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乂阿戦記~勇者✖︎魔法少女✖︎スパロボの熱血伝奇バトル~  変身ヒーローの勇者様と歌って戦う魔法少女は○○○○○○○○○○○○   作者: Goldj


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乂阿戦記3  第三章 黄衣の戦女神 峰場アテナの歌-17 そして男は妻を助けるため1人旅立つ…


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読みやすくなりますよ❤︎

戦いが終わってから3日後……

オリンポスの神々が暮らす宮殿の一室にて、1人の女神がベッドで横になっていた。

メティムである

眠る彼女に体温はない。

当然だ

霜の巨人の力で凍結の封印を受けたままなのだから……

だが生きている。

オリンポス主神デウスカエサルと同じくただ凍結してるだけなのだから

だが10年ほどで自力で凍結封印から抜け出すであろうデウスカエサルと違い、ひ弱なメティムが10年後目を覚ます保証はない。

もし目覚めたとしても後遺症が残る可能性もある。

そもそも目覚めるのかどうかさえ怪しいものだ。

彼女が目を覚ました時、果たして世界はどうなっているのだろうか。

もしかしたら滅びてしまっているかもしれない。

いや、それ以前にこのまま永遠に目覚めない可能性も十分あり得るわけだ。

それはつまり、マルスにとって最も大切な妻を失うという事に他ならない。

故にマルスは決断する。

……オリンポスを離れると……

彼は氷像のように眠る妻の手を取り何か言葉を投げかける。

当然ながら返事はない。

アレスは掴んでいた妻の手を離し、椅子から立ち上がり去って行った。

その後、マルスの足取りを掴んだ者は誰もいなかった。


それからさらに時が流れたある日のこと……

かつてオリンポスの主神が住まう宮殿では、多くの神々が集まり会議が開かれていた。

その中心にいる人物は1人の男だった。

男はデウスカエサルだった。

(これがあのデウスカエサルなのか?)

その場にいる誰もがそう思ったに違いない。

何故なら今の彼には以前のような威厳や威圧感といったものが全く感じられない、と言うより気配そのものがない。

それどころかただの氷像の様にすら見える。

「うむ……皆のもの、よく集まってくれた……」

静かな声でデウスカエサルの長男セオスアポロが集まった神々を労う。

その様子を見て周囲の者たちは不安そうな表情を浮かべる。

特にセオスアポロと対立している主神派の神々がだ。

そんな中、一人の青年が立ち上がり発言する。

オリンポス十二神が一人ヘルメスであった。

「兄上!父上に一体何があったのですか!?何故このような事に!?」

その言葉に賛同するかのように周りの神々もざわめき始めた。

それも当然の事だろう。

なにせつい先日まではあれほどまでに堂々としていた彼らの王が今では見る影もないのだから……

そんな彼らの疑問を晴らすようにセオスアポロが芝居がかった仕草で言う。

「我が弟達よ、聞いてくれ……実は我々は大いなる罪を犯してしまったのだ……」

その言葉を聞き、一同は固唾を呑むのだった……

セオスアポロはエキドナハートを巡る一連の顛末について説明を続ける。

「………と言うわけだ。父デウスカエサルは和平が結ばれつつあったタタリ、メギド族に対し騙し討ちをしかけギガス・オブ・ガイアを危うく世に解き放ちかけるという失態を犯したのだ!」

「なっ……!!」

「なんと……!」

それを聞いた神々は驚きのあまり絶句した。

無理もない事だ。

なぜなら今まで信じ続けていた主神の本性が、自分達の想像とはかけ離れたものだったからだ。

そんな彼らを尻目に更にセオスアポロは語り始める。

「……そこで我らはこの事を深く反省し、これからはこのオリンポスを守るために一致団結する事を決めた!!そのためにまずは二つに分かれているオリンポスを一つにまとめあげようと思う!!!そして我々の中から新たな統率者を立てる事にした!!!」

「そ、それでは……!まさか……!!」

「そうだ。父が凍結封印されたいま、我セオスアポロがオリンポスの筆頭代行として君臨する! さて、なにか異議はあるか?」

セオスアポロの言葉に彼らは何も言い返す事が出来なかった。

それほどまでに彼の放った言葉は重く、何より説得力があったのである。

だがセオスアポロの弁を良しとしない神々もいた。

デウスカエサル派の神々だ。

現派閥筆頭であるオリンポス女王神ヘラの姿がこの場にあった。

(一体どういうつもりなんだ……アポロめは……!!)

