねたのだった。

その質問に彼女は答えてくれた。

「私達のボス、白阿魔王ゼロ・カリオン様からあなた達を守るように言われてるの☆」

と言ったところで今度はナイアの方が口を開いた。

「……ちっ、まさかお前が来るとは予想外だったぞ。メフィストギルドの裏切り者ブリュンヒルデ……!! まあいい、邪魔者は排除するまでだ!」

と言うと再び下僕たちに命令を下そうとしたのだが、その行動はまたしても阻止されてしまった。

というのもいつの間にか背後に回っていたオームが拘束機能を持つ魔法の鎖で動きを封じていたからだ。

「げえ!?魔王オーム!!」

「このクソ邪神がまた性懲りもなく!」

そしてそのまま魔法の鎖に命じてナイアを地面に押し倒したのである!

「くっ……離せ!離さぬか貴様ァァッ!!!」

必死に抵抗しようとするもののビクともせず、その間に他の側近たちも次々に倒されていき残るはナイア一人となってしまった。

(くそったれめがっ!このままではマズイ!なんとかして逃げなければ……)

そう思い脱出を試みるも身動きが取れず絶体絶命の危機に陥っていたときであった。突如として謎の声が聞こえてきたのだ……。

――空気が、変わった。

「……ふふっ、ブリュンヒルデを捉えようと来てみれば面白いことになっているじゃないか」

声のする方に目を向けると、そこには――まるで空間そのものを歪めたかのような、ひとりの少年が立っていた。

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