彼女は内心憤りを感じていたが、同時に一族の長兄セオスアポロの狙いについても薄々勘づいていた。

暗黒時空神クロノスは父である天空神ウラノスを討ちオリンポスの王位に、雷帝デウスカエサルは父クロノスを討ち次の王位に、そして次はセオスアポロが父デウスカエサルから王位を簒奪しようと動き出しているのだ。

(このままではいずれ全てが奴の手に落ちる……!なんとかしなければ……)

しかし今の彼女にはどうする事も出来なかった。

セオスアポロはその立場からめったに最前線には出ないが、かつてあのヘラクレスと互角に戦い引き分けたオリンポス最強格の一人だ。

ヘラクレスがいれば牽制できたが、ヘラクレスは今アシュレイ族との間に起きた紛争に駆り出され、最前線の戦場に送り込まれている。

程のいい左遷である。

アシュレイ族最強の猛将蚩尤は非常に手強く、ヘラクレスをして苦戦してるという。

噂では両者の一騎打ちで12の惑星が消滅したとも言われ、彼のオリンポスへの帰還は当面難しそうだった。

ヘラクレスの戦場派遣は間違いなくセオスアポロによる入念な根回しだろう。

正妻の子でないセオスアポロ如きにオリンポスの下駄を預けることになるとは……

ヘラは血が出るほど唇を噛み締め悔しがった。

一方、他の神々の反応も様々だ。

デウスカエサル派はもちろんの事、穏健派のヘルメスや中立派のノーデンスらまでもが驚いていたほどだ。

まあ、一番驚いているのは当然、過激派の女王神ヘラであろう。

彼女は今にも倒れそうなほど顔面蒼白になり冷や汗を流しながら震えていた。

(馬鹿な……私が産んだ子以外がオリンポスの主になるだなんて!!そんな事をしたらオリンポスそのものが崩壊してしまうではないか……!!)

壇上のセオスアポロがヘラの顔を一瞥してニヤリと嗤う。

まるで全てを見通しているぞと言わんばかりに……

それはまさに支配者の表情であった。

だがここで一つ疑問が残る。

なぜ彼がこうも急激に勢力を拡大したのか?

考えられる理由はただ一つ、今回の戦争に裏から干渉してきた白阿魔王ゼロ・カリオンと内通していたに違いない。

元々かの魔王の存在はオリンポスでも非常に大きく、彼を巡っては様々な争いが起こってきた。

その中でも特に厄介な存在が、魔王を陰から助ける謎の鉄仮面の拳士だった。

まさかあの最強神ヘラクレスを打ち破る怪物がこの世に存在したなどと……

ともあれ政争においてヘラの敗北はもう確定的になったようなものだ。

ヘラは敗北を認めてため息をつく。

それを見てセオスアポロは心の中で哄笑をあげる。

(フフハハハハハハ! 白阿魔王のおかげで目の上のタンコブが失脚しおったわ! 所詮親父は我が王道の道ならしの土方よ! 真の王はこのセオスアポロただ一人!!)

雷帝デウスカエサルの息子達の中で父にもっとも性格が似ているのは言うまでもなくセオスアポロだった。


――父を封じ、弟を遠ざけ、神々を従わせた。

最後に笑う者こそが、真の王である。

そう信じて疑わぬ男の名は――セオスアポロ。


挿絵(By みてみん)


https://www.facebook.com/reel/981223357341384/?s=fb_shorts_tab&stack_idx=0


↑イメージリール

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